【2歳馬ジャッジ】チェルヴィニアがラスト2F加速しながら重賞制覇 ボンドガールとの再戦が楽しみ

山崎エリカ

10月4週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

10月4週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回はアルテミスSを勝ったチェルヴィニアや最後まで加速したブエナオンダなどが出た、10月28、29日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

10月28日(土)東京5R 優勝馬 ショウナンラピダス 指数-4 評価A
11番枠から出遅れ、促されてもなかなかスピードが乗らず、後方外目からの追走。ペースは同日同距離のアルテミスSより遅く、前有利の流れだった。3~4角で外からスピードに乗せて、4角出口でひとつ外に出して仕掛けると、徐々に前との差を詰めた。残り150m辺りで先頭に立つと、そのまま抜け出して1馬身1/4差で完勝した。

ラスト2Fは11秒6-11秒1と素晴らしい加速ぶり。ただ映像からはそこまで加速した感じはなかった。自身の上がり3F33秒2は悪くないが、最速は33秒1の2着馬キトゥンヒール。同馬はスタート後に躓いて後方から本馬をマークする形でレースを進めていたが、ラスト2Fで仕掛けて鋭く追い込んだ。

このレースは上位2頭の末脚が光った一戦。ともにスタートが悪く、能力を出し切ってはいないはず。今後の出世がかなり期待できそうな2頭だ。

10月28日(土)東京11R 優勝馬 チェルヴィニア 指数-14 評価AAA
6月東京のボンドガールが勝利した新馬戦では、逃げて勝ちにいく強い内容の2着。次走の未勝利戦は2番手から進み、後に行われた新潟2歳Sと同等な指数で圧勝した。今回はデビュー3戦目で断然の1番人気に支持された。能力の天井が低かったり、前走の好指数での走りで疲れを残していたときは凡退する可能性もあったが、前走のレースぶりからそんなことはないと見ていた。

レースは4番枠からやや出遅れ、そこから押して好位馬群の後方中目を追走。これまでよりもやや後ろでレースを進めることになった。3~4角で2列目の中目に上がって直線へ。直線序盤では進路確保に苦しむ場面もあったが、ラスト2F目で外に出ると一気に突き抜け、後続に1馬身3/4差をつけて完勝した。

ラスト2Fは11秒2-11秒0。重賞の流れで最後まで加速できる馬は珍しい。一昨年の東京スポーツ杯2歳Sでのイクイノックスを思い出させる走りだった。今年の2歳牝馬路線は6月東京のボンドガールが勝利した新馬戦組が席巻している。阪神JFでの再戦が楽しみになった。

10月29日(日)東京2R 優勝馬 シトラール 指数-5 評価A
6月東京のダノンエアズロックが勝利した新馬戦で3着だった馬。その新馬戦はペースのわりに消耗度が高く、ダメージの残りやすい一戦だった。実際に当時の2着馬ピースヒロフェイスはそのあと疲れが残り、スランプ状態となった。一方、本馬は次走の新潟未勝利戦で2着。今回はデビュー3戦目だった。

スタートはこれまでよりも良く、1番枠から好スタート。かなり行きっぷりが良く、行きたがるところを鞍上がなんとか抑えて3番手を追走した。3~4角で最短距離を通って直線でひとつ外へ。前のメティエダールの直後で仕掛けを待たされる形になったが、外からきたツルマウカタチとメティエダールの間を一気に突き抜けて半馬身差で快勝した。

一戦ごとに前で戦えるようになっており、成長を感じさせる。新馬戦では出遅れて能力を出し切れていなかったことも結果的に疲れを大きく残さず、良かったのだろう。ここから成長して重賞戦線に参加できそうだ。

10月29日(日)東京5R 優勝馬 ジオセントリック 指数-5 評価A
東京芝2000mの新馬戦で11頭中10番枠と外枠。スタート後にやや外にヨレたが、行きっぷりが良く、すんなりと逃げ馬の外2番手を追走した。遅い流れでもピッタリと折り合いがついて、そのまま逃げ馬と半馬身差の隊列で直線へ。直線でもしばらくそのままの隊列だったが、ラスト1F手前でムチが入ると、そこからフットワークの回転が上がり加速。そのまま抜け出して、外から強襲する馬たちに差を詰めさせることなく、2馬身半差で完勝した。

ラスト2Fは11秒3-11秒1となかなか優秀。ただこの新馬戦は走破タイムがかなり遅く、トップ級を目指すならばあとひと加速は欲しかったところだ。それでも十分な内容。かなり強くなりそうではある。

