【アンタレスS】中心は東海S勝ち馬プロミストウォリア 相手はヴァンヤール

勝木淳

過去10年のデータから見るアンタレスS,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

基本は上位人気中心

フェブラリーS以降のダート戦線はドバイ遠征組、マイルのかしわ記念に分かれ、そして中距離の大一番・帝王賞へと駒を進めるべく、各陣営が思惑を巡らせる。リニューアル京都では3週目にオープンの平城京S、来月半ばには平安Sがあり、東京ではオアシスS、ブリリアントSとオープン特別が組まれ、当然、戦力は分散していく。

今年のアンタレスSは、東海Sを逃げ切ったプロミストウォリアこそいるものの、昇級馬が上位人気になると予想されるやや小粒なメンバー構成だ。層の厚いダート戦線だけに、賞金加算を目論む組にとっても絶好のチャンスといえる。データは過去10年分を使用する。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【4-2-1-3】勝率40.0%、複勝率70.0%をはじめ3番人気以内【8-7-5-10】で上位人気は素直に評価すべきレースだ。6番人気【2-1-1-6】勝率20.0%、複勝率40.0%と穴人気の活躍もみられるが、5番人気以下は基本的に連下級、馬券に組み入れる程度でいい。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では4歳【2-4-1-30】勝率5.4%、複勝率18.9%、5歳【5-1-2-20】勝率17.9%、複勝率28.6%、6歳【1-3-6-35】勝率2.2%、複勝率22.2%、7歳以上【2-2-1-45】勝率4.0%、複勝率10.0%で中心は5歳だが、4、6、7歳以上も侮れない。タフなダート界は高齢馬までしっかり評価し、買い目に入れるべきだろう。

好相性の名古屋城S好走馬

地方交流もあり、路線が多岐にわたるダート戦線は前走成績も様々で傾向がつかみにくいレースも多いが、アンタレスSは別定戦でもあり、わりと傾向ははっきり出る。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA
前走地方・レース別成績,ⒸSPAIA


目立つのは前走地方【6-5-2-24】勝率16.2%、複勝率35.1%。その内訳は名古屋大賞典【4-3-1-6】勝率28.6%、複勝率57.1%。ケイアイパープルが該当する。着順別は1着【2-1-0-1】、2着【0-2-0-2】なので、2着だったケイアイパープルは強く推せるほどではないが、相手関係を踏まえれば、有力馬であることは間違いない。

ほかではロードブレスの東京大賞典は【1-0-0-1】だが、同馬は1年4か月ぶりの復帰戦。とはいえ、一昨年のアンタレスS3着、みやこS2着と阪神ダート1800m重賞の実績は十分あり、超久々だが状態面次第だ。

次に前走GⅡ【0-0-3-7】複勝率30.0%、GⅢ【1-2-3-52】勝率1.7%、複勝率10.3%について。ここは東海S【0-0-3-5】複勝率37.5%、マーチS【0-2-3-51】複勝率8.9%を確認する。プロミストウォリアが該当する東海Sは6着以下【0-0-3-3】と負けた組が中心で、勝ち馬は【0-0-0-1】。フェブラリーSの優先出走権がかかる東海Sは当然、勝てば本番へ進む場合が圧倒的に多く、脚元の不安で無理をしなかったプロミストウォリアは事情があっての今回出走なので、データにとらわれる必要もない。

マーチSは4着以内【0-2-3-12】、5着以下【0-0-0-39】と極端なので、5着カフジオクタゴンら今年の出走馬は難しい。

前走オープン・L・レース別成績,ⒸSPAIA


前走オープン・L【2-1-2-31】勝率5.6%、複勝率13.9%について。内訳は名古屋城S【1-1-1-2】勝率20.0%、複勝率60.0%。3着以内が【1-1-1-0】で、今年は2着ヴァンヤールが当てはまる。昨夏オープン昇級後は4、5、6着のあと、名古屋グランプリ2着、東海Sはスタート直後に落馬競走中止したが、前走2着とここにきてオープンで戦える力をつけてきた。ここは試金石だ。

一方、人気が予想されるキングズソードやパワーブローキングの前走3勝クラスは【0-0-0-11】と好走がない。何度も書くが、ダート戦線は層が厚く、オープン昇級して即重賞に通用するケースは非常に少ない。キャリアの浅い馬が重賞で通用するにはオープン特別で実績を積むといった段階を踏む必要がある。重賞で壁にはね返され、オープン特別で仕切り直し。そこで通用した場合は重賞でも評価したい。その意味でも昇級初戦で東海Sを突破したプロミストウォリアは能力が高いといえる。

過去10年のデータから見るアンタレスS,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。

《関連記事》
3連単の最高額は1460万40円 2022年中央競馬の高額配当ランキング
武豊騎手、JRA重賞350勝までの道のり 節目の重賞勝利を振り返る
2023年に産駒がデビューする新種牡馬まとめ 日本馬の筆頭・レイデオロは「ディープ牝馬」との配合で期待

おすすめ記事