【金鯱賞】参考レース振り返り データなら白富士S組、開幕週の馬場はフェーングロッテンに味方
三木俊幸
ⒸSPAIA(撮影:三木俊幸)
参考レースを振り返る
3月12日(日)に中京競馬場で行われる金鯱賞(GⅡ・芝2000m)。今年は前哨戦を使わずに大阪杯へと直行する馬も多く、ここはやや小粒なメンバー構成となった印象だが、春の中距離GⅠ戦線に向けて重要な一戦だ。過去10年のデータとともに、主な出走馬の参考レースを振り返っていこう。
白富士S【データ:A メンバーレベル:B】
過去10年の成績【2-0-3-1】勝率33.3%、連対率33.3%、複勝率83.3%
過去10年では6頭が挑み、5頭が3着内と好走。2021年ギベオン、2022年ジャックドールと直近2年連続で優勝馬を送り出している最も勢いのあるローテーションだ。今年は3着ヤマニンサルバムが出走予定。
1回東京初日に行われた白富士Sは、ドーブネが12.8-11.5-11.4-11.8(47.5)で後続を引き離して逃げる展開となった。しかし鞍上の武豊騎手はその後、12.4-12.6と一旦ペースを落として後続を引きつける。10頭が一団となって直線へと向き、中団追走から進路を探しながら伸びてきたサリエラが逃げ粘るドーブネに1.1/4馬身差をつけて快勝。勝ちタイムは1:58.5だった。
ヤマニンサルバムは道中4番手の内を追走するも、馬群が固まった4角では6番手までポジションを下げてしまう。それでも直線は内からスルスルと伸びて、2着とはアタマ差だった。ドーブネがその後中山記念3着と好走したことを物差しにすると、こちらも重賞で通用する力はあると言えるだろう。
有馬記念【データ:B メンバーレベル:A】
過去10年の成績【3-0-1-9】勝率23.1%、連対率23.1%、複勝率30.8%
過去10年で3勝と最も多くの勝ち馬を送り出している。ここをステップに、今年はポタジェが参戦を予定している。
レースはタイトルホルダーがスローペースで逃げ、2番手以下も一団となる展開。2周目の3角から徐々に進出を開始した1番人気のイクイノックスが抜群の手応えで直線へと向くと、2着ボルドグフーシュに2馬身半差をつけて勝利。力の違いを見せつけたレースだった。
ポタジェは中団馬群で脚を溜めるレースで直線では外に持ち出したが、一杯となり12着。2500mという距離は長く、相手も強かった。金鯱賞では2021年3着、2022年4着の実績がある。近走のレースぶりと59kgを背負うことを考えると過去2年よりは厳しい条件となるが、格好はつけてもらいたいところだ。
中日新聞杯【データ:C メンバーレベル:C】
過去10年の成績【0-1-0-2】勝率0.0%、連対率33.3%、複勝率33.3%
2020年サトノソルタスが8番人気で2着に好走し、複回収率150%という成績。今回は4着だったプログノーシスが出走してくる。
ギベオンが逃げて1000mは1:01.9とスローペース。一団となって各馬が追走していき、直線は横に広がる展開で大混戦となった。ゴール前で先に抜け出したのはマテンロウレオだったが、馬群を割ってきたキラーアビリティがクビ差捉えて、勝ちタイム1:59.4で勝利した。
スタートしてやや進路を塞がれたプログノーシスは後方2番手を追走。4角でも16番手、ペースを考えると絶望的なポジションだったが、他馬を大きく上回る上がり33.2の末脚で0.1秒差の4着まで迫った。能力を秘めているのは間違いなく、あとはどこまで流れに乗れるかだ。
中山金杯【データ:D メンバーレベル:B】
過去10年の成績【0-0-0-2】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%
ここからの参戦は2頭と少なく、2020年ギベオンの4着が最高着順。今年はフェーングロッテン、アラタ、ワンダフルタウンが登録している。
フェーングロッテンがハナを奪い、1000mは1:00.6で通過。各馬が一団となって最後の直線へと向いた。ゴール前は粘るフェーングロッテンにラーグルフとクリノプレミアムが迫り、3頭並んでのゴールとなったが、ハナ差でラーグルフが勝利した。
3着に敗れたが、勝ち馬とはタイム差なしのフェーングロッテン。菊花賞を除いて中距離重賞では安定した走りを披露しており、中京コース適性も証明済み。開幕週の馬場も味方につけられそうだ。
ハンデ57kgだったアラタはラーグルフの直後を追走し、ゴール前は伸びてきたが4着。馬体重24kg増ながらタイム差なしの内容だった点からも、前進があっていい。
ワンダフルタウンは後方3番手からレースを進めるも、伸びを欠き16着。3歳時には青葉賞を勝利した実績があるが、長期休養明けから3戦して結果は伴っていない。
愛知杯【データ:D メンバーレベル:C】
過去10年の成績【0-0-0-1】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%
今年ここをステップに参戦するのは、マリアエレーナとルビーカサブランカの2頭。重馬場で行われたレースはアブレイズが逃げ、1000m通過が1:03.9のスローペースに持ち込んだ。3番手の外を追走していたアートハウスは直線で馬場の真ん中に持ち出されると力強くつき抜け、後続に1.3/4馬身差をつけて2:03.1で勝利した。
トップハンデ56.5kgを背負ったマリアエレーナは3番手のインを追走。アートハウスとは対照的に直線でも内から2頭目を突いてきたが勝ち馬とは0.5秒差の3着。内容的には悲観するものではないだろう。中京芝コースは【2-3-2-2】と好相性。昨年の小倉記念では後続に0.8秒差の圧勝、天皇賞(秋)でも勝ち馬から0.7秒、5着シャフリヤールとは0.1秒差で7着という内容からも、今回のメンバーなら通用していい。
ルビーカサブランカは道中、後方から4頭目を追走。直線では外に持ち出されるも勝ち馬から1.5秒差の8着だった。良馬場向きのタイプなだけに力負けではないが、今回の相手関係を考えるとワンパンチ足りない印象もある。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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