【新潟記念】サリエラなど実績上位組に死角あり 大混戦のなかで前走3勝クラス勝ちファユエンが面白い

勝木淳

2023年新潟記念に関するデータ,ⒸSPAIA

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シリーズ優勝の権利はマイネルウィルトスのみ

サマー2000シリーズは最終戦にきて初物づくしだ。左回りも初なら、これまで函館、福島、小倉、札幌と直線の短い競馬場ばかりだったが、ラストは新潟外回りで最後の直線658.7mが待ち受ける。明らかにこれまでとは異なる適性が要求され、これをクリアしないとシリーズ制覇はない。

今年も優勝ラインの13P以上を獲得した馬はおらず、シリーズ優勝の資格を持つのは、新潟記念に登録があるマイネルウィルトス(現在3P)のみ。それも勝利が絶対条件になる。長い新潟の直線を乗り越えられるだろうか。ほかにもダービー5着ノッキングポイントや良血サリエラなど、夏の越後最後の陣は見どころたっぷりだ。データは過去10年分を使用する。

新潟記念の人気別成績,ⒸSPAIA


ワンターンの2000mはJRA唯一であり、きれいなレイアウトなだけに紛れる要素は少ない。1番人気【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%、2番人気【3-0-1-6】勝率30.0%、複勝率40.0%はシリーズの中では安定感があるものの、紛れが少ないコースのわりに頼りない。真夏のハンデ戦はやはり一筋縄ではいかないか。

6番人気【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%、10番人気以下【3-0-3-73】勝率3.8%、複勝率7.6%。サマーシリーズ優勝が懸かるレースではありながらも、波乱の目も十分ある。

新潟記念の年齢別成績,ⒸSPAIA


ノッキングポイントの3歳は【1-0-1-6】勝率12.5%、複勝率25.0%で、18年ブラストワンピース1着、22年フェーングロッテン3着は記憶に新しいところだ。古馬勢は4歳【2-3-3-22】勝率6.7%、複勝率26.7%、5歳【3-4-3-40】勝率6.0%、複勝率20.0%、6歳【3-2-1-38】勝率6.8%、複勝率13.6%、この三世代は互角だ。7歳以上は【1-1-2-33】勝率2.7%、複勝率10.8%と確率的には低くなるも、好走例はある。

また牝馬は【1-0-1-15】勝率5.9%、複勝率11.8%とサリエラには少し分が悪いデータとなる。2013年コスモネモシンが10番人気で勝利した。

ノッキングポイントはブラストワンピースに続けるか

牝馬サリエラのほかに3歳ノッキングポイントなど、今年は戦歴がバラバラで、横の比較が非常に難しい。

新潟記念の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずは前走クラス別成績をみよう。前走GⅠは【3-2-0-15】勝率15.0%、複勝率25.0%と頼りになる。シリーズ前半の重賞とは違い、実績馬が秋に向けて始動してくるここは格を信用できる。前走ダービーは【1-0-0-3】で、これは上記ブラストワンピースがいる。同馬はダービー5着から始動戦の本レースを勝利で飾った。ノッキングポイントも同じくダービー5着で戦歴は一致する。だが、ブラストワンピースはダービー2番人気、ノッキングポイントは15番人気での5着。2頭の実績の差をどうとるかだろう。

同じGⅠでもプラダリアの宝塚記念は【0-0-0-4】と好走がない。ここは阪神芝2200mと新潟芝2000mの適性の違いが影響したか。また前走GⅡは【0-0-0-8】。それも前走目黒記念【0-0-0-8】はサリエラ、ユーキャンスマイルなどには厳しいデータだ。ただ敗れた8頭のうち、最高は7番人気で、そもそも出走馬は実績的に少し足りない印象、サリエラに当てはめていいものかは迷うところだ。

新潟記念の前走GⅢ、レース別成績,ⒸSPAIA


前走GⅢ【6-6-7-77】勝率6.3%、複勝率19.8%の内訳は、やはりサマー2000シリーズが中心になる。だが、七夕賞10着以下【0-0-0-4】でグランオフィシエは強調できない。函館記念は1着【0-1-0-2】、6着以下【1-1-0-6】で、4着馬は出走なし。なお3、5着は【0-0-0-3】なので、4着マイネルウィルトスも微妙だ。

春に同舞台で行われる新潟大賞典【0-0-1-4】複勝率20.0%は新潟大賞典6着から3着に巻き返したロンギングダンサーしかいない。

ならば、前走3勝クラス【1-2-1-23】勝率3.7%、複勝率14.8%も確認しよう。ファユエンの関ケ原S自体は【0-0-0-1】だが、前走3勝クラス芝2000mだと【1-2-0-15】勝率5.6%、複勝率16.7%で買えないこともない。こちらも牝馬なので強調しづらいが、妙味はありそうだ。今年はデータ的に強調できる馬がおらず、予想外の混戦とみる。

新潟記念に関するデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。


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