【天皇賞(秋)】単勝1倍台で制したのはアーモンドアイのみ 秋盾の「記録」を振り返る

緒方きしん

天皇賞(秋)の記録,ⒸSPAIA

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最も支持を集めたのは2020年アーモンドアイの単勝1.4倍

今週は天皇賞(秋)。混戦模様だった菊花賞から一転、今週はイクイノックスという絶対的な存在を迎えたレースとなる。1990年代は1番人気が全敗していた(1991年メジロマックイーンの降着含む)が、2015年以降の8年間で1番人気馬は6勝、この10年間では1番人気が馬券圏内に食い込めなかったのは18年のスワーヴリチャードのみと、近年は1番人気の信頼度が高い。

歴代の天皇賞(秋)で最も低いオッズで勝利したのは、20年のアーモンドアイ。単勝1.4倍という圧倒的な人気に応えた。2番目に低いオッズも同じくアーモンドアイで、19年に1.6倍で制している。3番手は10年ブエナビスタの2.2倍のため、単勝1倍台で制したのはアーモンドアイただ1頭ということになる。昨年の覇者イクイノックスも単勝オッズは2.6倍と、まだ人気は集中していなかったと言える。

一方で、最低人気で制したのも、アーモンドアイやブエナビスタと同様に牝馬のヘヴンリーロマンス。05年に14番人気、単勝75.8倍という人気薄で勝利した。97年エアグルーヴ以来となる久々の牝馬による制覇となったが、2番人気エアグルーヴと1番人気バブルガムフェローによる馬連2.9倍の順当決着とは打って変わって、この年は馬連123.4倍、三連単12261.3倍という波乱決着となった。2着には前年に秋古馬三冠[天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念]を全て制したゼンノロブロイ(1番人気)が食い込んだが、3着にも牝馬のダンスインザムード(13番人気)が入ったことで三連単配当が跳ね上がった。


燦然と輝く『母父ノーザンテースト』の6勝

牡馬で最低人気の勝利は92年11番人気のレッツゴーターキン、続く人気薄での勝利は11年7番人気のトーセンジョーダン。20年近く時を隔てているが、2頭とも母父ノーザンテーストという共通点を持っている。ノーザンテーストは『母父として天皇賞(秋)を制した回数』で断トツ首位、6勝という戦績を残している。

母父ノーザンテーストの馬は、レッツゴーターキンのような人気薄だけでなく、エアグルーヴといった人気馬も勝利を掴み取っている。ほかにもダイワメジャーやサクラチトセオーなど4頭が5歳での勝利だが、8歳という高齢で制したカンパニーというイレギュラーな名馬も登場した。

2番手はサンデーサイレンスとBlushing Groom、Gold Meridianが2勝で並んでおり、ノーザンテーストの凄まじさが光る結果と言える。特に、サンデーサイレンス→アーモンドアイ、Gold Meridian→シンボリクリスエスと、連覇した馬による2勝で、ノーザンテースト以外で複数の勝ち馬を輩出しているのはBlushing Groom(ヤマニンゼファー、テイエムオペラオー)のみである。

馬券圏内に範囲を広げても、母父としてはノーザンテーストが10回食い込んでおりトップを維持。しかし父としては、その記録よりもさらに多い16回のサンデーサイレンスがいる。2位は11回のディープインパクト、3位は5回のトニービンと、いかにサンデーサイレンスとこのレースが凄まじい相性を持っていたかがわかる。

サンデーサイレンス産駒は、1番人気1着のゼンノロブロイだけでなく、前述のヘヴンリーロマンスやダンスインザムードも輩出。ダンスインザムードは2年連続で13番人気から馬券圏内に食い込んでいる、このレースを得意とする名牝だった。また、ステイゴールドも4番人気2着、12番人気2着と、2度の好走を見せている。

今年はプログノーシス、ジャスティンパレスと、2頭のディープインパクト産駒が参戦を予定している。サンデーサイレンス産駒との馬券圏内回数は、5回差。父の記録を塗り替え続けているディープインパクトが、天皇賞(秋)の舞台での記録を詰められるか、大いに注目したい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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