【NHKマイルC】レコードは1:31.4のダノンシャンティ、最多勝は変則二冠で名を馳せた松田国英調教師 色々な「最高記録」
緒方きしん
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日本レコードタイムで制覇 ダノンシャンティ
レースレコードを保持しているのは、2010年の勝ち馬ダノンシャンティ。安藤勝己騎手を背に、1:31.4で勝利。同レースが1分31秒台で決着したのはこの時が初めてだった。2021年にようやくシュネルマイスターが1:31.6で勝利したが、それまでは1分32秒を切ることはなかった。
同馬の同世代には、ヴィクトワールピサやルーラーシップ、エイシンフラッシュやローズキングダムらがいる。群雄割拠のクラシック世代として盛り上がったと記憶している人も多いだろう。ダノンシャンティはデビュー2戦目で芝2000mのラジオNIKKEI杯2歳Sに挑戦。ヴィクトワールピサに勝利を譲ったものの、後の天皇賞(春)優勝馬ヒルノダムールには先着を果たした。
その後、共同通信杯2着、毎日杯1着と1800m戦で好走したが、陣営はマイル挑戦を決定。デビュー以来、最短距離となるのがNHKマイルCだった。この年は後のマイルCS勝ち馬エイシンアポロンや、後に重賞を3勝するパドトロワなど手強いメンバーが揃っていたが、ダノンシャンティは1番人気に推された。レースは後方3番手から進め、直線で上がり33.5の末脚で一気に差し切る圧倒的な強さを見せつけた。上がり2位のエーシンホワイティは34.2だったことを踏まえると、いかに強烈な追い込みだったかが分かる。ここで記録した1:31.4は当時の日本レコードでもあった。
勢いそのままにダービーへの挑戦が発表されたダノンシャンティだったが、前日に骨折が判明。出走取り消しの憂き目にあった。怪我から復帰後は3戦未勝利で現役を引退。父としては毎日杯などを制したスマートオーディンらを輩出している。
ちなみにNHKマイルCの最も遅い決着は、ダノンシャンティ勝利の2年後。カレンブラックヒルが計測した1:34.5である。1分34秒台で勝った馬は他にもウインクリューガー、ピンクカメオ、ディープスカイがいる。
変則二冠の名伯楽 松田国英調教師
このレースを最も多く制している調教師が、2021年に引退を迎えた松田国英調教師。同調教師はクロフネ、キングカメハメハ、ダノンシャンティで3勝をあげている。松田国英調教師といえばNHKマイルC→ダービーの変則二冠ローテーションを多用したことでも有名だろう。
クロフネはNHKマイルC1着→ダービー5着、キングカメハメハは両レース1着。他にもタニノギムレットがNHKマイルC3着→ダービー1着だった。積極的なレース選択は賛否両論あったが、結果を出した。
昆貢調教師が管理した2008年の勝ち馬ディープスカイも、NHKマイルC1着からダービーに挑戦し、見事に勝利を収めた1頭だ。こちらはその年の天皇賞(秋)で松田国英調教師の管理するダイワスカーレットらと激戦を繰り広げた。
松田国英調教師の管理馬たちは種牡馬としても活躍。ダイワスカーレットのライバル・ウオッカの父はタニノギムレット、ダノンシャンティ世代の2歳王者ローズキングダムの父はキングカメハメハ。そして2015年のNHKマイルC勝ち馬クラリティスカイや2017年の勝ち馬アエロリットはクロフネ産駒だ。
ちなみにNHKマイルCの最多勝種牡馬はカレンブラックヒル、メジャーエンブレム、アドマイヤマーズで3勝をあげたダイワメジャー。今年は産駒の出走こそないものの、母父ダイワメジャーのモリアーナが出走を予定している。母父としても歴史に名前を刻めるか。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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