【キーンランドC】最有力は好走条件揃ったナムラクレア ヴァトレニは戦法次第で一変の可能性あり
山崎エリカ
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外差し有利が濃厚
札幌はコーナーの半径が大きいため、コーナーの内をロスなく立ち回れる馬が有利だ。しかし、札幌芝1200mは最初のコーナーまで約412mと距離があるため、もともとそこまで大きく外枠は不利ではない。洋芝の札幌は開催が進むにつれ、芝が傷んで時計が掛かるもの。まして今回はレース当日が雨予報だけに、昨年同様に外差し決着になると見て、予想を組み立てたい。しかし、一発を狙うなら昨年のヴァトレニのように、前に行って最短距離を狙うタイプだろう。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 ゾンニッヒ】
4歳となった今年初戦の若潮S(3勝クラス)中山芝1600mをオープン級の指数で走り、本格化を感じさせると、その後はリステッドと重賞で善戦。そして初の芝1200m戦となった前走の青函Sでオープン初制覇を達成した。
前走は15番枠からまずまずのスタートを切り序盤は好位にいたが、二の脚が遅く、促されても中団の外目まで下がってしまう。3~4角で外からじわっと進出して好位の外、4角で前のカイザーメランジェを目標にしながら4列目付近で直線へ。直線序盤ですっと伸びて一気に2列目まで上がると、ラスト1Fでそのまま突き抜け2馬身差で快勝した。
前走は稍重で時計が掛かっていたが、序盤で位置が下がってしまう辺りに、高速馬場のスピード決着になったときの不安を感じる。しかし、今回はタフな馬場で行われ、そこまで速い時計が要求されないはず。ただ、今回は自己最高指数を記録した後にひと息入れ、立て直しながらの一戦となる。勢いと能力は確かで、芝1200mでもタフな馬場なら問題ないが、状態面で過信できないところがある。
【能力値2位 キミワクイーン】
2歳6月の東京芝1400mの新馬戦を好内容で勝利し、地味ながら期待していた馬。昨年9月の札幌スポニチ賞(2勝クラス)を休養明けながら勝利し、成長を感じさせると、そこからは好成績を残している。3走前のオーシャンSは12着と崩れたが、休養明け好走後の疲労残りの一戦で、3~4角の外から動いたヴェントヴォーチェの内から勝負に出て、4角で先頭列を狙って苦しくなった。
そして前走の函館スプリントSで重賞初制覇を達成。15番枠からまずまずのスタートを切って序盤は好位にいたが、促されても進みが悪く、後方に下げる形。3~4角でも後方外目からじわっと押し上げ、4角では中団付近で直線へ。直線序盤の伸びは地味だったが、ラスト1Fでもしぶとく伸び、早め先頭に立ってバテたジュビリーヘッドを捉えて3/4差で勝利した。
前走はゾンニッヒと似たようなレースぶりだったが、開幕週の函館芝1200m(稍重で例年よりも時計を要していた)の外枠では仕方ない面もあった。今回はそこからひと息入れたあとの一戦。前走で自己最高指数を記録した点もゾンニッヒとよく似ている。本馬も4歳馬で勢いもあるが、内が荒れ始めた札幌芝で内枠を引いた点がどうか。
【能力値3位 ナムラクレア】
昨夏の函館スプリントSの覇者。同レースは7番枠から五分のスタートを切り、そこから押して楽に二の脚で先行争いに加わって行く形。レースがかなりのハイペースとなった中、3番手の外を追走し、3~4角で2列目の外から前との差を詰めていった。直線ではしぶとく伸びてラスト1Fで先頭に立つと、そこから後続を引き離して2馬身半差の完勝。斤量50Kgと恵まれていたが、強い内容だった。
今年初戦のシルクロードSは2番枠から五分のスタートを切ると、軽く促して中団中目を追走。3~4角はファストフォースの後ろにいて、4角出口でその内を突いて3列目で直線へ。直線は同馬と互角のしぶとい伸びで叩き合いになったが、最後はアタマ差捻じ伏せて優勝した。同レースはハンデ56.5Kgとしっかり斤量を背負い、函館スプリントSと同等の好指数で快勝。しっかり成長した姿を見せた。
