【2歳馬ジャッジ】新馬戦から大きな上積みを見せたダノンエアズロック 今後の大活躍に期待

山崎エリカ

10月3週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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10月3週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回はアイビーSを勝ったダノンエアズロックや中山でさらに良さが出そうなアフィリオンなどが出た、10月21日、22日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

10月21日(土)東京4R 優勝馬 ラタフォレスト 指数-13(ダート)評価B
9番枠から好スタートを決めて、3列目の外付近で流れに乗った。同日同距離の古馬1勝クラスよりもやや速い流れだったこともあり、やや促されての追走。3~4角で2列目の外まで上がって直線へ。前へ行く馬が苦しくなる中、残り300m辺りで先頭に立った。そこからは完全に独走、2着馬に7馬身差をつけて圧勝した。

走破タイムの1分38秒3は、同日と翌日の同距離の古馬1勝クラスより速い。テンの入りが古馬1勝クラスよりも速かったので、指数は走破タイムよりもやや割引評価となったが、それでもデビュー戦で古馬1勝クラス級の指数で勝利したことは評価できる。

ラスト2Fは12秒2-12秒6。これだけの時計で走ったわりにはラスト1Fの減速度が少ない。しかし、新馬戦を緩みない流れで高指数勝ちした馬というのは、疲れが残ってしまいがち。今後どのように使われるかで成長曲線が大きく変わってきそうだ。

10月21日(土)東京5R 優勝馬 アフィリオン 指数-5 評価AA
東京芝2000mの新馬戦で大外16番と不利な枠に入ったが、好スタートを決めるとそこから勢いをつけて内に切れこむようにハナを主張した。そのままコントロールが利かなくなって暴走してもおかしくないところだが、ハナを取り切るとそこから抑えて折り合った。菊花賞でもそうだったが、鞍上C.ルメール騎手の秀でているところの一つとして、ゲートを上手く出し、しっかり折り合わせる技術が挙げられる。

そのままマイペースの逃げ、最後の直線に入っても余裕たっぷり。馬なりのまま後続をジワジワ引き離していく。ラスト1Fで追われても加速はしなかったが、そのまま悠々と逃げ切った。

ラスト2Fは11秒2-11秒3。ラスト1Fの減速度合いは小さく、高い評価ができる。大外枠発走のロスもクリア。今回は東京で勝ったが、瞬発力が求められる東京よりもスピードとスタミナの総合力が求められる中山コースなどでさらに良さが出そう。今後の活躍がかなり期待できる。

10月21日(土)東京6R 優勝馬 アトリウムチャペル 指数-3 評価A
4番枠からやや出遅れ、加速もあまりつかず後方中目の追走となったが、道中では徐々に前との差を詰め3角では中団につけた。3~4角で内目に入れて直線でもそのまま内を突こうとしたが、前が壁。仕方なく外に進路を切り替えた。ラスト1F手前でようやく外に出すと、そこからグングン伸び、最後はキッチリと差し切った。

ラスト2Fは10秒9-11秒5。ラスト1Fで前が止まったから届いた形だが、自身の上がり3Fタイム33秒2はなかなか優秀。ロスのある競馬だったことから、潜在能力はもっと高いものがありそう。今後は面白い存在になりそうだ。

10月21日(土)東京9R 優勝馬 ダノンエアズロック 指数-14 評価AAA
このレースにはセレクトセールで落札価格4億円超えの超高額の評判馬が2頭出走していた。一頭は6月東京の新馬戦を正攻法の競馬で勝利したダノンエアズロック。この新馬戦ではラスト2Fが11秒6-12秒0とそこまで余裕があったわけではない。実際に2着だったピースヒロフェイスは次走未勝利戦で凡退し、未だに1勝もしていない。今回のダノンエアズロックは中間に休ませたことで、想定外の成長でもしていない限りは、過剰人気になって凡退すると見ていた。

もう一頭の超高額の評判馬はホウオウプロサンゲ。新馬戦を1番人気で4着に敗れた後、小倉の未勝利戦を勝利した。好馬体の持ち主で、その未勝利戦では終始外々から長く良い脚を使って勝利。しかし指数は高評価できるものではなく、オープンでいきなり通用するとなると微妙なところだった。

本レースで1番人気に支持されたレガレイラは、新馬戦のラスト2Fは11秒4-11秒5。倒した相手は後に札幌2歳Sを圧勝したセットアップ。人気面のバランスを考えても同馬の相手探しの一戦と見ていたが……。

レースは6番枠から好スタートを決めたホウオウプロサンゲが逃げてダノンエアズロックは2番手、やや出負けしたレガレイラは3列目の外3番手につけた。ペースはスロー、最後の直線ではホウオウプロサンゲが引き離した。

最後はレガレイラが差してくるかと思いきや、グイッと伸びてきたのはダノンエアズロック。ラスト2F10秒9-11秒0の流れを差し切った脚力は素晴らしかった。

記録した指数は先に行われたサウジアラビアRCには及ばなかったが、コスモス賞を圧勝したエコロヴァルツに並ぶ優秀なもの。新馬戦からまさに「一変の勝利」は潜在能力の高さを示すものだ。ダノンエアズロックやホウオウプロサンゲが並みの馬たちならレガレイラが勝利しそうなレースだったが、1、2着馬の上昇力が上だった。今回の上位3頭はこれから大活躍していくだろう。

