【中山牝馬S】能力断然アートハウスも全幅の信頼はNG 波乱が基本の牝馬限定ハンデ重賞

SPAIA編集部

中山牝馬Sのデータ,ⒸSPAIA

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アートハウス参戦

2023年3月11日に中山競馬場で中山牝馬Sが行われる。ヴィクトリアマイルに向けて本格化する春の牝馬重賞戦線、その一端を担うハンデ重賞だ。今年はローズS、愛知杯を勝ったアートハウスが意外にも(?)ここを選択、出走を予定している。まずは過去10年のデータを見ながら、展望していこう。

穴に振り切って

人気別成績,ⒸSPAIA


まず前提として触れておきたいのは、中山牝馬Sは基本的に「荒れる重賞」だということ。1・2番人気で合計1勝、3~7番人気が8勝、そして昨年は15番人気クリノプレミアムの一撃があった。

近年は不良馬場の年が2度あったなどの事情もあるが、このレースに限らず牝馬限定のハンデGⅢはよく荒れる。単勝オッズ5倍未満の馬は【1-2-3-9】で単回収率30%、複回収率66%とかなり微妙だ。せっかくこういう条件のレースなら、穴狙いに振り切った方が長期的には正解だろう。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢別では4歳【3-2-1-36】勝率7.1%、複勝率14.3%に対し、5歳【6-6-5-39】が勝率10.7%、複勝率30.4%でアタマひとつ抜きんでる。近2年はどちらも5歳馬のワンツースリーで、人気薄の好走が多いのも5歳馬。クラブ所有馬の多くが引退していく6歳【1-3-1-39】、7歳以上【0-0-2-10】。牝馬は高齢馬の層が薄くなりやすい。

前走条件別成績,ⒸSPAIA


大敗馬の反撃あり、格上挑戦での激走ありで前走条件別成績は傾向をつかみにくいが、大きく3点を紹介。

まずGⅢを勝ってきた馬は【0-0-1-6】、ハンデ増が響くのか連対がない。似たような話で、本来格上であるはずの前走GⅠ組は【1-1-0-17】と苦戦。ハッキリ言って妙味がない。とどめに、前走上がり最速だった馬は【0-0-2-11】でこれも連対がなかった。末脚があってもこのレース条件では“宝の持ち腐れ”のようだ。

枠別成績,ⒸSPAIA


あとは枠順別成績も特徴的。1枠【0-0-1-16】がさっぱりで、全体的に外枠有利。馬番13~16番が計10連対を占め、大外馬番は【3-0-2-5】複勝率50.0%となっている。昨年のクリノプレミアムも大外16番からの差し切りであった。

5歳伏兵勢に魅力あり

「荒れる重賞」「5歳馬が好成績」「前走GⅢ勝ち、GⅠ出走、上がり最速が苦戦」「外枠有利」などのデータを踏まえたうえで、今回の登録馬について戦績や適性面を考えてみよう。

まずアートハウス。現4歳世代では五指に入る実力の持ち主で、愛知杯は好位から抜け出しての完勝。能力はここでも断然だろう。ただ、間違いなく重くなるであろうハンデと、これまで中12週以上【3-0-0-0】、中8週以下【0-0-0-3】という自身の戦績面はネック。間隔が詰まり、オッズ的にも期待できない今回は他を探してみたい。

そこで5歳勢から人気がなさそうな馬を数頭ピックアップ。大敗続きのスライリーは昨年このレースで9番人気4着と惜しいところまで来てはいた。どうしても序盤で後手に回る上に、東京のように速い上がりが求められるコースでは差してこられない。そういった意味で、斤量の恩恵も見込める今回は久々のチャンスではないか。

シャーレイポピーもOP入り後は苦戦続きだが、牡馬相手で外を回りすぎた前走を除けばおおむね0.6秒差以内にまとめてはいる。牝馬どうしでハンデ差もあれば、こちらも馬券圏内に顔を出して不思議ない。

最後に、金鯱賞にも登録があった6歳牝馬ルビーカサブランカ。前走の愛知杯8着は超のつく前残り競馬に泣いたもの。中山芝1800mという条件が歓迎の馬ではないが、少なくとも前走ほど手も足も出ない展開になることはそうそうないだろう。動向を注視したい。

中山牝馬Sのデータ,ⒸSPAIA


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