【京都新聞杯】遅れてきた大器サトノグランツと「複勝率100%データ」の毎日杯3着ドットクルーが中心

SPAIA編集部

2023年京都新聞杯に関するデータ,ⒸSPAIA

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世代の頂点を目指して

2023年5月6日に行われる3歳限定GⅡ・京都新聞杯。正式なトライアルではないが、ここを勝てば賞金的に事実上ダービーへの出走が叶う重要な一戦だ。世代の頂点を決める一戦、その挑戦権を懸けた東上最終便である。

このレースで強烈な印象を残し、本番で皐月賞組をも飲み込んだアグネスフライトやキズナ、あるいは粘走の2着から府中の大観衆をアッと言わせたロジャーバローズのような存在が今年も出てくるのか。ソールオリエンスの二冠濃厚ムードを払しょくすることはできるか。ついつい3週間後のことが気になってしまうが、逸る気持ちを抑え、まずはこのレースを過去10年のデータとともに展望していこう。なお、21年と22年は中京での代替開催だった。

毎日杯好走が吉兆

京都新聞杯の人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気別成績から。1番人気は【2-3-0-5】で連対率50.0%、2、3番人気はいずれも3連対に留まっており、上位人気馬はやや信頼度が低い。コースは違えど昨年も1~4番人気総崩れで3連単15万馬券が出るなど、なかなか厄介だ。

5、6番人気はどちらも【0-0-2-8】で連対なし。7番人気以下は【3-5-2-73】で8頭が連対圏に顔を出す。下位人気も侮れない。

京都新聞杯の前走クラス別成績,ⒸSPAIA


次に前走クラス別だが、まずハッキリしているのが未勝利組【0-0-0-27】。ようやく初勝利を挙げたぐらいの馬では家賃が高い。好走率が高いのはGⅢ・GⅡ組で、出走頭数が多いため分析を避けられないのが1勝クラス組。それぞれ精査していこう。

京都新聞杯の主な前走レース別成績,ⒸSPAIA


まずは重賞組について、内訳をレース別に見る。想定では不在の公算が高い皐月賞を一応紹介しておくと【1-0-0-9】。20年にディープボンドが勝ってはいるが、基本的にこの強行軍は実らない。

好成績は毎日杯【2-1-2-6】複勝率45.5%、きさらぎ賞【1-0-1-1】同66.7%。また1例だけだが共同通信杯【1-0-0-0】、これは18年のステイフーリッシュ。広いコースでの1800~2000m重賞はレベルが高くなりやすく、また京都新聞杯まで十分に調整期間がとれることも影響しているのだろう。

なかでも強調したいのは毎日杯で4着以内だった馬【2-1-1-0】。複勝率100%なのだから、当然データ面では最上級の扱いになる。3着馬ドットクルーをマークしたい。

京都新聞杯の前走1勝クラス組、条件別成績,ⒸSPAIA


続いて1勝クラス組を検討。シンプルにその1勝クラスで連対していた馬が優勢で、前走2着以内【4-5-4-25】複勝率34.2%に対し、同3着以下【1-1-1-23】複勝率11.5%と差がつく。また、長めの距離を経験してきたかどうかも重要で、前走1800m以下は【0-2-1-15】複勝率16.7%、同2000m以上は【5-4-4-33】複勝率28.3%と後者がベターだ。といっても、前走着順、距離ともに例外的な激走もなくはないのが悩ましい。

そこでもう一つ加えておくと、前走1勝クラスから参戦する「ノーザンファーム、社台ファーム生産馬」が【4-4-5-14】複勝率48.1%という素晴らしい成績。クラシック候補生を多く抱える名門が、青葉賞やプリンシパルS、あるいは休養、自己条件等々の選択肢からここをチョイスしたのなら、勝算アリということなのだろう。

京都新聞杯の血統別成績,ⒸSPAIA


最後に血統に関する話。2013年にこのレースを勝ったキズナは、種牡馬として産駒を2頭だけ出走させてディープボンド、アスクワイルドモアともに勝利。親子制覇を早くも2回達成している。この例に限らず父ディープインパクト系は【5-2-5-16】複勝率42.9%と相性がいい(※京都開催時に限っても同43.5%でほぼ変わらない)。3歳芝中距離、軽い馬場、外回りと、いかにも「ディープが走りそう」なレース条件であり、納得の数字とも言える。今年もその血を引く馬は要チェックだ。

サトノグランツに期待

「7番人気以下にも警戒」「毎日杯4着以内は複勝率100%」、また1勝クラス組は「前走連対」「前走2000m以上」「ノーザン・社台F生産馬」がよく、「ディープインパクト系が好相性」などのデータを整理したところで、具体的に有力馬を分析していこう。

まずは毎日杯3着のドットクルー。データ的に強いことは先ほど述べた通りで、間違いなく有力候補の1頭ではある。ただ、今年の毎日杯は良馬場ながら大雨からの回復途上というコンディションで、1000m通過59.2秒、レース上がり3F35.6秒、1F12.7秒というラップ構成。珍しく消耗戦だった。ドットクルーはその前のアルメリア賞も1000m通過58.5秒のハイペースを差し切っての勝利。これまで自身の上がり3Fベストは34.5秒で、戦績を見る限り、息の入らない流れでのタフな差しが身上だ。キレ味を問う京都の外回りでパフォーマンスを上げるかと言われれば疑問が残る。

今回、最上位評価としたのがサトノグランツ。実績的には単なる2勝馬に過ぎないが、ドウデュースの調教パートナーを務め、超抜の時計を出したダービー馬に食らいつき一部で話題となった素質馬だ。1勝クラス・2400m戦のゆきやなぎ賞で1着、父はディープインパクト系サトノダイヤモンドで、ノーザンファーム生産というプロフィールは正に好走データに合致している。

そのゆきやなぎ賞は後半1000m58.2秒というラップを計時したが、3歳戦、ダービーまでの2400m戦でこれ以上の時計は過去7例しかなく、勝ち馬はシャフリヤール、オーソリティ、ソウルスターリング、マカヒキといった面々。7頭が例外なくその後GⅡ以上で馬券に絡む活躍を見せている。サトノグランツにも同等の飛躍を期待したい。

キズナ産駒のリビアングラスはデビューが遅れたものの、ちぐはぐだった初戦ののち2連勝。ただ前走に関しては内前有利の馬場傾向を生かし切った逃げ切りであり、さらなる相手強化はどうか。GⅠ馬ラキシスの仔マキシはフリージア賞3着からの臨戦。フリージア賞は勝ち馬ホウオウビスケッツがスプリングS2着、2着馬サスツルギが新緑賞を快勝するなどレベルが高く、こちらも勝機はある。

京都新聞杯に関するデータインフォグラフィック,ⒸSPAIA



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