【北九州記念】ハイペース濃厚で追込み馬の出番あり Cアナライズからはデュガの大外一気を期待

貴シンジ

北九州記念の主な前走レース別成績,ⒸSPAIA

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3つのファクターから推奨馬を見つけ出す

先週の関屋記念ではアヴェラーレを推奨し4番人気1着。直線の長い新潟外回りで自慢の末脚を思う存分発揮してくれた。さて、今回は8月20日(日)小倉競馬場で行われる北九州記念について下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。

・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」

特別登録のあった20頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。


重要データ:良績を残す3つの前哨戦

前走レース別成績(一部),ⒸSPAIA


北九州記念は1200mのハンデ戦で、小回りの小倉コースということもあり、非常に荒れやすいレースで有名だ。過去10年のレース全体の単勝回収率は170%、複勝回収率は96%で、全頭の単勝を買い続けてもかなりのプラスになる。また、ここ10年は1番人気が一度も勝てておらず、予想をする上では難しい一戦だ。

そんな北九州記念で重要視したいのは前走レース。良績を残しているのはアイビスSD、CBC賞、バーデンバーデンCの3つ。アイビスSD【3-3-2-26】、CBC賞【3-2-3-36】、バーデンバーデンC【2-0-2-19】となっている。3つのレースの中でもアイビスSDは特に相性が良く、単勝回収率160%、複勝回収率137%だ。さらに絞り込むと前走時の馬体重が460~499キロだった馬の成績が良く【3-2-0-13】。単勝回収率は303%まで跳ね上がる。

【前走アイビスSDで馬体重460~499キロだった出走予定馬】
・ロードベイリーフ


前走不利データ:バーデンバーデンCのデュガ

デュガの前走はバーデンバーデンC1着。福島芝1200mはとにかく前が有利。同条件の2018年~2022年の5年間で逃げは勝率19.4%、先行は同12.1%、差しは5.6%、追込は1.1%と綺麗に前有利の傾向が出ている。

デュガはバーデンバーデンCでは11頭中9番手からのレースとなり、傾向通りならかなり厳しいポジションだった。しかし、上がり2位の馬に1.1秒差をつける上がり最速34.5秒の脚を使い、2着馬に3馬身差をつける圧勝だった。2着のオタルエバーは新潟2歳S3着、ファルコンS3着と重賞でも実績のある実力馬だっただけに、決してレースレベルが低かったわけではない。

休養明けから馬が何段階も成長を見せており、ここ2戦は菅原明良騎手とのコンビで2連勝。底を見せていない魅力もあり、ここでも通用しておかしくない。


血統解説:デュガ、ママコチャ、ロードベイリーフ

・デュガ
外国産馬のため日本で牝系は広がっていないが、祖母の半兄にデューハーストS(GⅠ・芝7F)とミドルパークS(GⅠ・芝6F)で2着したGreen Perfumeがいるという血統背景。ほかにも近親から重賞級の馬がちらほら出ていて、母Untraveledもステークスウィナーで、GⅢのここでは十分通用する活力を持っていると言える。

父Practical Jokeはダートで強い馬をよく出す種牡馬だが、本馬は母系の影響が強く、同産駒にしては柔らかさを持ったタイプに出ている。ファミリーの活躍馬を見ても芝の高速馬場の前傾ラップを得意としているのは間違いなく、逃げたい馬が揃ったここでは自慢の末脚を発揮できそうだ。

デュガの血統表,ⒸSPAIA

・ママコチャ
日本での牝祖は3代母ウェイブウインドだが、祖母シラユキヒメがその後継として一族の枝を伸ばしている。この一族は日本に入ってくる前は7代母Milongaを根幹として繁栄を見せ、Milonga自身はイタリアオークス2着の実績がある一流馬だ。

アメリカで広がったファミリーではあるものの、ダート一辺倒というわけではなく、Milongaの良さを継承した芝向きの産駒も輩出することができている。日本では18年キーンランドC勝ちのナックビーナスもこのファミリーだ。持続力を生かして競馬をするタイプが多く、成長力も兼ね備えている馬が多いのが特徴。ソダシの全妹ということでデビュー時から注目された。

父がクロフネなので牡馬であればダート特化タイプになっていた可能性が高いが、牝馬に出たことで牡馬より柔らかさがあり、芝でOPクラスまで上り詰めた。姉同様、芝の高速馬場への適性が高く、体型的にもよく似ている。従って小倉芝1200mは適条件とは言いづらい。もう少し距離はあったほうがいいし、時計の出やすい競馬場の方が良いだろう。

ママコチャの血統表,ⒸSPAIA

・ロードベイリーフ
日本での牝祖は祖母ショウナンタイム。同馬は芝ダート両方のスプリント戦を中心に、JRA・5勝を挙げた実績馬。しかし、そこからファミリーに活躍馬は出ず、本馬以外は半姉のトンボイ(父アドマイヤマックス)がJRAで2勝した程度。牝系の活力では少し見劣る。ヴァンセンヌ産駒は持続性能の高い脚を使えるのが持ち味だ。

アイビスSDではスタートで後手を踏むも、そこからずっと加速して3着に好走した。昨年も同様の競馬で3着にきており、ファミリーのスピードとヴァンセンヌ産駒の持続性能が噛み合う新潟芝1000mという条件が合っているのだろう。小倉芝1200mも悪い条件ではないが、前走からは少し割引が必要だろう。

ロードベイリーフの血統表,ⒸSPAIA

Cアナライズではデュガを推奨

最も相性が良いアイビスSD組のロードベイリーフは少し割引が必要。さらに底を見せていないママコチャも今回は適条件ではない。よって、相性の良いバーデンバーデンCを快勝し、かつ小倉芝1200mという条件をこなせそうなデュガを推奨する。

今回はメンバーを見てもハナを取りたい馬が複数いて、その後ろを形成する先行勢も多い。前にいった馬にはきついレースになる可能性が高く、後ろの馬たちにも出番はありそうだ。菅原騎手とのコンビも相性が良く2戦2勝。デュガを知り尽くした主戦の好騎乗にも期待したい。

【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。

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