【オールカマー】タイトルホルダーら5歳GⅠ馬に死角あり 4歳ガイアフォースたちに逆転のチャンス十分
勝木淳
ⒸSPAIA
4歳が5歳を逆転する季節
秋の古馬中距離戦線は豪華メンバーが想定されている。イクイノックス、ドウデュースがそろい、札幌記念で始動したジャックドール、プログノーシスに二冠牝馬スターズオンアースがいる。
そして、春はリズムが乱れたタイトルホルダーや、母に続き牡馬の壁を破りたいジェラルディーナもいる。オールカマーは早くもその2頭が顔をそろえる。休み明けではあるが、ここをそれなりのパフォーマンスで突破し、ぜひ中距離戦線に再び名乗りをあげてほしい。データは新潟施行の2014年を除き、中山で行われた過去9回分を使用する。
古馬のトップどころが秋始動戦に選ぶレースではあるが、1番人気は【2-2-1-4】勝率22.2%、複勝率55.6%とそこまで絶対的でもない。勝ち馬は5番人気【3-1-0-5】勝率33.3%、複勝率44.4%以内が大半で、上位人気が基本線。6番人気以下は人気順に成績が落ちていき、10番人気以下は【0-0-0-39】と好走がない。
4歳【4-4-2-10】勝率20.0%、複勝率50.0%、5歳【5-3-5-32】勝率11.1%、複勝率28.9%で4歳が優勢だ。特に芝中距離戦線は春までは5歳が強いが、秋になると4歳が逆転してくる重賞が多い。オールカマーも例外ではなく、ローシャムパークやガイアフォース、マテンロウレオらがタイトルホルダーやジェラルディーナに勝つことも想定しておこう。
ガイアフォースの可能性と札幌記念組の取捨
1番人気より5番人気の成績がいい、4、5歳の力関係の変動などを踏まえた上で、ここからは前走成績を参考に好走候補を絞ってみたい。
前走クラス別では、やはり前走(国内)GⅠが【5-3-2-18】勝率17.9%、複勝率35.7%と好成績だ。夏場に奮闘した組と実績馬の対決は後者に軍配があがることが多い。
前走GⅠの内訳はジェラルディーナの宝塚記念【2-2-2-7】勝率15.4%、複勝率46.2%に注目しよう。着順は1~3着【1-0-1-3】、5~9着【1-2-1-1】でジェラルディーナの4着は出走自体ない。だが成績の分布を考えても、当然有力候補だ。前走宝塚記念の牝馬は【1-1-0-3】で15年ショウナンパンドラ、ヌーヴォレコルトが1、2着を決めた。ジェラルディーナは芝2200m【2-0-0-2】。2勝は昨年オールカマーとエリザベス女王杯。宝塚記念はイクイノックスを意識し、強気に攻めた結果であり、負けて強しの印象がある。
タイトルホルダーの天皇賞(春)は【2-0-0-7】勝率、複勝率22.2%。タイトルホルダーは競走中止なので、着順データでは比べようがないが、勝った2頭はゴールドアクター(前年有馬記念V)、ウインマリリン(牡馬相手に日経賞V)。格としてはタイトルホルダーも申し分ない。2:09.7を記録した宝塚記念以来の芝2200m出走が刺激になればいい。
ガイアフォースの安田記念は【0-1-0-0】。17年ステファノスが安田記念7着から巻き返した。4着ガイアフォースは当然チャンスがある。この舞台は昨年、アスクビクターモアを差し切ったセントライト記念と同じ。秋に好調の波が来るキタサンブラック産駒でもあり、逆転候補ではある。
前走GⅢ組は小倉記念こそ【1-1-0-5】勝率14.3%、複勝率28.6%と健闘しているが、GⅡも含め、前走サマーシリーズ出走馬全体は【1-3-0-34】と苦戦が目立つ。札幌記念も【0-1-0-7】で、21年ウインキートス(前走9着)しか好走がない。
札幌記念からオールカマーという流れの大半は、札幌記念で負けた馬がたどる。札幌記念も相手関係はそろうわけだが、始動戦的立場はオールカマーも同じ。その状況のなか短期間で成績を上げるのは容易ではない。ウインマリリン、マテンロウレオの2頭で巻き返すとすれば、舞台適性が札幌より好転する馬だろう。だとすると一昨年の覇者ウインマリリンか。マテンロウレオは2200mで京都記念2着だが、中山は【0-0-0-4】。中山金杯では3番人気5着に敗れた。
ローシャムパークなどの前走函館記念は【0-0-0-4】。4頭の函館記念着順は1着、2着、5着、10着で、決して凡走馬によるデータではない。ローシャムパークにとってはトップ戦線に食い込めるかを見定める試金石になる。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
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