【競馬】東大HCが小倉巧者を徹底検証 オルフェーヴル産駒がダートで断トツの成績、騎手は浜中俊騎手ら九州出身者が活躍

東大ホースメンクラブ

種牡馬別 芝・ダートの「小倉巧者」一覧,ⒸSPAIA

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小倉開催がスタート

今週から夏の小倉開催がスタート。小倉記念や北九州記念など4重賞の開催が予定されている。小倉大賞典、北九州記念、小倉記念を同一年に制し、小倉3冠を達成した「玄界灘の風雲児」ことメイショウカイドウを筆頭に、灼熱の九州の地で輝く小倉巧者たちは数多く存在する。

そこで今回は、種牡馬や騎手の小倉適性をデータで徹底検証。ここでは小倉コースでの勝率から全場の勝率を引いたものを「小倉巧者率」と定義し、この数値に基づいて各種牡馬や騎手の小倉コースに対する得意・不得意を見ていく(データは2013年8月10日~2023年8月6日)。


芝のゴールドシップ、ダートのオルフェーヴル

種牡馬別芝コース「小倉巧者率」一覧,ⒸSPAIA


まずは、種牡馬別に芝コースの小倉巧者率について分析する。今回は出走数が100を超えた種牡馬たちが対象だ。

頭ひとつ抜けた小倉巧者率を記録したのがゴールドシップ。巧者率はなんと10.8%-6.8%=4.0%。同馬は福島コースでも高い巧者率を記録しており、まさにローカルの大将と言って過言ではないだろう。狙い目の条件としては、距離延長組。【7-1-5-28】で勝率17.1%、単勝回収率130%を記録している。また、前目での競馬が有利なローカルらしく、前走4コーナー4番手以内の馬は【8-3-4-27】で勝率19.0%、単勝回収率135%でプラス域だ。

2012年ダービー馬・ディープブリランテも8.1%-6.4%=1.7%とまずまずの巧者率を記録。コース別では1800mの成績が良く、【6-4-5-29】で勝率13.6%、単勝回収率177%。また、産駒には道悪巧者が多く、重馬場では【4-1-1-12】で勝率22.2%、単勝回収率248%と妙味たっぷりだ。

つづいては、こちらも2010年ダービー馬・エイシンフラッシュ。7.8%-5.7%=2.1%の小倉巧者率を記録している。距離短縮組が【6-3-1-42】で勝率11.5%、単勝回収率319%と妙味十分だ。末脚が着順に直結しにくいのがローカルの常だが、レースで上がり3F最速を記録した産駒の成績は【4-3-1-4】で勝率33.3%、単勝回収率1125%。父譲りの末脚は小倉でも十分通用している。

京都や福島など、数多くの競馬場で高い巧者率を記録していたキズナであるが、小倉では8.2%-9.9%=-1.7%と大幅なマイナス値を記録。買うかどうかは慎重に判断したい。


種牡馬別ダートコース「小倉巧者率」一覧,ⒸSPAIA


次にダートコースにおける種牡馬別の小倉巧者率を見ていこう。対象は出走数が100以上の種牡馬とする。

抜けた小倉適性を示したのがオルフェーヴルで、巧者率は15.4%-9.4%=6.0%と驚異的な値だ。狙い目は下級条件で、未勝利では【8-6-4-34】勝率15.4%、単勝回収率138%、1勝クラスでは【11-3-3-37】勝率20.4%、単勝回収率195%を記録。また、妙味があるのは短距離。特にダート1000mでは【6-4-2-25】勝率16.2%、単勝回収率134%とベタ買いするだけでプラスだ。

パイロも10.5%-8.1%=2.4%で高い巧者率を記録。距離延長組が【6-2-1-40】で勝率12.2%、単勝回収率は123%であり優秀だ。また外枠の成績がよく、8枠では【4-4-1-18】で勝率14.8%、単勝回収率199%を叩き出している。

その他、スマートファルコンが9.2%-6.8%=2.4%を記録。砂のサイレンススズカと呼ばれ、逃げで他馬を圧倒し重賞19勝を挙げた同馬であるが、産駒は末脚自慢が狙い目。レースで上がり3F1位を記録した馬は【8-7-0-3】で勝率44.4%、単勝回収率967%と驚異的な成績だ。また、”前走”上がり最速でも【2-2-0-6】で勝率20.0%、単勝回収率124%とプラス域をキープしている。

マイナスが特に目立ったのがヘニーヒューズ。巧者率は7.2%-10.9%=-3.7%であり、大きく評価を割り引く必要がありそうだ。


種牡馬別「小倉巧者率」一覧,ⒸSPAIA


強い九州出身ジョッキー

 騎手別「小倉巧者率」一覧,ⒸSPAIA


最後に騎手別の小倉巧者率を見ていく。騎乗数が100以上の騎手を対象とする。

群を抜いて高い小倉巧者率を示したのは、福岡県出身の浜中俊騎手。気になる巧者率は14.7%-11.4%=3.3%である。芝では勝率13.6%、単勝回収率68%、ダートでは同16.9%、同回収率91%を記録しており、狙うならダートだ。特に良馬場のダートなら【27-21-18-89】で単勝回収率107%とプラス域。また前走上がり3F1位の馬に騎乗した時は【22-15-10-37】で複勝率56.0%。芝、ダート問わず末脚を生かす騎乗に長けている。

佐賀県出身の川田将雅騎手も23.7%-21.4%=2.3%と高い巧者率を誇る。全場の勝率が21.4%と非常に高い中でこの巧者率を記録しており、圧巻としか言いようがない。コース別ではダート1700mが【38-28-13-70】で勝率25.5%、単勝回収率96%、芝1800mが【31-24-13-41】で勝率28.4%、単勝回収率93%と優秀。また、前目につけやすい距離延長組に騎乗した際は【36-27-18-42】で勝率29.3%、単勝回収率130%を記録している。

松若風馬騎手は9.5%-6.8%=2.7%の巧者率を記録。芝、ダートを問わず短距離を得意としているのが特徴だ。芝1200mでは【29-16-19-279】勝率8.5%、単勝回収率192%、ダート1000mでは【15-10-9-82】勝率12.9%、単勝回収率136%とどちらも単勝回収率100%オーバーである。北九州記念や小倉2歳Sといった短距離重賞では要注目だ。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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