【2歳馬ジャッジ】エコロヴァルツが早め先頭から6馬身差の圧勝 現2歳世代・芝部門の最高値を記録 

山崎エリカ

8月2週目の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

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8月2週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回はチェッキーノの仔チェルヴィニアやコスモス賞勝ちのエコロヴァルツなどが出た、8月12日、13日の2歳戦について指数と評価を掲載する。

8月12日(土)新潟1R 優勝馬 レーザーショー 指数-8(ダート) 評価B
前走は7月福島のダート新馬戦。アイアムユウシュンが1クラス上でも通用レベルの好指数勝ちをしたが、本馬は逃げて2着だった。今回はデビュー2戦目、単勝オッズ1.4倍の断然の支持を受けた。

9番枠から今回も好スタート&好ダッシュで逃げた。手応え十分に最後の直線を迎え、あとは突き放していくかと見ていると、道中2番手外を追走していたベルウッドワンもなかなかのがんばりを見せる。結果は上位2頭で3着馬を7馬身以上も引き離してのゴールとなった。

レーザーショーは期待通りに、この時期の2歳未勝利クラスとしてはなかなか良い指数で勝利。昇級後も勝ったり負けたりしながら上を目指す馬となりそうだ。2着ベルウッドワンは今回が初ダートでの好走。今後のダート路線での上昇が楽しみだ。

8月12日(土)新潟2R 優勝馬 チェルヴィニア 指数-12 評価AA
今回がデビュー2戦目。新馬戦ではボンドガールに敗れたものの3着馬には3馬身差と、しっかり差をつけて好指数の2着だった。相手を考えると今回は負けるわけにはいかないところで、単勝オッズ1.1倍の断然人気に支持された。

新馬戦では逃げて目標にされてしまったことで最後に苦しくなった。今回は6番枠から好スタートを切ったが、内の馬がハナを主張してくれたおかげで、2番手からの競馬。こうなると負けるわけにはいかない。最後の直線では逃げ馬を目標に楽な手応え、残り300m辺りで前を捉えるとそこからは後ろをグングン引き離し、6馬身差の圧勝だった。

指数は先に行われたダリア賞、函館2歳Sと同等。8月12日時点で現2歳世代芝部門の指数トップタイとなった。最後の直線で馬なりのまま逃げ馬に並びかけていくなど、余裕度合いを考えると、実質NO.1と評価してもいい走りだった。

半兄ノッキングポイントと指数上の比較をすると、新馬戦の時は負けていたが、デビュー2戦目で大きく上回ったことになる。2歳1勝クラスは楽に勝てるだけの指数を記録。今後の目標は当然重賞、そしてその上となってくるだろうが、当然勝ち負けが期待できる。

8月12日(土)新潟5R 優勝馬 ガルサブランカ 指数-3 評価A
現役芝部門最強馬イクイノックスの半妹ということで注目を集め、単勝オッズ1.4倍の支持を受けた。レースは2番枠から五分のスタートを切って、すっと控えて好位馬群の中目で折り合う競馬。3~4角でクビを上げ、ヒヤリとする場面はあったが、事なきを得た。また、最後の直線序盤では進路確保に苦労していたが、ラスト1F手前で外に出されると、しっかりと抜け出してゴールした。

ラスト2Fは10秒8-11秒2と悪くなく、上がり3Fタイム32秒8もなかなか良い。ともに秀逸とまではいかないが、なかなかのものと言えるだろう。イクイノックスの新馬戦時と、指数比較では劣ってしまうが、こちらも決して弱い馬ではない。今後も着実な成長が期待できる。

8月12日(土)新潟6R 優勝馬 キャプテンネキ -3 評価A
8番枠からまずまずのスタートから二の脚を利かせて先行。序盤は4頭の競り合いになったが、そこから抜け出し、緩みないペースのなか2番手を追走。最後の直線では逃げるニシノアヤカゼを自ら捉えにいき、ラスト1Fで並びかけ抜け出すと、最後は外から迫るロゼフレアを封じて勝利した。

レースぶりとしては非の打ちどころがない内容だった。ラスト2Fは11秒8-11秒7。緩みないペースを先行して最後まで減速しなかったことは高く評価できる。半姉たちは重賞では少し足りないが、条件クラスではかなり上の存在という馬が多い。それらを超える活躍を期待したい。

