【ラジオNIKKEI賞】有力候補はバルサムノートとレーベンスティール 牝馬ウヴァロヴァイトも能力高い

勝木淳

ラジオNIKKEI賞に関するデータ,ⒸSPAIA

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福島開幕週は内枠有利

関東圏の競馬も今週から福島へ移り、いよいよ夏の空気へ入れ替わる。4週間の福島開催は例年通り、前半2週に重賞が組まれている。開幕週はラジオNIKKEI賞。3歳限定のハンデキャップ重賞は、頂点を決するダービーに出走できなかった馬、間に合わなかった馬が集い、実りの秋に向けて賞金加算を競う。

今年はスイートピーS勝ちから転戦するウヴァロヴァイトも出走を表明している。賞金を加算できず、クラシック出走が叶わなかった牡馬や、春後半に2勝目をあげた組もいて、例年通りの対戦比較の難しい混戦が予想される。データは過去10年分を使用する。

ラジオNIKKEI賞の人気別成績,ⒸSPAIA


横の比較が難しい上にハンデ戦とあって、1番人気は【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%とやや心もとない。2、3番人気も同じような数字が並び、上位は似たような感じ。5番人気【1-0-3-6】勝率10.0%、複勝率40.0%、8番人気が1番人気と同じ【2-2-0-6】勝率20.0%、複勝率40.0%。以下、9番人気【0-2-2-6】複勝率40.0%、10番人気以下【0-2-1-53】複勝率5.4%なので、穴馬の激走も頭に入れておきたい。

ラジオNIKKEI賞の枠番別成績,ⒸSPAIA


次に枠番別成績をみる。開幕週に移って10年、昨年は3枠3番フェーングロッテンがインを突いて勝ったように内枠に良績が集中している。

1枠【3-1-2-10】勝率18.8%、複勝率37.5%、2枠【2-2-3-9】勝率12.5%、複勝率43.8%に対し、7枠【1-0-2-17】勝率5.0%、複勝率15.0%、8枠【1-1-1-17】勝率5.0%、複勝率15.0%。4枠【0-0-0-18】、5枠【1-3-1-15】勝率5.0%、複勝率25.0%と真ん中はやや極端だが、基本的に3枠より内側が優位になる点は覚えておいて損はない。このレースに限らず、福島の開幕週は内枠優勢。これは基本でもある。


能力高いウヴァロヴァイト

まずは大雑把に人気より枠順を基本ベースにしながら、検討を進めよう。そのなかで、前走成績にどんな傾向があるのか。その点について書き進めていく。

ラジオNIKKEI賞の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


ひとつ注意したい傾向が前走GⅠ組は【0-4-3-21】と未勝利である点だ。前走クラシック出走馬のラジオNIKKEI賞勝利は2001年トラストファイヤー以来ない(当時はラジオたんぱ賞)。今年は皐月賞でハイペースを演出し、12着に沈んだグラニットが出走予定。先行優位の開幕週という状況を踏まえ、人気に支持されるようなら、慎重に取捨したいところだ。

ラジオNIKKEI賞の前走レース別成績(重賞),ⒸSPAIA


前走皐月賞は【0-1-1-6】複勝率25.0%となんとも評価が難しい。とはいえ、皐月賞を逃げた馬は【0-1-0-1】。21年ワールドリバイバルが11番人気で2着に残った。皐月賞で逃げを打てるほどの先行力には一定の評価が必要だろう。ただ、人気でマークされる立場になれば、再度ハイペース誘発の場面も考えられる。

GⅠに限らず、前走重賞は【2-4-4-40】勝率4.0%、複勝率20.0%と全体的に強力ではない。クラシックを目指して戦い、夏に向けて余力がない馬も案外いるということだろう。共同通信杯7着以来のコレペティトールは余力がありそうで面白い。

ラジオNIKKEI賞の前走レース別成績(OP・L),ⒸSPAIA


このレースの主力は前走オープン・L【5-2-1-20】勝率17.9%、複勝率28.6%。今年気になるのはバルサムノート、アイスグリーンなどが当てはまる白百合S組【2-1-0-9】勝率16.7%、複勝率25.0%。ここは3着以内【2-1-0-4】、4着以下【0-0-0-5】と好走馬を素直に信頼しよう。

今年の白百合Sは京都芝外回り1800m戦らしく前半600m35.1で入り、中盤で緩み、1000m通過59.8のスローペースだった。最後の600mは11.5-11.2-11.4で34.1。好位から抜けたアイスグリーンに展開が向いたところを、バルサムノートが33.6の決め手で逆転した。逃げて3着セオも含め、能力的にはバルサムノートが上か。データ上は厳しいが、6着スズカハービンは条件も馬場も流れも不向きの一戦で、2走前・山藤賞のような極悪馬場やハイペースの我慢比べになった際は再浮上があってもいい。

ウヴァロヴァイトのスイートピーSは【0-0-0-3】で好走なし。だが、3頭はすべてスイートピーS敗退馬。勝った馬の参戦はないので、判断できない。オークストライアルを制しながらオークスを回避したのは昨年のウインエクレールと同じで、近年は無理をさせない。この判断が吉と出る可能性はある。

なぜなら、ウヴァロヴァイトはクイーンC組。オークス2着ハーパー、NHKマイルC2着ウンブライル、忘れな草賞を勝ったグランベルナデット、牡馬相手に2勝クラスを勝ったミカッテヨンデイイが出走していた。当時は直線で不利を受け、4番人気10着に沈んだが、次走スイートピーSを勝ったように能力値は高い。

ラジオNIKKEI賞の前走1勝クラス、距離別成績,ⒸSPAIA


最後に前走1勝クラス【2-4-4-48】勝率3.4%、複勝率17.2%について。その距離別成績をみると、1800m【2-1-1-13】勝率11.8%、複勝率23.5%、1800m超【0-2-2-17】複勝率19.0%と1800m以上を経験した馬が優勢だ。同じ東京の1勝クラス勝ちでも、シルトホルンよりレーベンスティールに可能性を感じる。

ラジオNIKKEI賞のデータ、インフォグラフィック,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『ゴールドシップ伝説 愛さずにいられない反逆児』(星海社新書)に寄稿。


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