【函館記念】前走度外視で連覇に期待 東大HCの本命はハヤヤッコ

東大ホースメンクラブ

2023年函館記念、脚質別成績(過去10年),ⒸSPAIA

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難解重賞の代表格

今週日曜日、函館競馬場でGⅢ函館記念が行われる。昨年の覇者ハヤヤッコ、巴賞を勝ち重賞でも好走歴のあるアラタ、その巴賞で4分の3馬身差の2着だったドーブネ、昨年のセントライト記念でガイアフォース、アスクビクターモアに次ぐ3着に入り、前走で3勝クラスを突破したローシャムパークなどが集結した。

3連単の配当は過去10回中7回で10万円を超え、20年には15-13-3番人気の決着で343万円の払戻となった。極めて難解なレースだが、どう立ち向かえばよいか。今週も過去10年のデータから検討していく。


前で進めた馬に恩恵

函館記念の脚質別成績,ⒸSPAIA


<過去10年の函館記念・脚質別成績>
逃げ【3-0-1-7】勝率27.3%/連対率27.3%/複勝率36.4%
先行【5-5-5-18】勝率15.2%/連対率30.3%/複勝率45.5%
差し【1-3-3-55】勝率1.6%/連対率6.5%/複勝率11.3%
追込【0-1-1-48】勝率0.0%/連対率2.0%/複勝率4.0%
マクリ【1-1-0-1】勝率33.3%/連対率66.7%/複勝率66.7%

過去10年の脚質別成績を確認すると、小回りの函館コースらしくやはり逃げ先行馬が圧倒的で、後ろから進めた馬は2、3着止まりのケースが多いことがわかる。また14年にはラブイズブーシェがマクリを決めており、4コーナーでの位置取りが分水嶺である。

ただ、近走で前に行った馬だけ買うべきかと言えばそうではなく、前走差し追込にまわった馬が7勝をあげていることも見逃せない。特に前走で中団から運んだ馬は【5-6-6-45】と連対数が多く、複勝回収率も165%ある。ここに馬券のヒントがありそうだ。

函館記念、前走差し馬の脚質別成績,ⒸSPAIA


<過去10年の函館記念・前走差し馬の脚質別成績>
逃げ【1-0-0-0】勝率100.0%/連対率100.0%/複勝率100.0%
先行【2-4-3-7】勝率12.5%/連対率37.5%/複勝率56.3%
差し【1-2-2-20】勝率4.0%/連対率12.0%/複勝率20.0%
追込【0-0-1-18】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率5.3%
※マクリ【1-0-0-0】

前走差し馬の函館記念での位置取りに注目する。すると、前走で中団にいた馬が逃げ先行策をとったケースの複勝率の高さが浮き彫りとなる。

また、前走差しで6~9着だった馬は【3-1-2-9】複勝率40.0%、10着以下も【0-3-2-19】複勝率20.0%ながら複勝回収率は194%ある。前走で先行していない、あるいは中団追走から見せ場なく大敗したという理由だけで消すのは避けたいところだ。

ただし、函館記念でも差し追込の位置を選択した馬は、やはり凡走する確率が高い。4コーナー5番手以下だと5番人気以内でも【0-0-1-11】。人気を集めている差し馬は要注意だ。


巴賞好走馬が不振

函館記念の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


<過去10年の函館記念・前走クラス別成績>
3勝C【0-0-1-4】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率20.0%
OP【1-4-2-67】勝率1.4%/連対率6.8%/複勝率9.5%
GⅢ【5-2-4-33】勝率11.4%/連対率15.9%/複勝率25.0%
GⅡ【3-3-0-11】勝率17.6%/連対率35.3%/複勝率35.3%
GⅠ【1-1-3-12】勝率5.9%/連対率11.8%/複勝率29.4%

最後にクラス別成績を確認する。まず今回4頭が出走する3勝C(クラス)組だが、参戦は5例あり、14年にステラウインドが7番人気3着となった以外は全て掲示板外であった。ただしこの5頭の平均人気は9.6であり、函館記念後も含め重賞好走のある馬はステラウインド(翌年の七夕賞で2着)のみ。今までに出走した馬の実力不足と片付けてよい。

前走OP組の多くを占めるのが【1-4-1-49】複勝率10.9%の巴賞組。ただし巴賞で3着以内に入った馬は【0-0-1-19】と高確率で馬券圏外に沈んでおり、函館記念で連対したのはすべて6着以下だった馬。求められる適性がかなり違うのだろう。アラタやドーブネには厳しいデータだ。

最後に前走重賞組について。主なところで言えばエプソムC組が【2-1-0-7】、鳴尾記念組が【2-0-1-10】。重賞組は0.5秒差以内の負けだと【4-3-2-11】複勝率45.0%と安定した成績で、重賞実績馬ならある程度信頼できると言える。


連覇に期待

◎ハヤヤッコ
昨年の覇者。新潟大賞典は得意な道悪にもかかわらず大敗を喫したが、金鯱賞、日経新春杯では0.5秒差、中日新聞杯は0.1秒差と、それ以外の重賞では大負けしておらず、前走は度外視で狙いたい。昨年優勝した際に騎乗した浜中俊騎手とのコンビが復活することも心強い。58.5kgのハンデを課されるが、それを克服し連覇を果たしてほしい。

◯マイネルウィルトス
昨年の目黒記念(2走前)ではボッケリーニの2着に入った実績馬。函館記念は4コーナーでマクリをかけ、ハヤヤッコこそかわせなかったが2着に入り、3着には3馬身差をつけた。そこから1年ぶりのレースとなる。週末の函館は雨予想で馬場が渋りそうだが、この馬は函館記念を含め稍重~不良で【2-2-3-1】と道悪が得意だ。

▲ブローザホーン
前走は不良馬場の京都芝2200m戦。道中4~5番手で進めると、上がり3Fはメンバー中断トツの35.9秒をマークし、直線でぐんぐん突き放して5馬身差の圧勝劇。2勝クラスから2連勝で鮮やかにオープン入りを決めた。今年に入ってから余裕のあるローテで使われて実績を残しており、2ヶ月ぶりのレースでも問題なし。初重賞でも十分やれるだろう。

以下ローシャムパーク、ユニコーンライオン、ロングランまで印を回す。馬券は◎軸の3連複で勝負する。

▽函館記念予想印▽
◎ハヤヤッコ
◯マイネルウィルトス
▲ブローザホーン
△ローシャムパーク
×ユニコーンライオン
×ロングラン

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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