【天皇賞(秋)】イクイノックス、ドウデュースは条件次第で消し! ハイブリッド式消去法
藤川祐輔
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5つのデータから絞れた馬は?
先週の菊花賞ではサトノグランツを推奨したが、コーナーで外を回された影響か直線で伸びを欠き10着に大敗。勝利したドゥレッツァも真っ先に消去しており、悔しい結果となった。
今週は10月29日に東京競馬場で行われる天皇賞(秋)を予想する。今回は登録馬13頭を対象に、過去10年のデータから複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。
『前走10着以下』×『キャリア11戦以上』 ★0.0%★
当レースは層の厚い中距離路線における最高峰の一戦であり、数あるGⅠレースの中でも屈指のレースレベルとなる。こうした背景から近走で凡走している馬は結果を残すことが難しく、特に前走10着以下に大敗していた馬は【0-2-0-19】(複勝率9.5%)と苦戦している。
更にこれをキャリアが11戦以上の馬に限定すると、成績は【0-0-0-19】(同0.0%)と1頭も好走馬が出ていない。ある程度キャリアを重ねている馬に、前走大敗からの巻き返しを期待するのは荷が重いだろう。
【今年の該当馬】
・アサマノイタズラ
・エヒト
『前走GⅡ』×『3角3番手以内』 ★9.4%★
今年の登録馬は全頭がGⅠ・GⅡからの転戦となる。前走クラス別の成績に着目すると前走GⅠ組が【5-7-4-20】(複勝率44.4%)と良好であるのに対し、前走GⅡ組は【5-3-6-88】(同13.7%)と複勝率が落ちる。この内、前走3角3番手以内だった馬の成績が【0-1-2-29】(同9.4%)と更に低調だ。
東京芝2000mは直線での瞬発力が問われる舞台であり、積極的な競馬で粘り込みを図るのは簡単ではない。このデータの該当馬で馬券に絡んだのはパンサラッサ(22年2着)、アエロリット(19年3着)、キセキ(18年3着)だが、この3頭は当レース出走時点でGⅠ勝ち実績があった。
今年のメンバーではガイアフォース、ノースブリッジの2頭が該当。いずれもGⅠでの実績に乏しく、データを覆す程の地力はないと見て消去リスト行きとする。
【今年の該当馬】
・ガイアフォース
・ノースブリッジ
『前走2000m』×『前走上がり3位以内』 ★6.7%★
前走の距離別成績を比べると、前走2000m組が【1-3-0-29】(複勝率12.1%)と振るっていない。この組を更に前走の上がり順位で絞り込むと、上がり3位以内であった馬が【1-0-0-14】(同6.7%)と苦戦していた。前項でも触れたように東京芝2000mは瞬発力が重要なレースだが、意外にも前走同距離で速い上がりを使っていた馬の殆どが凡走していた。
このデータには札幌記念でそれぞれ上がり1、2位をマークしたプログノーシス、ヒシイグアスが該当する。今年の札幌記念は稍重の時計がかかる馬場であり、特にレース後半は末脚の持続力が要求されるレースだった。高い瞬発力が求められる当レースと直結するとは考えにくく、2頭共に消去リストに加える。
【今年の該当馬】
・プログノーシス
・ヒシイグアス
『関西馬』×『東京重賞で3着内なし』 ★4.8%★
各馬を東西所属別に分けた成績を見ると、美浦所属馬が【7-2-5-42】(複勝率25.0%)であるのに対して、栗東所属馬は【3-8-5-85】(同15.8%)となっている。出走数は関西馬が圧倒的に多いが、勝ち馬の数を見ても近年は関東馬が優勢だ。
また好走した関西馬16頭のうち14頭には、東京コースの重賞で3着以内に好走した経験があった。一方、この実績がなかった馬の成績は【0-2-0-40】(同4.8%)と大きく落ち込む。
このデータには新たに3頭が該当し、天皇賞(春)を制したジャスティンパレスも含まれる。昨年は日本ダービー、有馬記念など計3回の関東輸送があったが、いずれも掲示板外に敗れている。また上がり3ハロンで33秒台を記録した経験が1度もなく、瞬発力勝負への対応も難しそうで今回は軽視する。
【今年の該当馬】
・アドマイヤハダル
・ジャスティンパレス
・ジャックドール
・(エヒト)
・(ガイアフォース)
・(プログノーシス)
『馬番10~18(2桁馬番)』×『距離短縮』 ★8.6%★
舞台となる東京芝2000mはスタートから100m程でコーナーを迎えることから、ロスなくポジションを取れる内枠が有利である。この傾向は当レースでも同様であり、馬番が10番以降だった馬の成績は【0-2-4-62】(複勝率8.8%)と極端に成績が悪い。さらにこれを前走から距離短縮となる馬に限ると【0-0-1-28】(同3.4%)と悪化する。
唯一イスラボニータ(14年3着)が15番ゲートから好走しているが、当馬は1番人気に支持される実力馬であり、外枠の不利があった3着であることは否めない。事実、この時は1、2枠の馬に先着を許している。
ここまでに消去を免れた馬は4頭だが、この内イクイノックス、ドウデュースの2頭が距離短縮組となる。2頭共に前走は最後方からの競馬だっただけに、今回もスタートで後手を踏む可能性は十分にある。仮に外枠に入った場合はコーナーで外を回るロスがあり、評価を下げる必要があるだろう。
【今年の該当候補馬】
・イクイノックス
・ドウデュース
・(アサマノイタズラ)
・(エヒト)
・(ガイアフォース)
・(ジャスティンパレス)
・(ノースブリッジ)
ここまでで全ての凡走データを確実にくぐり抜けたのはスターズオンアース、ダノンベルーガの2頭だが、スターズオンアースは残念ながらレース回避が発表された為、残るはダノンベルーガ1頭のみとなった。前走はそれぞれ距離や馬場が不向きと言われるなか、及第点のパフォーマンスは見せていた。高い瞬発力が武器の本馬にとって今回はベストの条件であり、実績も踏まえれば十分に好走のチャンスはあるはずだ。
《ライタープロフィール》
藤川祐輔
98年生まれ、新進気鋭の若手ライター。競馬好きの父の影響を受け、幼いころから某有名血統予想家の本を読んで育った。以前は別媒体での執筆を行っていたが、より「予想」にフォーカスした記事を書きたいと考えSPAIA競馬への寄稿をスタート。いつの日か馬を買うのが夢。
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