【新潟記念】6連覇中のMill Reef内包馬に要注目 今年の該当馬はノッキングポイント
坂上明大
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傾向解説
サマー2000シリーズ最終戦・新潟記念。今年は第4戦終了時点でチャンピオン資格を持った馬がおらず、新潟記念登録馬の中でもチャンピオンの可能性がある馬はマイネルウィルトスのみ。昨年に続き「該当馬なし」に終わるのか、シリーズ最終戦として大注目の一戦です。
<前走別成績(過去10年)>
サマー2000S2着以上【3-2-1-10】勝率18.8%/連対率31.3%/複勝率37.5%
サマー2000S3着以下【2-3-3-35】勝率4.7%/連対率11.6%/複勝率18.6%
GⅠ【3-2-0-15】勝率15.0%/連対率25.0%/複勝率25.0%
上記以外【2-3-6-79】勝率2.2%/連対率5.6%/複勝率12.2%
まず紹介したいデータは前走別成績。もちろんこれにはサマー2000シリーズの最終戦であることが関係しており、新潟記念の賞金に加えて総額4000万円の褒賞金も懸かった一戦となれば、GⅠ並に力を入れる馬が出てくるのは当然のこと。過去10年でも前走サマー2000シリーズ組(七夕賞、函館記念、小倉記念、札幌記念)から約半数の好走馬が出ており、特に前走2着以内のポイント上位馬の成績は非常に優秀です。ただ前述の通り、今年チャンピオンの可能性があるのはマイネルウィルトスのみ。同馬には要注目も、別路線組の取捨は例年以上に重要といえそうです。
そこで注目したいのが前走GⅠ組。新潟記念はサマー2000シリーズ最終戦としての位置づけのほか、秋のGⅠへの前哨戦としての役割も担っています。実際に、シリーズチャンピオンの該当馬がいなかった昨年は前走GⅠ組のワンツー決着で、3着馬もサマー2000シリーズ初出走の3歳馬。ポイント上位馬が少ない年は、GⅠ組や3歳馬に注目するのがよさそうです。
<血統別成績(過去10年)>
Mill Reef【7-4-1-22】勝率20.6%/連対率32.4%/複勝率35.3%
Princely Gift【4-3-2-30】勝率10.3%/連対率17.9%/複勝率23.1%
血統面ではMill Reefに注目。欧州三冠(英ダービー、キングジョージⅥ & QES、凱旋門賞)を史上初めて制覇した歴史的名馬で、欧州血統の中でもしなやかな末脚が持ち味の名血です。3F勝負ではサンデーサイレンスに劣るものの、4~5F勝負では欧州的持続力が生き、4F勝負になりやすい新潟芝2000mという舞台も非常に相性のいいコースです。新潟記念ではMill Reef内包馬が2017年から6連覇しており、2019年からの4年は1~2着独占。昨年はローズキングダム(Mill Reefの5×4)産駒のフォワードアゲンが16番人気で4着と見せ場をつくっており、今年も最注目の血統とみて間違いないでしょう。
また、Princely Giftの血にも要注目。細身、かつ斜尻の馬体構造から時折非力さが欠点となる血統ですが、その分平坦コースでは非常に高いパフォーマンスを披露してくれます。昨年はPrincely Gift内包馬が馬券圏内を独占。一昨年の勝ち馬マイネルファンロンもPrincely GiftとMill Reefの血を併せ持つしなやかな差し馬で、同血脈についても新潟記念に限らず新潟外回りコースでは注目の血統といえるでしょう。
血統解説
・サリエラ
母サロミナは2012年独オークス馬で、本馬は全姉サラキア(2020年府中牝馬S)や3/4同血の兄サリオス(2019年朝日杯FS)の妹という良血。父ディープインパクト譲りの瞬発力とドイツ牝系から受け継ぐ豊富なスタミナが持ち味で、適性や成長曲線は全姉サラキアに似ています。目黒記念では8枠16番から上がり3F33.8を計時。前走傾向や血統傾向には該当しませんが、それらを超越するほどの爆発力を秘めた良血馬であることは間違いないでしょう。
・ノッキングポイント
母チェッキーノは2016年オークス2着馬で、母の全兄には2013年皐月賞3着馬コディーノなどがいます。初仔の本馬はモーリスを父に配し、サンデーサイレンスの4×3、Sadler's Wells≒Nureyevの4×5、Riverman≒Mill Reefの5×6など父母の良さを生かしたバランスの良いマイル~中距離向きの配合形といえるでしょう。欠点の少ないタイプだけに、今年の顔ぶれなら良血3歳馬の可能性に期待したくなります。
・マイネルウィルトス
母母コスモフォーチュンはLyphardの4×4やBlushing Groomなど機動力に優れた血を併せ持ち、父スクリーンヒーローもグラスワンダー直仔の小回り巧者。Princely Giftの血を7代前に持ちますが、やはりベストは力のいる馬場の小回りコースでしょう。サマー2000シリーズチャンピオンの可能性がある唯一の馬ではありますが、この舞台であれば道悪馬場になってほしいところです。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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