【中山牝馬S】波乱を呼ぶのは軽ハンデ馬 52kgで注目の1頭とは

佐藤永記

過去5年の中山牝馬S ハンデ別成績,ⒸSPAIA

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近年荒れっぱなしだが荒れ方はさまざま

中山牝馬Sについては競馬ファンならご存知の通り、トリッキーな中山、3月の牝馬限定重賞、なおかつハンデ戦ということですんなり決着するほうが難しいレースである。昨年の単勝15番人気9740円、3連単173万円超で霞んでしまいそうだが、その前からもずっと波乱の重賞である。

その波乱も年によって内容はまちまち。昨年は勝ち時計1.46.8という高速決着でありながら1着から6着まで0.2秒以内に収まる大激戦。後方から運んだ1~3番人気がこの中に全て含まれていたことも考えると順当決着とも紙一重だった。対して一昨年は雨が降る中での不良馬場で1.54.8。昨年とくらべると8秒も遅い決着だった。この時は過去に重不良で実績があった馬のワンツーで、重馬場適性が鍵だったわけだが、とはいえ1着から4着までがハナ、クビ、クビの大接戦であった。いずれにせよ、上位は接戦になりがちだ。

昨年勝った15番人気クリノプレミアムは出走馬最軽量タイのハンデ53kg。一昨年5番人気2着ロザムールは52kg、3年前は1~3着が52、50、53kgの軽ハンデ組だった。この年のハンデは全体的に軽く、52kgや53kgの馬がたくさんいたので53kgあたりは特段軽いわけではなかったのだが、より軽量の50kg、14番人気のリュヌルージュが2着に飛び込んでいる。

とにかく、いつものハンデ戦以上に「軽ハンデ」から1頭は拾っておかないと痛い目を見るのが近年の傾向である。

距離短縮で一変期待の52kgコトブキテティス

では、どんな軽ハンデ馬が馬券に絡む傾向にあるのかを考えてみよう。昨年クリノプレミアムは5走前に3勝クラスを勝利後、オープンで11、12、5、16着。一見するとイマイチな感じもするが、5着だったのは重賞の京都金杯。しかもそれまでは逃げ先行策が中心の戦歴だったところを中団7番手からの差しに切り替えていた。その後京都牝馬Sは14番手からの競馬で16着、そして中山牝馬Sでは中団からの競馬に戻しての勝利だった。

つまりはOP昇級後、浅い戦歴のなかで試した戦法のうち着順がよかった走り方をもう一度試した結果、通用したというところだろう。

一昨年2着だったロザムールは2走前に3勝クラスを逃げ切りで勝利し、前走中山金杯も逃げて4着。不良馬場だった中山牝馬Sでも逃げて2着となっている。過去の重馬場実績もあったにせよ、こちらもOPに昇級して歴が浅いなかで光るものがあったといえよう。

3年前の50kgで2着だったリュヌルージュに至っては前走が2勝クラスで1着。ただ、それまでの戦歴は【2-3-5-5】と勝ちきれないが安定していたタイプ。格上挑戦ではあったものの、相手なりに走るクチだったということだろう。

直近の軽ハンデ好走例から特徴を見出すなら、
・OP昇級からあまり出走していない
・昇級前後の戦績に何かしら注目点がある

といったところか。つまり、OPでの出走が少なく、能力に見合ったハンデとなる前の馬を狙い撃つべし、というシンプルな結論を導き出せる。

この条件で見ると気になる軽ハンデ馬がいる。それが52kgのコトブキテティスだ。OP昇級後5戦して13、17、4、12、15着と大敗が多いなか、気になるのは昨年10月に4着とした内回り2200mの新潟牝馬S。最後方からレースを進めて3着とはクビ差の4着まで追い込んでいる。未勝利脱出以降ずっと2000m以上の距離ばかり走ってきたため、1800mはおよそ3年ぶりという「未知数」さ。距離短縮で一変する可能性はある。難しいレースだが、買い目に絡めておきたい穴馬だ。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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