前走のヴィクトリアマイルは初めて掲示板を外したが、本馬にとってベストは芝1200m。高松宮記念で勝負にいって2着に善戦しており、余力もなかったのだろう。序盤でルージュスティリアに寄られてリズムを崩す不利もあったことを考慮すれば、度外視できる敗戦だ。今回は得意距離に戻る。ここでは実績上位で、枠も内よりは外のほうがベター。今回のメンバーではもっとも死角が少ない存在と言える。
【能力値4位 シナモンスティック】
昨夏の郡山特別(2勝クラス)を3歳馬ながら古馬に混じって勝利し、素質の高さを感じさせていた馬。その後スランプだったが、前々走のストークS(3勝クラス)を勝利し、復調を感じさせると、前走ではオープンのUHB賞を勝利した。
前走は9番枠からまずまずのスタートを切って、そこから押して先行策。道中はコントロールして2番手外を追走し、3~4角ではカルネアサーダを追いかけ、4角で並びかけて直線へ。直線では同馬とのマッチレースとなったが、ラスト1Fで競り落として1馬身1/4差で完勝した。
ただ前走は逃げ馬不在でカルネアサーダが大外15番枠からハナを主張し、前半3F34秒4-後半3F33秒8とペースが上がらず、3角3番手以内の馬が上位3頭を独占した。前走は逃げ馬を目標にかなり理想的にレースを進められた。しかし、今回はタフな馬場で前走以上のメンバー、前走ほど楽にはいかないだろう。
【能力値5位 シュバルツカイザー】
もともと芝のマイル路線を歩んでいた馬だが、昨年、長期休養から復帰するとやや伸び悩み気味だった。そこで5走前は初ダートに挑戦。これが起爆剤となり、4走前の船橋Sでは休養明けながらいきなり人気薄で2着と激走。その次走は反動も出て6着に敗れたが、近2走は3勝クラス、オープンを連勝と勢いがある。
前走のしらかばSは4番枠から出遅れ、序盤は後方だったがそこから押して挽回し、好位の中目を追走。4角出口でカルネアサーダの後ろから外に出されると、序盤はジリジリだったが、ラスト1Fで2番手まで上がり、最後にカンティーユを競り落としてハナ差で勝利した。今回は大外枠、脚をタメて無欲の競馬が出来れば、まとめて負かす可能性は十分ある。
穴馬はヴァトレニ 逃げ、先行で一変の可能性あり
ヴァトレニは昨年の青函Sの勝ち馬。同レースは14番枠から好スタートを切り、そこから促して先行争いに加わっていく形。先行雁行状態だったが、それでも怯まずに2番手を取り切った。3~4角では逃げるマイネルアルケミーをあおり、4角で仕掛けて並びかけると、直線序盤ですっと伸び、そのまま突き抜けて1馬身3/4差で快勝した。
本馬はその次走キーンランドCでも3着。1番枠から五分のスタートだったが、促すと徐々に加速して思い切ってハナを主張。3~4角でやや息を入れて馬群を凝縮させながら、4角出口で1馬身半ほどリードして直線へ。最後はラスト1Fで甘くなったところを外から2頭に差された。
昨年の同レースは外差し馬場だったが、本馬は最内枠の優位性を活かして最短距離を走った。3~4角で後続を引き付けたことで、外から上がってきた馬が4角でかなり大外に振られたことがひとつの好走要因ではある。しかし、本馬は前に行って持久力を活かしてこそのタイプ。3走前の北九州短距離Sも凡指数ながらも勝利している。本馬は差す競馬でもそれなりに走れるようになってきたが、近2走は凡退しており、ベストは逃げ、先行。わりと楽にハナへ行ける可能性が高い今回は、前に行けば一変する可能性はある。
※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ゾンニッヒの前走指数「-22」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.2秒速い
●指数欄の下線、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補
ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。
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