【ヴィクトリアマイル】芝マイル戦では珍しくNureyevなどの欧州血統が波乱を呼ぶ 有力馬の血統解説

坂上明大

2023年ヴィクトリアマイルの傾向と血統,ⒸSPAIA

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傾向解説

古馬芝マイル女王決定戦・ヴィクトリアマイル。東京芝1600mという主流コースで行われるGⅠでありながら、過去10年で4頭の複数回好走馬(うち、ストレイトガールが2勝3着1回)が出るリピーターレースです。どこからその特殊性が生まれているのか、血統面を中心にヴィクトリアマイルで求められる適性を整理していきます。

まず紹介したいデータは前走初角番手別成績。先週のNHKマイルCと同じ東京芝1600mで行われるヴィクトリアマイルですが、末脚勝負になりやすいNHKマイルCとは異なり、先行馬有利の展開になりやすいです。

これは、今週からBコースでの開催となること、牝馬限定戦でスローペースになりやすいこと、などが影響しており、前走初角5番手以内の先行馬から多数の穴馬が誕生しています。今年は確固たる逃げ馬不在の顔ぶれ。例年以上に先行力が重要な一戦となりそうです。

前走初角番手別成績(過去10年),ⒸSPAIA


血統面では、芝マイル戦にしては欧州血統の活躍が目立つのが大きな特徴。特に、Nureyev≒Sadler's Wells=Fairy Kingを持つ人気薄の好走馬は多く、2014年11番人気1着ヴィルシーナ(母母父Nureyev)、2015年12番人気2着ケイアイエレガント(父キングカメハメハ)、2015年18番人気3着ミナレット(父スズカマンボ)、2017年11番人気2着デンコウアンジュ(父メイショウサムソン)、2019年11番人気3着クロコスミア(母母母父Sadler's Wells)、2021年10番人気2着ランブリングアレー(母母母父Sadler's Wells)などが波乱を演出しています。日本では主に芝中長距離の非主流条件で強さを発揮する血統だけに、これもヴィクトリアマイルの特殊性のひとつと言えそうです。

血統別成績(過去10年),ⒸSPAIA


血統解説

・スターズオンアース
母母スタセリタは2009年仏オークスなどGⅠ・6勝の名牝で、母サザンスターズの半妹には2017年オークス馬ソウルスターリングがいる良血。父ドゥラメンテはクラシック二冠の主流血統馬ですが、スタセリタがHyperionやLady Jurorを刺激しており、競走馬としてのバランスの良さが本馬の持ち味といえるでしょう。中距離がベストですが、総合力の高さから東京芝1600mでも合格点のパフォーマンスは見せてくれそうです。

・ソダシ
母母シラユキヒメから繋がる白毛一族で、母ブチコはNureyev≒Topsiderの4×3を持ちます。さらに、本馬は東京芝1600mGⅠで実績ありのクロフネを父に持ち、昨年は2着馬に2馬身差をつけてGⅠ・3勝目を挙げました。適性面については言うことがなく、昨年マイルCS以来の久々となる点がポイントとなりそうです。

・ナミュール
近年、勢いに乗るヴィートマルシェ牝系に属し、半兄ヴェスターヴァルトは2020年ファルコンS3着馬、半妹ラヴェルは2022年アルテミスS優勝馬という良血です。ノヴェリスト、ハービンジャー、キタサンブラックといずれも瞬発力に欠ける父の産駒ですが、このきょうだいが見せる爆発的な末脚がヴィートマルシェ牝系の良さといえるでしょう。1600mは少々短いですが、逃げ馬不在の今年なら十分にチャンスがありそうです。

ヴィクトリアマイルの傾向と血統,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
坂上明大
1992年生まれ、岐阜県出身。元競馬専門紙トラックマン(栗東)。2019年より競馬情報誌サラブレにて「種牡馬のトリセツ」「新馬戦勝ち馬全頭Check!」などの連載をスタートさせ、生駒永観氏と共同執筆で『血統のトリセツ』(KADOKAWA)を上梓。現在はYouTubeチャンネル『競馬オタク』を中心に活動し、パドック解説や番組出演、映像制作、Webメディアでの連載もこなす。

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