【スワンS】瞬発力と機動力が持ち味 単勝回収率388%データに該当のエクセトラを推奨
貴シンジ
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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
先週の菊花賞ではソールオリエンスを推奨し1番人気3着。終始外々を回る王道の競馬をしたが勝ち馬のドゥレッツァに抜け出されてしまった。さて、今回は10月28日(土)に京都競馬場で行われるスワンSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走の敗因」
・適性と素質を知るための「血統評価」
特別登録のあった21頭を検討対象とし、過去10年分のデータを使用する。
重要データ:意外にも優秀な前走OPクラス組
スワンSは1400mという距離で行われるため、マイラーとスプリンターが一緒に走るレースとなっている。今回は前走のクラス別成績に注目したい。
まずは3勝クラス組。こちらは【1-0-0-11】となっていて、17年1着のサングレーザーのみが馬券内に入っている。サングレーザーは当日2番人気だったため、昇級初戦であれば人気馬であることが取捨選択のポイントとなりそうだ。続いてはGⅢ組。こちらは【2-0-2-30】となっている。馬券内に入った4頭に共通しているのは4番人気以内だったという点。3勝クラスからの昇級組同様にGⅢ組も人気馬であることは重要なポイントになる。
GⅡ組は【0-2-1-15】で振るわない。複勝回収率も47%で非常に狙いにくい。基本的にGⅡ組は軽視が良さそうだ。GⅠ組は【4-5-5-34】で、さすがの成績。しかし回収率ベースで見ると単勝回収率35%、複勝回収率81%となっていて特筆すべきほどではない。実績十分ということもあり、どうしても人気になりがち。人気通りの好走は期待できるが、前走GⅠでオッズが高い馬もなかなかいないと考えていい。
面白いのが前走OP・L組。こちらは【3-3-2-35】となっていて、GⅠ組の次に好走馬を輩出している。さらに単勝回収率388%、複勝回収率125%となっていて、他路線と比べて突出している。前走着順も関係なく、大敗した馬も巻き返している。
【前走OP・L組の出走予定馬】
・エクセトラ
・サブライムアンセム
・タマモブラックタイ
・ビーアストニッシド(除外対象)
・リプレーザ(除外対象)
・ルガル
前走の敗因:UHB賞のエクセトラ
エクセトラの前走はUHB賞4着。このレースは1200mのレースだが前半3Fが34.4、後半3Fが33.8と後傾0.6秒のスローペース。加えてこの日の札幌競馬場は内前有利の傾向が顕著で後ろから差してくる馬にとっては厳しい馬場状態だった。
このレースも1~3着馬は前にいた3頭。道中7番手から差して3着馬にアタマ差まで迫ったことから、健闘した方だ。勝ち馬のシナモンスティックはその後キーンランドカップ2着と実績を積んでいるし、エクセトラも展開さえ向けばこのメンバーに入っても面白いだろう。
血統解説:アヴェラーレ、グレナディアガーズ、エクセトラ
・アヴェラーレ
母アルビアーノが米国産馬なので、日本での牝祖は母。アルビアーノは現役時フラワーCとスワンSを勝利した実績馬で本馬はその初仔となる。日本で活躍した近親にはヤマニンパラダイス(阪神JFの前身レース勝ち馬)がいるが、本馬は3代母Auroraを根幹とする枝に属する。このファミリーはスーパーダービー(GⅠ・ダート10F)勝ち馬のArchやスピンスターS(GⅠ・AW9F)勝ちのAcomaなどがいる。さらに叔母にはBCフィリー&メアスプリント(GⅠ・ダート7F)などGⅠ・2勝のCovfefeがいる。血統背景は重賞級以上といえるだろう。
早期から息の長い活躍ができる馬が多いことが特徴のファミリーで、ここに成長力の高いドゥラメンテを父に迎えているから5歳の今がまさに充実期だ。馬体重も2走前時点でデビュー時の424キロからプラス30キロとなる454キロまで成長した。そこから絞って442キロで前走の関屋記念を快勝。古馬重賞で十分に戦える身体となりドゥラメンテ譲りのバネの利いた歩様が持ち味の一頭だ。
・グレナディアガーズ
母ウェイヴェルアベニューはBCフィリー&メアスプリント(GⅠ・ダ7F)の勝ち馬。母以外の活躍馬は近親には出ておらず、活躍馬を探そうとすると7代母の分岐まで遡らなければならない。
母、祖母、3代母とスプリンターで、AWやダートを主戦場にしていることからも短距離特化の特徴を持つ牝系だ。Frankelをつけた本馬は芝でマイルまで走っているが、1400mか1800mのどちら寄りかと言われれば1400m寄り。やはり牝系の影響が強いのだろう。ワンペースで走りきることを得意とするような牝系にFrankelのスピードを付け加えた形だ。デインヒルも内包していて京都芝1400mはベストの舞台だろう。
エクセトラ
外国産馬。母Middle Clubはオマール賞(GⅢ・芝8F)勝ち馬で伊オークス(GⅡ・芝11F)2着の実績がある。同じファミリーで日本で活躍した馬と言えば18年日経賞勝ち馬のガンコだが、4代母が本馬の3代母と同じAnna Paolaというだけで遠い。
近いところでは従姉妹に英1000ギニー(GⅠ・芝8F)、サンチャリオットS(GⅠ・芝8F)を勝利したBillesdon Brookがいる。今回のメンバーでも十分な活力だろう。本馬にも、Billesdon Brookにも共通する点が、ピッチ走法で脚の回転を一気に上げられること。瞬発力は素晴らしいものがあってRahy譲りの機動力もある。
父がExceed And ExcelだからBillesdon Brookに比べるとスピードに特化したタイプになっているためスプリンターになった。ただ、Sadler's Wellsの血も持ち合わせていて底力のあるタイプだから、1400mは守備範囲内。強力な鞍上を予定しているここでも好勝負だろう。
Cアナライズではエクセトラを推奨
ここではエクセトラを推奨する。非凡な瞬発力と機動力はフルゲートが予想されるスワンSにおいては武器になるだろう。加えて予定されている鞍上はJ.モレイラ騎手。こういう瞬発力タイプの馬に乗せたらとにかく上手いジョッキーだ。
前走は5連勝とはいかなかったが、展開を考えれば善戦していたし勝ち馬はその後重賞でも通用しているようにメンバーレベルは低くなかった。アヴェラーレやグレナディアガーズなど重賞実績豊富なメンバーが揃うが、前走OP組という好走データに合致しており、強力なメンバーに立ち向かえるのはこの馬だろう。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
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