【中山牝馬S】中山なら既にGⅠ級? スルーセブンシーズ「史上3頭目」の快記録を残して鮮烈V
SPAIA編集部
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GⅠ馬2頭に匹敵する記録
2023年3月11日に行われた中山牝馬ステークスは、C.ルメール騎手騎乗の5歳牝馬、2番人気スルーセブンシーズが差し切って快勝。重賞初制覇となった。
レースはハナを切ると思われたウインピクシスがやや出遅れる幕開け。そこから巻き返していき、内から積極策に出たシャーレイポピーを抑えて先頭に立つも、息を入れにかかった2角出口付近でクリノプレミアムがジワリと位置を上げてプレッシャーをかけてくる形。ウインピクシス鞍上の松岡正海騎手は大きな動きを見せてはいないものの、800~1000m区間で11.4、次いで11.9とピッチが上がってしまった。テンに脚を使った上に、このタイミングでつつかれては苦しかった。
そんな前のやりとりの中、1番人気アートハウスは内の3番手で折り合いに専念。スルーセブンシーズは中団馬群の外目でいつでも動ける形を作る、ルメール騎手らしい組み立て。外から格上挑戦のストーリアが先んじていくと、その後ろをマークするように進出して4コーナーへ。
道中で脚を使ったウインピクシスとクリノプレミアムが伸びを欠くところへストーリアが襲い掛かり、アートハウスは前2頭の壁をかわすため外へ進路変更。スルーセブンシーズはその外から抜群の手応えで加速すると、一気に差し切って勝利した。2着はストーリア、3着争いは内から伸びたサトノセシルが、アートハウスをアタマ差だけとらえた。
勝ち時計1.46.5は現行条件の中山牝馬Sとしては02年ダイヤモンドビコー、04年オースミコスモに次ぐ3番目の記録だが、注目は勝ったスルーセブンシーズの上がり33.8秒という数字。
中山芝1800mで上がり33秒台での勝利というのは比較的珍しく、勝ち時計1分47秒を切ったものに限るとなんと史上3頭目。11年中山記念のヴィクトワールピサ、19年中山記念のウインブライトの過去2例しか存在しなかった。そう、どちらも中山コースを得意としたGⅠ馬である。
スルーセブンシーズ自身、これで中山は【4-1-2-0】という圧倒的な成績となった。中山の中距離巧者は国内GⅠに適鞍がないのがなんとも痛し痒しなのだが、今回のパフォーマンスは大舞台を意識させるもの。一介の牝馬限定ハンデGⅢ馬と甘く見てはいけない。
今年も鍵を握った「ハンデ」
2着ストーリアは格上挑戦の身ながら堂々たる競馬で好走。そもそも3走前秋華賞時は8着で、1.59.0は同5着アートハウスとタイム差なしだった。当然ながらこの時は同斤だった相手と、今回は5キロのハンデ差があった。ここまで極端な差が付いてしまうと、来年以降も軽ハンデ馬の好走がなくなることはないだろう。もっとも、ストーリア自身は2走前逆瀬川Sでドーブネとも接戦を演じており、ハンデに恵まれただけのフロックということでもないが。
3着サトノセシルは7歳にしてなお健在。4角から直線にかけて仕掛けを待たされる場面はあったものの、前述したように向正面でピッチが上がる変則的な展開を思えば、そこまでマイナスの影響があったとは考えにくく、力を出し切っての結果と評価したい。コースや条件を問わずに走る反面、勝ち味に遅い面もある。
4着アートハウスは関東への遠征で前走比12キロ減。距離短縮と流れたレース展開にもかかわらず、テンションはギリギリだった。断然のトップハンデ57キロを背負って格好をつけたのは地力の証明だが、次の番組は難しい。間隔を空けたいタイプで大阪杯出走はないだろうが、かといってヴィクトリアマイルは毎年のように中距離実績馬を苦しめてきた歴史がある。1着と着外を繰り返す戦績から言えば次は「勝つ番」だが、どうも扱いが悩ましい。
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