【2歳馬ジャッジ】ドゥレイクパセージは逃げて上がり3Fタイム最速 好内容で重賞戦線での活躍に期待大
山崎エリカ
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8月4週目の2歳戦
このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。今回は上がり3F32秒台を記録したスティールブルーや、逃げて優秀な上がり3Fを記録したドゥレイクパセージなどが出た、8月26、27日の2歳戦について指数と評価を掲載する。
8月26日(土)新潟6R 優勝馬 スティールブルー 指数-4 評価A
同距離で行われた同日1Rの未勝利戦と比較すると、随分とゆったりしたペースで流れた新馬戦。本馬はスタートを決めたが17番枠だったこともあり、自然とポジションが下がって中団で待機。前の馬を壁にして中団外でうまく折り合いがついていた。直線で外に出すと、そこから少しずつ差を詰める。ラスト2F辺りで右ムチが飛ぶと、そこからフットワークの回転スピードが上がり、一気に前を捉えて残り100m付近で先頭。2着に2馬身半差をつけてゴールした。
ラスト2Fは10秒9-11秒3。フットワークの回転が最後にやや緩やかになったところが数字にも出ている。上がり3Fタイムは32秒9。スローペースの一戦ではあったが、同日の芝では古馬も含めてNo.1の上がり3Fタイムであり、この点は高く評価出来る。トップクラスを目指すにはやや足りない点もあるが、瞬発力は相当なもの。着実に上を目指す馬になりそうだ。
8月27日(日)新潟11R 優勝馬 アスコリピチェーノ 指数-12 評価AA
6月東京芝1400mの新馬戦では最後までしっかり伸びて、ラスト2F11秒6-11秒6と減速せずに追い込み勝利した。そして今回も1番人気の支持を受けた。ここでの懸念点は新馬戦を追い込み勝ちした馬は、次走で勝ちにいくレースをするとスタミナ面も含めてやや伸びきれないことがあると言う点で、どう乗るか注目していた。
個人的には大外12番枠ということもあり、直線一気で末脚を生かして勝ち負けするのが現実的だと見ていた。しかし、やや出遅れたところから好位の直後とポジションを取りにいく競馬。これは楽な競馬ではない。それでも最後までしっかり脚を伸ばして勝利した。
勝ちにいきながら距離延長にも対応し、その上で勝利したわけで大収穫の一戦だったと言える。今回で記録した指数は重賞としてはまずまずのレベル。先に行われたチェルヴィニアが勝利した未勝利戦と同等の指数ではあるが、今後も牝馬クラシック路線で期待ができそうだ。
8月26日(土)小倉5R 優勝馬 メイショウゴーフル 指数-2 評価B
8番枠から五分のスタートだったが、スッと行き脚がついて前に行こうとしたが、道中は逃げ馬の外2番手を追走。そこから3~4角では前に並びかける勢いで、早々と先頭に立ってしまった。直線序盤で後続を引き離して、堂々と先頭。後続馬の追撃も封じて勝利した。
ラスト3Fは11秒9-11秒8-11秒6と長く良い脚を使いながら、最後まで加速できたレース内容は高く評価できる。かなりのスタミナを感じさせる勝利だった。なかなかのバネもあり、使われながら距離が長い舞台で強くなっていきそうな気配を感じた。
8月27日(日)小倉1R 優勝馬 アートフォーム 指数-3 評価B
新馬戦では後の小倉2歳S3着馬キャンシーエンゼルの2着だった。今回はデビュー2戦目で1番枠からやや出遅れ、そこから二の脚で好位馬群の直後まで挽回したが、前走時と比較するとやや後ろからのポジションとなった。しかし、レースが流れていた(ペースが速かった)ので、今回の位置取りは悪くなかった。
手応え十分に3~4角の最内を回り、4角出口でひとつ外。直線序盤で進路がなかったが、さらにひとつ外に出して進路を確保。前が開くとしっかり伸びて勝利した。
未勝利クラスとしては並の指数。ある程度は展開も向いての勝利だったが、ラスト2Fは12秒0-11秒9。ハイペースのレースでは最後に減速してフィニッシュするものだが、レースが流れた上で最後まで加速できた点には驚かされた。これはまだまだ余裕があった証拠。地味なタイプではあるが、意外と奥がありそう。昇級以降も警戒したい。
8月27日(日)小倉2R 優勝馬 エスカル 指数-13(ダート)評価B
新馬戦は好指数で逃げ切り勝ちしたピンクヴェノムの3着。次走の未勝利戦では逃げの手に出て、クラークテソーロになかなか良い指数で差し切られての2着だった。ここまで強敵とぶつかってきたが、デビュー3戦目の今回は指数比較では他の出走馬と比較して断トツの存在。順当に1番人気に支持された。
レースは8番枠から好スタートを切って、そこから気合を入れハナ奪取に成功すると、手応え十分に逃げた。直線でもスピードはほぼ衰えず、7馬身差を付けて圧勝。1クラス上の指数をマークしての勝利であり、今回はとにかく強かった。もし芝適性があるようなら、面白い馬になりそうだ。
8月27日(日)札幌1R 優勝馬 クイックバイオ 指数-7 評価A
デビューは素質馬が揃ったと言われる、ギャンブルルームが勝利した6月の阪神新馬戦。しかし、2番人気に支持されながら大きく離されての6着だった。今回は2戦目、前走の着順が良い馬は他にいたが、ここでも1番人気と高い支持を受けた。
レースは3番枠から躓いたため、しばらく行き脚が付かなかったが、逃げ馬が馬場の悪化した内を空けて走っていたため、向正面序盤で内から掛かり気味に先頭に立った。そこからは馬場の良い外に出し、マイペースの逃げ。そのまま外に進路を取りながら直線に向き、最後まで脚色が衰えることなく逃げ切った。
ラスト2Fは11秒8-11秒9と最後までほぼ減速しなかった点は評価できる。また、記録した指数は1クラス上でも通用可能なレベルで、未勝利勝ちとしては優秀な指数だった。母はGⅠでも活躍したアニメイトバイオ。半姉のビッククインバイオ、パイオニアバイオは重賞でも活躍している。本馬も要注目の存在だ。
8月27日(日)札幌5R 優勝馬 ドゥレイクパセージ 指数-4 評価AA
5頭立てと少頭数となった新馬戦。3番枠から好スタートを切って、ダッシュ良く逃げた。鞍上はJ.モレイラ騎手。2番手を追走したのがC.ルメール騎手のヴァルドルチャで、3番手は川田騎手のアドマイヤポーシュ。名手たちが絶妙のペースを刻み、結局、道中の通過順位のままの結果となった。
こう書くと騎手の腕で決まった一戦だったように見えてしまうが、ラスト2Fは11秒4-11秒5とほぼ減速せず。実際は馬が強かった一戦だ。ドゥレイクパセージの上がり3Fタイムは35秒3。この日の札幌芝としてはかなり優秀。逃げて自らレースを作っての数字だけにさらに高く評価できる。ここは5頭立ての新馬戦だったので消耗度も低く、今後は順調に成長していく可能性が高い。重賞戦線での活躍が楽しみだ。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ドゥレイクパセージの指数「-4」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.4秒速い
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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