【安田記念】最高馬体重の優勝馬はタイキブリザード、馬連の最高配当は12万600円! 「最高記録」を振り返る

緒方きしん

安田記念の様々な記録,ⒸSPAIA

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546kgの雄大な馬体で制したタイキブリザード

マイル戦を得意とする筋骨隆々な名馬たちが集う安田記念。過去の勝ち馬にはモーリスやロードカナロア、タイキシャトルといった馬体重500kg以上の馬たちが並ぶ。これはダービーなどと比べると当然ながら大きな差がある。ダービーを馬体重500kg以上で制した馬は、1986年以降では5頭しかいない。最重量は514kg(アイネスフウジン、ディープスカイ)である。500kg以上の馬がひしめき合う安田記念とは大きな違いがある。まずは馬体重の面から過去の勝ち馬たちを振り返る。なお、データは注釈がない限り1986年以降のものとする。

馬体重520kg台で安田記念を制したのは、サトノアラジン、ブラックホーク、ギャロップダイナの3頭。サトノアラジンは7番人気での勝利で、 2着ロゴタイプ(8番人気)との馬連は万馬券になっている。ブラックホークは9番人気という伏兵評価を覆しており、2着ブレイクタイム(15番人気)との馬連は安田記念史上最高配当の1206倍だった。

馬体重530kg台で制したのは、ブリッシュラックとダイワメジャーの2頭。こちらは2006、2007年と2年連続で大型馬の勝利となった。ちなみにダイワメジャーはサンデーサイレンス産駒にとって、このレース唯一の勝ち星でもある。

最重量で制したのは1997年のタイキブリザード。その馬体重はなんと546kg。同馬は1995年にジャパンC4着、有馬記念2着と善戦。 翌年は安田記念で2着になり渡米するなど、 様々な条件のレースに挑戦していた。 1997年は始動戦となった京王杯SCを勝利。 続く安田記念で念願のGⅠ勝利を掴み取り、「善戦マン」の名を返上したのであった。 鞍上の岡部幸雄騎手は翌年にもタイキシャトルで同レースを制し、レース史上最多の4勝目をあげている。

ちなみにこの年の8着馬ヒシアケボノは馬体重560kgと、 1986年以降では2番目に重い馬体重で安田記念に出走。なお1番重かったのは1986年5着のトーアファルコン。580kgとダントツの数字だった。


種牡馬の最多勝は4勝のディープインパクト

上述の通り、 サンデーサイレンス産駒の勝ち星はダイワメジャーの1勝のみ。ほかにはキングカメハメハやステイゴールド、ノーザンテーストなどもそれぞれ1勝ずつにとどまっている。2勝をあげている種牡馬はタニノギムレット、ニホンピロウイナー、Nureyevの3頭のみ。しかし、タニノギムレットはウオッカ、ニホンピロウイナーはヤマニンゼファーがそれぞれ連覇したことによる2勝。複数の産駒で2勝をあげたのはNureyevだけである。

そんな中で、産駒の勝利数トップは4勝のディープインパクト。 3勝をあげている種牡馬が不在の中で、これは圧倒的な数字と言える。内訳はリアルインパクト、サトノアラジン、グランアレグリア、ダノンキングリーの4頭。リアルインパクトは3歳で安田記念を制覇、 ダノンキングリーは安田記念における単勝最高払い戻し(単勝47.6倍)での勝利だった。

ちなみに名種牡馬サクラユタカオーはエアジハード(1999年)と、その産駒ショウワモダン(2010年)という親子制覇に寄与しているが、 代表産駒であるサクラバクシンオーは1994年に4着に敗れ、そのサクラバクシンオー産駒もグランプリボスの2着が最高である。スピード溢れる血統でも、マイルの頂点をとるのはなかなかに難しいようだ。

母父としてもサンデーサイレンスはロゴタイプの1勝のみ。トニービンもキングカメハメハもシンボリクリスエスも、今のところは1勝のみ。ディープインパクトは未出走となっている。今年は母父ディープインパクトのレッドモンレーヴとドルチェモア、母父キングカメハメハのソダシとイルーシヴパンサー、マテンロウオリオンが出走を予定している。

今年の父親として注目なのは、サンデーサイレンス直仔・ダイワメジャーだ。 同馬も素晴らしいマイラーだったが、種牡馬としては安田記念は未勝利。今回で同産駒のセリフォスやマテンロウオリオンは父にタイトルを贈れるだろうか。父や母父の希少性にも目を配りつつ、マイルの頂上決定戦をお楽しみいただきたい。

ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。

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