8月13日(日)新潟5R 優勝馬 ライトバック 指数-2 評価B
10番枠から出遅れて最後方を追走。ペースは5F通過63秒9と遅いが、4角を迎えても最後方列の中目だった。最後の直線ではズラリと前が壁で、鞍上は進路を求めて右往左往。ラスト2F過ぎでようやく外に進路を見つけたが、前とはかなりの差があった。あまり届きそうな感じはしなかったが、残り300mあたりでエンジンを点火してグイグイと伸び始め、最後にキッチリと差し切った。

ラスト2Fは11秒0-11秒4。上がり3Fタイムは32秒8。最後に前が止まったので差し切っているが、単勝1番人気でありながら、危うい競馬だった。ただ、出遅れの不利、スローペースを後方からだったことを考慮すれば悪くない。今後の上昇が期待できそうだ。

8月13日(日)小倉6R 優勝馬 パッシングシャワー 指数-5 評価A
1番枠からはっきりと出遅れて最後方からの出だし。ポジション取りでは苦しい形となったが、道中で進路を探しながら徐々に位置を上げ、3角では好位の内に入った。さらに、4角入口では2列目、出口で馬の間を割って2番手で進路を作ると、フットワークの回転が上がった。最後は逃げ馬を目標に抜け出し、2着馬に1馬身1/4差、さらに3着馬に3馬身半差を付けて勝利した。

競馬センスの高さを感じさせるレースぶり。走破タイムの1分9秒1もこの日の小倉芝としてはなかなか優秀。ラスト2Fは11秒3-11秒7と減速したが、上がり3Fタイム34秒3はこの日の小倉芝では古馬を含めて最速だった。

この日の小倉芝は後半に向けて馬場が急速に悪化したのであまり高い評価はできないが、ある程度なら評価して良いだろう。また、出遅れて新馬戦を勝利した馬は、次走で大きく上昇する場合も多い。次走以降が楽しみだ。

8月13日(日)札幌5R 優勝馬 アーバンシック 指数-2 評価A
出遅れが多かった一戦で、本馬も6番枠から出遅れた。しかし、そのあとポジションを取り返す脚はなかなか速く、道中は好位直後の中目を追走。右を向いたり、左を向いたりと落ち着きのない走りで、気性の幼さを感じさせた。最後の直線では前の馬がフラフラして進路取りが難しくなる場面もあったが、残り100mから繰り出した末脚は素晴らしかった。ゴール前の迫力ある追い比べを制し、勝利した。

ラスト2Fは11秒2-11秒3。映像でも伝わるほどの迫力で、札幌芝中距離の新馬戦としてはかなり優秀な数字だ。後続馬が僅差で多数入線しており、指数自体は高いものとはならなかったが、今回の新馬戦の上位入線馬たちは今後楽しめそうな馬が多い。

8月13日(日)札幌8R 優勝馬 エコロヴァルツ 指数-14 評価AA
今年のコスモス賞は、コスモディナーとエコロヴァルツの一騎打ちムードだった。コスモディナーは福島芝の新馬戦で、馬場の悪化した内から最後に加速し、優秀な内容で好指数の走り。エコロヴァルツはその1週前の福島新馬戦で、早めに前を潰して押し切りと、かなり強い内容だった。

エコロヴァルツは1番枠からトップスタートを決めて、前走、函館未勝利戦を逃げて勝利していたゴードンテソーロが持ち味を生かそうと先頭に立った。エコロヴァルツは折り合いを欠き気味に2番手を追走。しかし、向正面で早々に先頭に立ってしまった。

「これでエコロヴァルツ飛んだかも…」と思う瞬間もあり、そのまま先頭を維持する同馬を、コスモディナーが3番手から負かしにいく。コスモディナーが3~4角で差を一気に詰めて並びかけた辺りでは、コスモディナーの楽勝のようにも思えた。しかし、直線でもエコロヴァルツの脚は衰えない。コスモディナーが先にバテてしまい、結果6馬身差で圧勝、強い内容だった。

ラスト2Fは11秒7-11秒8とほぼ減速せず。コスモディナーが弱かったのではなく、エコロヴァルツが異様に強かったのだ。今回記録した指数は、現2歳世代の芝部門で最高値。デビュー2戦目で高指数を記録という点では、一昨年のロン、昨年のファントムシーフによく似ている。無事なら今後もトップ級の活躍は必至。スピード+スタミナの総合値が高い逃げ馬を操るのは得意な武豊騎手だけに、とても楽しみな存在となるだろう。

2023年8月2週目の2歳馬PP指数,ⒸSPAIA


※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)エコロヴァルツの指数「-14」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも1.4秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。

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