10月28日(土)京都5R 優勝馬 ブエナオンダ 指数-6 評価AA
5番枠から好スタートを決めて、好位の外目を追走。そのまま隊列が大きく変わらないまま3角を通過したが、前の馬の手応えが良いことを鞍上が察したのか、4角手前から促されていた。直線序盤でも促されていたが残り300m辺りでムチが飛ぶとフットワークが軽やかになって一気に加速。そこから4馬身突き放してゴールした。

ラスト2Fは11秒6-11秒3。それなりに時計の掛かる京都芝で最後まで加速できたことは価値が高い。今後も着実に強くなって上を目指す馬となりそうだ。

10月29日(日)京都2R 優勝馬 バロンドール 指数-9(ダート)評価A
新馬戦では後にJBC2歳優駿を快勝するフォーエバーヤングの3着だった。その新馬戦では4角大外から進出していった際のフットワークに光るものがあり、すぐに未勝利戦を卒業すると見ていた。

今回はデビュー2戦目。7番枠からまずまずのスタートを切って、好位直後と前走よりは前目の位置を確保した。逃げ馬が大逃げを打って緩みない流れとなり、隊列は縦長。実質中団を追走する形になり、3~4角では促されてジワジワ前との差を詰め、直線序盤で2列目の外。ラスト1Fからフットワークの回転が上がり、楽に先頭に立つと、そこから6馬身差をつけての圧勝だった。

ラスト2Fは13秒5-13秒2。最後にフットワークの回転が上がったことが数字にもよく出ている。緩みない流れで最後までバテないスタミナは、かなり高く評価できる。今後ダート路線でかなり上を目指せそうだ。

10月29日(日)京都3R 優勝馬 ルージュプレジール 指数-4 評価B
新馬戦は2番人気と高い支持を受けたが、出遅れて後方から。4角で外に膨れ気味になり、直線でスムーズに進出できず13着と大敗した。これは悪い負け方だと感じた。

今回はデビュー2戦目。大外13番枠から好スタートを決めて、そこからの行きっぷりが前走よりもよく、前に行くかと思われたが、抑えて中団外目を追走。4角手前で外に追い出されると勢いよく上がっていった。そこからの加速が素晴らしく、一気に前を捉えてラスト1F地点で先頭。後続には迫られたがクビ差残した。

ラスト2Fは12秒5-12秒1で、早く脚を使ったのに最後まで止まっていない。これは高く評価できる。新馬戦からあまりにも急変したので気性面に問題がありそうな印象もあるが、持っている脚力はかなりのものを感じる。ムラはありそうだが今後が面白そうだ。

10月29日(日)京都4R 優勝馬 パシアンジャン 指数-12(ダート)評価A
6番枠から好スタートを決めて好位の外を追走。緩みない流れを行きっぷりの良い走りで、3~4角では外から前に並びかけていく強気な競馬。直線ではライバルが失速していくなか、最後までしっかり脚を使って2着馬に3馬身半差、3着馬に7馬身半差をつけて圧勝した。

走破タイムがかなり優秀で、1クラス上の指数を記録して新馬勝ちした。ただラスト2Fは12秒1-13秒0。かなり目一杯に走った印象もあるが、能力が高いことは間違いない。疲れが残らなければ、かなり上まで行けるだろう。

10月29日(日)京都5R 優勝馬 カーメルタザイト 指数-5 評価B
大外11番枠からやや出遅れたが、その後の行きっぷりが良く、道中は行きたがるのをなだめながら好位の外を追走。4角手前から徐々に前との差を詰め、直線序盤で早々と前を捕らえに行き、ラスト1Fでは先頭に立った。そのままジワジワと脚を伸ばして1馬身差で完勝した。

芝1800mの走破タイム1分47秒6はかなり速く、新馬戦としては良い指数となった。ラスト2Fは11秒7-11秒8。レースが流れたわりには減速幅が小さいとも言えるが、そこまで余裕を残せたかは何とも言えないところがある。持っている能力はかなり高そうなので、体調がベストの時に真価を測りたい馬だ。

2023年10月4週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)チェルヴィニアの指数「-14」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.4秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

《関連記事》
【2歳馬ジャッジ】セットアップが札幌2歳SをGⅠ馬級の指数で制す 他の出走馬も重賞で活躍可能
【2歳馬ジャッジ】ボンドガールは牝馬クラシックで活躍できる逸材 2023年も開幕週から大物出現
【2歳馬ジャッジ】非凡な瞬発力が魅力的なヒヒーン 高額馬ダノンエアズロックは休養後の成長に期待

おすすめ記事