【スワンS】距離短縮組が複勝率30.6%で優勢 ララクリスティーヌらマイル重賞大敗の1400m巧者が狙い目
勝木淳
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スワンSから阪神Cという道
中3週の前哨戦ですらメンバーが集まりにくく、本番好走が難しいなか、GⅠまで中2週のスワンSはさらに厳しい状況にある。最後にここを経由してマイルCSを勝ったのは2010年エーシンフォワードであり、馬券圏内には来るものの、頂点を狙う陣営にとって避けたくなる傾向にある。マイルCSへ行くなら中3週の富士Sもある。
近年はスワンSと阪神Cが、1400mのスペシャリストが歩む秋の定番コースだ。馬券を買う側も前哨戦としてではなく、1400mで強い馬はどれかを探していきたい。データは21、22年阪神を含め、過去10年分を使用する。
人気別では1番人気【3-2-1-4】勝率30.0%、複勝率60.0%、2番人気【4-1-2-3】勝率40.0%、複勝率70.0%で上位人気はまずまず。8番人気【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%や10番人気以下【1-2-2-63】勝率1.5%、複勝率7.4%など穴も出現するが、6番人気【0-0-1-9】複勝率10.0%、7番人気【0-0-0-10】など買い頃の穴が出ていない。狙うなら思いっきり踏み込んでアウトコースを振り切ってみてもいい。
古馬は特に1400mを得意にする馬たちが集まる傾向にあり、GⅠ級の出走馬が少ないからか、3歳が【4-0-1-12】勝率23.5%、複勝率29.4%と好調で、4歳【1-3-2-20】勝率3.8%、複勝率23.1%をしのぐ。一方、5歳は【4-4-5-40】勝率7.5%、複勝率24.5%と3歳に対抗できる。6歳【0-3-2-31】複勝率13.9%までは警戒したい。
これを京都施行8回に絞ると、3歳【4-0-0-9】勝率、複勝率30.8%。極端ではあるが、勝率は上昇する。
グレナディアガーズは叩き台の可能性も
古馬勢はグレナディアガーズ、ダノンスコーピオン、アヴェラーレらの他に、1400m巧者で昨年2着のララクリスティーヌ、スプリント戦から転戦するトウシンマカオ、ウインマーベル。3歳馬タマモブラックタイ、ルガルはデータを味方にどこまで通用するか。
前走クラス別ではGⅠ【4-5-5-34】勝率8.3%、複勝率29.2%が目立つ。そのレース内訳は安田記念【2-3-3-8】勝率12.5%、複勝率50.0%、スプリンターズS【1-1-1-20】勝率4.3%、複勝率13.0%。ヴィクトリアマイル【1-1-0-1】までみても、1200mからの延長よりマイルからの短縮が有効だ。
延長のスプリンターズSは4着以内【1-0-1-1】、5着【0-0-0-2】、6~9着【0-1-0-8】、10着以下【0-0-0-9】と好走が条件になる。6着ウインマーベルはデータ上では劣勢だ。高松宮記念は【0-0-0-1】でグレナディアガーズの評価はデータではくだせない。とはいえ、21~22年阪神C1、2着と1400m巧者であることは事実だ。当然ながら有力候補ではあるものの、狙いはもっと賞金が高い阪神Cなどで、ここは大目標へ向けた叩き台という可能性は頭に入れておこう。
GⅠ以外のレース内訳だと、京成杯AHが【2-0-0-10】勝率、複勝率16.7%で、前走GⅡ、GⅢの勝ち馬はすべてここから出ている。勝った2頭は京成杯AH4着馬と7着馬なので、マイル戦で足りなかった馬が距離短縮で巻き返す図になる。
京成杯AH2着ウイングレイテストは、マイル重賞できっちり好走したように基本はマイラーだ。1400mは3歳時の20年ファルコンS6着が最後。このとき騎乗したのはF.ミナリク騎手だった。3年7カ月ぶりで対応するかどうか、
しっかり見極めよう。7着だったインダストリアは距離短縮に活路を求め、ここに参戦する。短縮がハマれば、前走京成杯AH組の好走パターンに合致する。
ララクリスティーヌなどの関屋記念は【0-0-0-3】だが、1着アヴェラーレは京王杯SCを0.2差の4着で、戦歴的に距離短縮は悪くない。スローのマイル戦直後で、流れに戸惑わなければ通用していい。9着に敗れたララクリスティーヌは明らかに距離短縮で一変する気配が漂う。12着ロータスランドも1400mで重賞勝ちがあり、侮れない。トウシンマカオのキーンランドCは【0-0-1-4】複勝率20.0%。スマートリアンの北九州記念【0-0-0-5】などスプリント重賞組は基本、苦戦する傾向がある。
最後に前走オープン・L【3-3-2-35】勝率7.0%、複勝率18.6%は3着以内【1-3-2-10】、4、5着【0-0-0-4】、6着以下【2-0-0-21】と取捨が難しい。朱鷺S3着ルガル、安土城S2着ビーアストニッシド、オパールS4着タマモブラックタイをどう評価するべきか。
京都開催の8年間で前走(クラス問わず)1400m【2-1-1-23】勝率7.4%、複勝率14.8%、1400m超【5-5-5-34】勝率10.2%、複勝率30.6%、1400m未満【1-2-2-41】勝率2.2%、複勝率10.9%というデータから、1200m、1400mのオープン・L組より、マイル重賞から来る馬を上位にとるべきだろう。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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