【京王杯SC】8歳トゥラヴェスーラ、待望の重賞タイトルへ! 高松宮記念組とゾンニッヒに好データ
勝木淳
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中2週の前哨戦
中2週の前哨戦はどこまで機能するのか。2018年以降、JRAのGⅠを中2週で勝った馬は17頭いる。スプリンターズS、フェブラリーS、大阪杯が3勝、NHKマイルC2勝で、安田記念は1勝。ところが、前走レース別では京王杯SC【0-0-0-11】でさっぱり。安田記念における中2週の好走はヴィクトリアマイルから出る。
GⅠからGⅠの中2週が機能するのは不思議だが、勝ったのは昨年のサウジ遠征後にヴィクトリアマイル5着だったソングライン。ほか好走4回はアエロリット2回と、アーモンドアイ、グランアレグリアが各1回。ヴィクトリアマイル全力投球というより、安田記念を視野に入れつつのローテだったニュアンスが強い。
京王杯SCは以前ほど、ここを叩いて本番というレースではない。安田記念出走をかける組と、1400mで稼いでおきたい短距離志向の馬が多く集まる。予想もそういった視点を意識して進めたいものだ。データは過去10年間のものを使用する。
1番人気は【4-0-0-6】勝率、複勝率40.0%と勝つか4着以下か極端。2番人気【2-3-3-2】勝率20.0%、複勝率80.0%が好成績だが、3番人気以下は横一線で、7番人気【0-2-2-6】複勝率40.0%にも好走ゾーンがある。10番人気以下【1-2-0-62】勝率1.5%、複勝率4.6%で大穴激走にも注意を払おう。
年齢別では4歳【4-0-5-33】勝率9.5%、複勝率21.4%、5歳【3-4-3-39】勝率6.1%、複勝率20.4%が主力だが、6歳【1-3-2-31】勝率2.7%、複勝率16.2%、7歳以上【2-3-0-22】勝率7.4%、複勝率18.5%とベテランも走る。このレースは前哨戦というニュアンスが薄く、出走メンバーも4、5歳の実績馬や勢いある馬が少ないため、経験を積んだベテランも好走する余地がある。トゥラヴェスーラはイメージに近い。
今年もカギは高松宮記念
今年の顔ぶれも例年と同じく高松宮記念からここに回ってくる馬たちの取捨が攻略の中心になりそうだ。この点に主眼を置き、データをみていこう。
その前に香港マイル6着のダノンスコーピオンについて。前走海外は【0-0-0-3】。香港マイルから年明け初戦というローテは13年3番人気7着サダムパテック、17年1番人気9着サトノアラジンと2例とも人気を裏切っている。サダムパテックはGⅠ馬で、サトノアラジンはこの時点で重賞2勝をあげており、どちらも叩き台というニュアンスが強かった。実際、サトノアラジンは次走安田記念を勝った。NHKマイルCの勝ち馬ダノンスコーピオンもここは安田記念とセットであり、逆手にとれば、このレースでは怖くない。
前走(国内)GⅠ【6-2-2-21】勝率19.4%、複勝率32.3%のうち、ほとんどが高松宮記念【6-2-2-19】。その5着以内【2-1-0-2】、6着以下【4-1-2-17】なので、まずは好走馬だ。3着トゥラヴェスーラは有力だろう。2年前の京王杯SC2着馬であり、この舞台も問題ない。ふた桁着順だったピクシーナイト、ウインマーベルも不良馬場での大敗と割り切れば狙える。10着以下は【3-0-0-10】。一発あっていい。
GⅠ以外の内訳は今年も大挙出走予定のダービー卿CTが【2-2-3-22】勝率6.9%、複勝率24.1%。ここは3着以内【2-1-2-4】、4着以下【0-1-1-18】なので、今年はゾンニッヒが候補だ。4勝は小倉2勝、中山2勝で、決め手より立ち回りを生かせる舞台に集中している点は気になるが、父ラブリーデイらしく古馬になって充実期を迎えており、勢いは侮れない。安田記念に出走するためにもここは突破したいところだ。
高松宮記念と同じスプリント戦のオーシャンSは【0-0-0-4】。今年も複数出走予定だが、こちらはやや頼りない数字だ。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。
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