【函館スプリントS】3歳牝馬が強くブトンドール有力 古馬勢ならヴィズサクセスが面白い
勝木淳
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今年も3歳牝馬
JRA北海道シリーズ開幕。こう書くともうすっかり夏だ。関東に拠点を構える筆者にとって、夏の北海道はあこがれ。なんとか仕事をやりくりし、馬券で儲け、いざ北海道へ。そんな目標を立てることウン十年。いや、あきらめるものか。今年こそ。
さて今年も函館からはじまるシリーズ、その開幕を告げるのはサマースプリントシリーズ第1戦の函館スプリントS。昨年、ナムラクレアが圧勝し、一躍スプリント戦線のヒロイン候補に躍り出た。その影響もあり、今年は例年以上に3歳馬の登録が目立つ。さて、今年も新顔登場となるか。注目の一戦だ。データは五輪の影響で札幌施行になった21年も合わせ、過去10年分を使用する。
高松宮記念以降、スプリント戦線のトップクラスは香港か京王杯SC、または安田記念へ進むのが通例であり、今年もGⅠ大敗組の出直しと路線変更の3歳勢にベテラン組が加わるといった図式だ。能力比較が難しい年も多く、1番人気は【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%と抜けていない。2番人気【0-2-0-8】複勝率20.0%は気になるが、それ以降、7番人気までは横一線。8番人気も1勝しており、10番人気以下【1-3-2-52】勝率1.7%、複勝率10.3%。どこからでも入れる。
ナムラクレアの勝利に象徴されるように、3歳は【3-2-2-11】勝率16.7%、複勝率38.9%と好成績だ。ナムラクレアが50キロだったように斤量のアドバンテージは大きく、3歳牝馬は【3-0-1-5】勝率33.3%、複勝率44.4%。夏競馬らしく牝馬が強い。今年も3歳牝馬から目を離せない。一方、古馬勢は4歳【2-2-3-15】勝率9.1%、複勝率31.8%、5歳【3-3-3-40】勝率6.1%、複勝率18.4%とこちらも若い組がいい。
古馬勢で強いてあげるならヴィズサクセス
今年の3歳牝馬もブトンドール、リバーラという1400m以下の重賞勝ち馬に加え、ムーンプローブはスプリント寄りの馬が強いフィリーズレビュー2着馬。路線変更が吉と出そうなタイプがそろった。ここからは前走データを中心に好走候補を探ってみよう。
前走GⅠは【5-2-4-30】勝率12.2%、複勝率26.8%で中心と考えていい。その内訳は桜花賞【3-0-0-2】勝率、複勝率60.0%、高松宮記念【2-0-1-21】勝率8.3%、複勝率12.5%。桜花賞組は9着以下【2-0-0-2】なので、やはり路線転換が吉と出る。9着ブトンドール、17着ムーンプローブは有力だ。
なかでもブトンドールは昨年の函館2歳チャンピオンで舞台適性も上々。マイルでは成績を落とすものの、1400mは重賞で0.2差2着、0.4差6着と着差を詰めてくるあたりはいかにもスプリンター。見え見えな点はかえって不安だが、素直に考えれば1200mなら十分好走できるだろう。ムーンプローブは上記の通りフィリーズレビュー好走からスプリント適性を感じるが、こちらは1200m戦未出走で未知の部分がある。
次に古馬勢の高松宮記念について。こちらは3着【1-0-1-1】、10着以下【1-0-0-13】なので、二桁着順だったディヴィナシオン以下は評価が難しい。14年ガルボが11着大敗から勝利しているが、それ以外の好走はこの10年間ない。
前走オープン・L【1-5-3-58】勝率1.5%、複勝率13.4%は韋駄天S【1-1-0-11】勝率7.7%、複勝率15.4%に注目。勝ったのは19年韋駄天S6着だったカイザーメランジェだ。9着マウンテンムスメはどちらかといえば、新潟直線1000mに良績が集まるタイプで、狙いはアイビスサマーダッシュだろうか。ならば鞍馬S【0-2-0-15】。4着以内【0-2-0-8】、5着以下【0-0-0-7】で9着ヴァトレニは取捨に気をつけよう。というのも同馬は昨年、オープンの青函Sで同舞台V、キーンランドC3着と北海道シリーズに実績があり、上位人気が予想されるからだ。
オープンでいえば今年は春雷S組も複数出走予定だが、データ上は【0-0-1-7】とさほどでもない。好走は22年春雷S4着だったタイセイアベニールの13番人気3着だけ。昨年まで【0-0-0-6】だったので、今年も続くかは分からないが、2着キミワクイーンは札幌で2勝クラスを突破、3勝クラスと前走はどちらも1.08.8で開幕週の馬場は微妙。雨が降れば面白い。
もう一つ、レース名が変わってしまったが、春の福島芝1200mのオープンに出走した馬は【0-0-1-2】。13年福島民友C2着フォーエバーマークが3着だった。イメージが重なるのがモルガナイトSを勝ったヴィズサクセス。前回は展開を読んでマイペースの逃げがはまった面もあるが、昨年は函館で3勝クラスを突破している。こちらも開幕週の馬場状態次第だが、再度先手を奪うようなら一発あってもいい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。
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