【函館記念】過去5年で11頭が馬券に絡んだ「スタミナ自慢の血統」とは 有力馬の血統解説
坂上明大
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【傾向解説】
サマー2000シリーズ第2戦・函館記念。洋芝、1周距離1651.8m(Bコース)、梅雨時期など中央場所とは大きく条件が異なり、ハンデ戦のため能力面も比較的平らに均される一戦。暑さも厳しいため状態面も重要なファクターですが、まずは血統面を中心に函館記念で求められる適性を整理していきます。
前述の通り、日本の主流カテゴリーの中では特殊な適性が求められる函館記念ですが、特に連続開催の最終日に行われる点は大きなポイント。ただでさえ重たい函館の芝が、より一層スタミナが求められる重厚な舞台に変化している可能性が高いです。前走距離別成績を比較しても、2000m未満を使ってきた距離延長馬の成績が非常に悪いことがわかります。スレンダーな軽量馬の成績が良いことも同じ理由で、長距離戦を使ってきたようなスタミナ自慢が穴を開けるのが、函館記念の特徴といえるでしょう。
<前走距離別成績(過去10年)>
距離延長【3-5-3-73】勝率3.6%/連対率9.5%/複勝率13.1%/単回収率26%/複回収率62%
同距離【4-1-6-34】勝率8.9%/連対率11.1%/複勝率24.4%/単回収率212%/複回収率145%
距離延長【3-4-1-22】勝率10.0%/連対率23.3%/複勝率26.7%/単回収率107%/複回収率150%
血統面ではRobertoの血に注目。Robertoはサンデーサイレンスの父Haloと同じくHail to Reason産駒ですが、Blue LarkspurやSir Gallahad=Bull Dogから強靭なパワーを、母が持つSardanapaleの4×4から豊富なスタミナを継承しており、瞬発力に優れたHalo→サンデーサイレンス系とは異なったパワーとスタミナに優れた父系を築いています。過去5年の馬券圏内馬15頭中11頭がRobertoの血を内包しており、重馬場で行われた昨年は馬券圏内を独占。二桁人気馬も複数好走しており、函館記念で最も注目すべき血統といえるでしょう。
その他ではステイゴールド系にも要注目。こちらはHalo→サンデーサイレンス系ではあるものの、自身や産駒が海外で大活躍している通り、日本の主流からはややズレた適性が持ち味の名種牡馬です。スタミナや道悪馬場に優れた適性は函館記念にピッタリで、この特徴は後継種牡馬であるドリームジャーニー=オルフェーヴル、ゴールドシップにもしっかりと伝わっています。
<血統別成績(過去10年)>
Roberto【3-6-8-46】勝率4.8%/連対率14.3%/複勝率27.0%/単回収率56%/複回収率147%
ステイゴールド【1-1-4-14】勝率5.0%/連対率10.0%/複勝率30.0%/単回収率37%/複回収率116%
【血統解説】
・ローシャムパーク
3代母エアグルーヴに遡る名牝系に属し、母レネットグルーヴはドゥラメンテと同じ父キングカメハメハ、母父サンデーサイレンス、母母エアグルーヴという配合形。ハービンジャーを父に配した本馬も牝系譲りの雄大なストライド走法で、直線の長いコースでは連対を外したことがありません。その反面、小回りコースは少々窮屈な感があり、函館競馬場は持ち味を活かしづらい舞台といえるでしょう。
・アラタ
母母バルドウィナは短距離重賞4勝馬ワンカラットや桜花賞馬ジュエラーなどを出す優秀な繁殖牝馬で、本馬の母サンシャインも2012年愛知杯2着など中距離路線で活躍。万能種牡馬キングカメハメハ産駒の本馬も母と同じく機動力が持ち味の中距離馬で、決め手に欠ける反面、堅実な走りが持ち味です。今回は巴賞からの臨戦で距離延長の形ではありますが、函館芝2600mの2勝クラスを勝っていることから、この舞台でも堅実な走りを見せてくれそうです。
・ブローザホーン
母オートクレールは芝とダートを問わず1600m以下で4勝を挙げたスピード馬ですが、本馬は芝長距離適性の高いエピファネイア産駒。さらに自身が馬体重420キロ前後の小柄な馬体でありながら芝2000m以上で4勝を挙げていることからも、豊富なスタミナが持ち味のRoberto系産駒といえるでしょう。ハンデ戦のため斤量にも恵まれ、いきなりの激走があっても驚けない注目馬です。
ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。
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