【キーンランドC】枠順と前走着順からレースを分析 京大競馬研の本命はナムラクレア
京都大学競馬研究会
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内枠勢には厳しいレース 狙いは外枠
8月27日(日)にキーンランドC(GⅢ・芝1200m)が札幌競馬場で行われる。昨年は6番人気ヴェントヴォーチェが快勝し、2着ウインマーベルはその後スプリンターズSで2着になるなどレベルの高い一戦となった。今年は高松宮記念2着馬ナムラクレア、函館SSの勝ち馬キミワクイーン、同1番人気だったトウシンマカオなど注目馬が揃った。以下では、枠順と前走着順に着目してレースを分析していく。
まず、札幌で行われた過去10回(2012年、14~22年)のキーンランドCにおける枠順別成績について調べた。ここでは、外枠が好成績であることが分かった。
内から見ていくと、1枠は【0-0-1-16】、2枠は【1-0-1-14】。連対は2012年1着のパドトロワのみ。同馬はGⅢ・3勝、GⅠ・2着などかなり力のあった馬で、並の馬では内枠から好走することは中々難しいと考えられる。
中枠から最も注目したいのは4枠で、【2-3-1-14】と優れた成績を残している。3枠【0-2-0-17】、5枠【0-1-2-17】はそこまで成績がいいわけではないが、連対馬はいるのでこれらの枠にも気を付けたい。
最後に6~8枠。これらの枠はどれも成績が素晴らしく、6枠は【3-1-0-16】、7枠は【3-1-3-13】、8枠は【1-2-2-15】。連対馬20頭のうち11頭がこれらの枠から出ている。
先週の芝の傾向や土日に天気が悪くなる予報を考えると、今回も外目の枠が有利に働く可能性は高い。データと馬場状況を考慮して、外枠の馬を高めに、内枠の馬を低めに評価する。
前走は1着か6~9着が好走条件
同じく札幌開催の過去10回を対象に、前走着順別成績について調べた。最初に着目したいのは前走1着馬。成績は【3-4-4-20】で複勝率は30%を超えている。今年はキミワクイーン、ゾンニッヒ、シュバルツカイザーなどが該当する。
次にいいのが前走6~9着馬だ。成績は【4-1-3-31】で、勝率10.3%は前走1着馬をも上回っている。ヴァトレニ、ナムラクレアなどが該当する。
前走2~5着馬は【2-4-1-38】勝率4.4%、複勝率15.6%で、先述の2つの組と比べると成績が少し落ちている。ウインマーベル、ジュビリーヘッドなどが該当する。最後に、前走10着以下の馬は【0-1-2-32】。これまでの3つの組と比べても成績が格段に落ちるので評価を下げたい。ナランフレグなどが該当する。
好走条件を満たす馬を中心に
◎ナムラクレア
7枠、前走8着と好走条件を満たす。前走ヴィクトリアマイルは久々の1600m挑戦であったが、少し距離が長い印象を受けた。1200mへの距離短縮はプラスだ。1200m戦であれば、良馬場の時計勝負から、道悪で時計がかかるレース、右回り、左回りなどどんな条件でも好走を見せており、地力は現役スプリンターの中で間違いなくトップクラスだ。今回は渋った洋芝で時計がかかるタフな一戦になると予想されるが、高松宮記念でも不良馬場で好走しており、この馬にとっては十分にこなせる舞台である。
これまでGⅢの芝1200mの重賞では一度だけ3着に敗れている(22年北九州記念)が、これは鞍上のミスが大きく響いた結果。普通にレースを運べればこのクラスのスプリント戦で負けることは想像しにくい。シルクロードSでは56.5kgのハンデを背負う中で勝利し、今回は他馬と同じ55kgで出走できるので斤量面での不利もない。スプリンターズSへの叩きではあるが、状態も良く、枠順や相手関係を踏まえてもここは勝たなければならないレースになる。
◯ヴァトレニ
6枠、前走7着と好走条件を満たす。函館SSは先行勢に少し厳しい展開になったことで7着に敗れたものの、今年は北九州短距離Sを勝利しており、まだまだ力は衰えていない。昨年のこのレースで3着に入るなどの洋芝巧者であり、札幌では3勝を挙げている。
今回は積極的に前に行きたい馬が少ないメンバー構成。近走思ったほど位置が取れていないこの馬にとってはプラスに作用する。また、1200m戦の時計勝負は少し苦しい印象で、馬場が渋って時計がかかりそうなのも好材料だ。状態も良さそうで、枠も丁度いいところに入った。狙い目だ。
▲カイザーメランジェ
好データの4枠。前走はこの馬にとって時計が速く、2走前は展開が向かず苦しい競馬になったが、函館SSは4着、春雷Sは重馬場で5着、オーシャンSでは7着と、ある程度時計がかかる条件で展開さえ向けばまだまだやれる力はある。近走は先行できていないが、春雷Sくらいの位置が取れれば一発あってもおかしくない。
△ゾンニッヒ
前走は初の芝1200m戦だったが、しっかりとスプリント戦の流れに適応して勝ち切った。とはいえ、元々はマイルや中距離戦線で活躍していた馬であり、スピード能力に関してはそこまで秀でたタイプではない。この距離で時計勝負になると苦しくなりそうで、馬場が渋るのは歓迎だ。人気でも押さえたい。
×シュバルツカイザー
時計勝負の方が合いそうだが、データ上の好走条件は満たす。
×ナランフレグ
内の荒れた馬場を捌くならこの馬。
買い目としては、◎から印を打った馬への馬単で勝負する。
▽キーンランドC予想印▽
◎ナムラクレア
◯ヴァトレニ
▲カイザーメランジェ
△ゾンニッヒ
×シュバルツカイザー
×ナランフレグ
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えの本格派が揃う。
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