【キーンランドC】唯一のGⅠ馬ナランフレグは消し ハイブリッド式消去法で浮上した素質馬レッドベルオーブの復活に期待

八木遊

過去10年キーンランドカップの消去データ,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週は夏のスーパーGⅡ札幌記念を予想した。注目馬として名前を挙げたトップナイフは2着に好走したものの、勝ったプログノーシスを最後に消去。3着のソーヴァリアントも真っ先に消していた。

今週は27日に札幌競馬場で行われるキーンランドCを予想する。今回は函館で開催された2013年も含めた過去10年のデータから、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、条件に当てはまった馬を消去していく。執筆時点で2分の1の抽選となっているサトノアイとスノーテーラーの2頭を含めた17頭を対象に進めていきたい。


『前走札幌』×『前走から斤量増』★0.0%★

まずは前走札幌で走っていた馬に注目。過去10年で前走札幌組は【2-3-1-45】(複勝率11.8%)と苦戦していた。特に前走時に比べて斤量が増加していた馬は【0-0-0-29】(同0.0%)で、3着以内は1頭もいなかった。まずはこの組み合わせを採用する。

この条件に当てはまったのは以下の3頭。目下2連勝中で、J.モレイラ騎手とのコンビ結成を予定しているシュバルツカイザーは上位人気に支持されるとみられるが、前走レコード勝ちの反動もあるとみて消去する。

【今年の該当馬】
・カイザーメランジェ
・シュバルツカイザー
・スノーテーラー*


『美浦所属騎手』×『母父ミスタープロスペクター系』★0.0%★

2つ目の条件は騎手と血統データの組み合わせを用いたい。具体的には「美浦所属騎手と母の父がミスタープロスペクター系の馬」という組み合わせ。過去10年で14頭が出走していたが、馬券に絡んだ馬はいなかった。

今年は松岡正海騎手×母父がミスプロ系のマイネルラヴというシナモンスティックが唯一該当。前走のUHB賞を快勝しているが、重賞で上位争いは厳しいとみて消去する。

【今年の該当馬】
・シナモンスティック


『関西馬』×『キャリア24戦以上』★3.8%★

3つ目は東西別データから過去10年で【5-8-7-68】(複勝率22.7%)の関西馬をピックアップ。これにキャリア24戦以上というデータを掛け合わせると、【0-0-1-25】(同3.8%)のデータが出来上がった。この条件下で唯一馬券に絡んだのは、14年の3着馬マジンプロスパーだった。

以下の2頭がこの条件に当てはまった。新たに消去するのは前走函館スプリントSで2着に好走したジュビリーヘッドとタイセイアベニール。特に前者は洋芝で安定した成績を残しているが、今回は消しという判断を下したい。

【今年の該当馬】
・ジュビリーヘッド
・タイセイアベニール


『前走4着以下』×『前走初角10番手以下』★4.0%★

続いては前走着順が4着以下の馬を取り上げたい。過去10年の成績は【4-3-6-77】(複勝率14.4%)とまずまずで、前走である程度負けていても巻き返しは可能だ。ただし、前走時に初角を10番手以下で通過していた馬は【0-1-0-24】(同4.0%)と、馬券圏内は1頭しかいなかった。

この条件に当てはまったのは、以下の4頭。新たにウォーターナビレラとGⅠウイナーのナランフレグの2頭を消去リスト行きとする。

【今年の該当馬】
・ウォーターナビレラ
・(カイザーメランジェ)
・(タイセイアベニール)
・ナランフレグ


『関東馬』×『前走から馬体重4kg以上減』★0.0%★

4つの条件を終えて17頭中8頭を消去し、9頭が残っている。最後は過去10年で【5-2-3-53】(複勝率15.9%)の関東馬を取り上げる。掛け合わせるのはレース当日の馬体重増減。これが前走比で4kg以上マイナスだった馬は【0-0-0-14】(複勝率0.0%)だった。

残っている9頭のうち、関東馬は以下の4頭。いずれもスプリント重賞を勝っている実績馬だが、当日の馬体重次第で消去対象となる。

【今年の該当候補】
・ウインマーベル
・キミワクイーン
・トウシンマカオ
・レイハリア

全ての条件を終えて残ったのは、サトノアイ*、ゾンニッヒ、ナムラクレア、レッドベルオーブ、ヴァトレニの5頭となった。この中で激走候補として名前を挙げておきたいのはレッドベルオーブ。かつて朝日杯フューチュリティSで1番人気に支持された逸材で、スプリント路線に転向後は徐々にスピード競馬にも慣れてきている。そろそろ激走があってもおかしくないだろう。

最後になりますが、今回が私にとって最後の「ハイブリッド式消去法」の執筆となりました。次回から二代目が引継ぎますので、これからも「ハイブリッド式消去法」をよろしくお願いします。

【ライタープロフィール】
八木 遊
野球兼競馬ライター。スポーツデータ会社やテレビ局の校閲職などを経てフリーに。2022年の全重賞回収率は67.0%。今年は中山金杯からホープフルSまで、消去を免れた馬の三連複ボックスを買い続ける予定。今年の回収率は26.4%(8月20日現在)。

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