【函館記念】3連覇後も挑戦を続けたエリモハリアー 優勝馬の最高齢など「記録」を振り返る

緒方きしん

函館記念の「記録」,ⒸSPAIA

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3連覇を達成した函館巧者、エリモハリアー

夏競馬が本格化し始めて、今週は北海道で函館記念が開催される。2020、2021年と2年連続でバイオスパークが3着に入っているように、リピーターレースでもある。古くは皐月賞馬リュウズキが1967、1968年に連覇を達成。1974、1975年にはツキサムホマレが、1984年、1985年にはウインザーノットが連覇を果たしている。そしてこのレースで史上最多の3連覇を達成しているのがエリモハリアーである。

エリモハリアーは2002年デビュー。生産は母のエリモハスラーと同じくえりも農場で、父はジェネラスという血統だ。デビュー前からせん馬となっていた。デビューはダート1400m戦で10着、2戦目の芝2000m戦でも7着と、しばらくは振るわないレースが続いた。

札幌で初勝利をあげてからは、コツコツと勝ち星を積み上げたエリモハリアー。重賞初挑戦はデビュー26戦目の4歳秋、福島記念だった。そこで9着に敗れると条件戦に戻り、5歳夏には函館の巴賞でオープン勝ちを収めた。そしてその次走が運命の一戦となる、函館記念だった。

初挑戦は6番人気と中穴の評価だった。道中3、4番手のポジションを確保してレースを進め、2着に1.3/4差をつけて快勝。晴れて重賞馬となったが、その後は朝日チャレンジC2着、カシオペアS2着、金鯱賞3着と勝ち切れないレースが続いた。2度目の函館記念は巴賞2着からの臨戦。1番人気に推されたエリモハリアーは、エアシェイディやマヤノライジンといった5歳馬を退け連覇を達成した。3度目の函館記念は前走の巴賞で11着と、完全に調子を落としていたため7番人気という評価。ところが、7歳馬とは思えぬ鋭い末脚を繰り出し、2着に1馬身差をつけて快勝した。

8歳になってもエリモハリアーの挑戦は続いた。4度目は再び上がり最速の末脚を発揮したものの、4、5歳馬の勢いには及ばず4着。10歳となった2010年にはラストランの舞台にこのレースを選択し、13着に敗れつつも堂々とターフを去った。そしてこの活躍で、ジェネラス産駒の獲得賞金トップに躍り出た。ジェネラスは母父としてガルボやブラックムーンなどを送り出している。エリモハリアーはその代表産駒として、今もなお、その名を残している。


10歳で2着し11歳で5着、異例な存在のマヤノライジン

7歳という馬齢になっても力強い走りを見せ、函館記念3連覇を達成したエリモハリアー。しかし、それをさらに上回る8歳で制したのが、2011年の勝ち馬キングトップガンである。これは同レースにおける最年長勝利である。その年の2着は10歳のマヤノライジンで、3着は8歳のアクシオン。3着までの3頭の馬齢合計が26歳という異例の結果だった。

マヤノライジンは函館記念に6度チャレンジした馬でもある。初挑戦はエリモハリアーが同レース2勝目をあげた2006年で、この頃はまだ5歳だった。そこで3着になると7歳で5着、8歳で2着と好走。9歳では8着に敗れたものの、10歳で2着と脅威の走りを見せた。エリモハリアー同様、ラストランは函館記念。11歳とあって10番人気の低評価だったが、それでも5着と掲示板に食い込んだ。最後まで函館記念巧者ぶりを堅持して引退した。

本レースのレコードホルダーは、1988年に1:57.8を叩き出したサッカーボーイ。天賦の才を持つ若駒が、観衆を驚愕させた一戦である。函館記念は、昭和からレコードが更新されていない珍しいレースでもある。昨年は2:03.6と時計がかかったが、今年はレコードが塗り替えられるようなレースになるだろうか。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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