10月22日(日)東京2R 優勝馬 ドリーミングアップ 指数-3 評価B
6月東京の新馬戦ではシュトラウスに大きな差をつけられて5着。次走未勝利戦では3着、その後7、3着。特に目立つ成績ではなく、今回がキャリア5戦目となった。デビューから出遅れ続きだったが、ここでは4番枠から五分のスタートを切って、レースが団子状態で進んでいくなかで後方2列目の外と、近2走よりは前の位置を追走することができた。

レース当日は馬場の内側が悪化していたため、4角で馬群が外に広がっていったが、直線で大外に出てジワジワ伸び、ラスト1Fからグイっともうひと伸びして2馬身差つけて完勝した。

ラスト2Fは11秒4-11秒3。超スローペースの新馬戦ではなく、ある程度流れた未勝利戦で最後まで加速できたことは価値がある。現時点の指数はさほど評価できるものではないが、意外と伸びしろがありそうだ。

10月22日(日)東京6R 優勝馬 ルージュスエルテ 指数-9 評価A
6月東京の新馬戦は1番人気に支持されながら7着に敗れたが、次走新潟の未勝利戦では逃げてまさに一変。5馬身差の圧勝で1クラス上で通用する指数を記録。今回はデビュー3戦目、1勝クラスなのに出走馬は未勝利馬ばかりのレースだった。ここでは単勝オッズ1.1倍に支持されたが、指数差がかなり大きく、当然の評価だったと言える。

レースは4番枠から好スタートを決めて、すんなりハナを主張。道中でペースを落としても全く絡まれることなく、マイペースの逃げになった。4角では後続と1馬身差、ラスト2F地点でも1馬身差程度のリードだったが、そこからどんどん後続を突き放して5馬身差の圧勝だった。

ラスト2Fは10秒8-10秒8と余裕を感じさせながらの圧勝劇。しかし、倒した相手が弱すぎて、指数は1勝クラスとしては優秀と言えない。しかし、余裕を残して1勝クラスを勝ったことは、今後に向けて大きな価値がある。今後も楽しみな快速馬だ。

10月21日(土)京都4R 優勝馬 ケーブパール 指数-5 評価A
5番枠から五分のスタートを切ったが、徐々に位置が下がって中団中目を追走。緩みない流れだったためか、道中では促されながらの追走となった。3~4角で中目から外目に誘導したが、隊列が縦長で4角では前とまだ大きな差。4角出口で大外に出されたが、とても届きそうにない。ところがラスト1Fあたりからグングン伸びて最後は差し切った。

最後の直線だけでかなりの差を詰めての勝利。ラスト2Fは11秒8-12秒3だから冷静に見ると、前崩れに乗じた差し切りということになる。この新馬戦は4着馬が3着から3馬身半離されており、なかなかの好指数決着となった。また自身の上がり3Fタイム34秒0は、この日の京都では古馬を含めてナンバー1。これはかなり高く評価できる。レースぶりから成績にムラが出そうな感じはあるが、最終的にはかなり上にいく馬と見る。

10月21日(土)京都5R 優勝馬 ブルーアイドガール 指数-1 評価A
芝1600mの新馬戦で前半3Fが35秒3、5F通過が60秒9。この日の京都の芝状態を考えればなかなかペースが流れた。9番枠から五分のスタートを切ったが、ペースが速かったため、徐々に置かれて中団外からの追走に。3~4角でじわっと前との差を詰めていき、4角では大外。かなり長く脚を使う競馬となったが、直線では外からグングン伸びた。ラスト1F地点からさらに脚の回転が上がり、猛追してきたオフトレイルを抑え、結果的に2着に1馬身1/4差をつける見事な勝利だった。

ラスト2Fは11秒7-11秒4。最後にフットワークの回転が上がったことが数字にもよく出ている。走破タイムがペースのわりに妙に遅かったため、指数は高いものとはならなかったが、最後の脚はインパクトがあった。なかなか強くなりそうな馬だ。

10月22日(日)京都5R 優勝馬 サンライズアース 指数-5 評価A
8番枠から五分のスタートを切るも、すぐに首を上げて尻尾をクルクル回転させていた。促されると加速して前へ上がっていき、1角までに先手を取ることに成功した。

そこからはマイペースの逃げ。3~4角でシュクルノアールに並びかけられたが、それに抵抗して気合いをつけられ、逃げ切りを狙った。最後の直線で外からヴィスマールに迫られる場面もあったが、見事に逃げ切った。ラスト2Fは11秒7-11秒7。最後まで減速しなかったことは評価できる。

馬体重538kgの大型馬で体を持て余している面があり、キレをあまり感じさせなかったが、スタミナはかなりありそう。今回で全能力を出し切ったようには思えず、ここからジワジワと地力をつけていきそうだ。

2023年10月3週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ダノンエアズロックの指数「-14」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.4秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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