【弥生賞】参考レース振り返り 堅実なトップナイフに巻き返しを図るタスティエーラ、データは若駒S組優位

三木俊幸

2023年弥生賞に出走するタスティエーラ,ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)

参考レースを振り返る

3月5日(日)、中山競馬場では弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ・芝2000m)が行われる。皐月賞のトライアルではあるが、過去10年では2016年勝ち馬マカヒキがダービー制覇、2着に敗れた馬からもワンアンドオンリー、ワグネリアン、ドウデュースと3頭のダービー馬が誕生している。先を見据えるという意味でも要注目の一戦について、過去10年のデータとともに主な参考レースを振り返っていこう。

若駒S【データ:A レースレベル:C】

過去10年の成績【2-1-0-3】勝率33.3%、連対率50.0%、複勝率50.0%

過去10年で6頭が出走し、2014年トゥザワールドと2016年マカヒキが勝利するなど相性が良いが、リステッド競走となった2019年以降に出走した3頭はいずれも着外に終わっている。

今年の若駒Sを制したマイネルラウレアは歩様の乱れが出て、残念ながら1週前の時点で回避と発表されたが、2着ワンダイレクトと3着セッションが出走してくる。

7頭立てとなったレースは、ツーエムルーイーが逃げて1000m通過が1:03.4のスローペースで流れた。各馬が一団のまま直線に向き、残り200mの標識を過ぎたところでワンダイレクトが抜け出し、完全に押し切ったかと思われた。しかし、道中最後方にいたマイネルラウレアが大外から猛追、ゴール前の大接戦をハナ差制した。勝ちタイムは2:02.9だった。

ワンダイレクトは1番枠からスタートして、逃げ馬の直後のインコースからレースを進めた。敗れはしたものの、3着セッションには1馬身半差をつけており、内容は勝ちに等しいと言える。今回は相手強化となるだけに、前走同様にロスなく立ち回りたい。

道中ワンダイレクトのすぐ外を追走し、直線では先に抜け出すもあっさりと交わされたセッションは、力の差を見せつけられてしまった。

京都2歳S【データ:B レースレベル:B】

過去10年の成績【1-0-0-2】勝率33.3%、連対率33.3%、複勝率33.3%

京都2歳Sから弥生賞に参戦したケースは過去10年で3頭、2017年にカデナが勝利している。今年は6着だったグランヴィノスが出走予定、また1・2着馬はホープフルSを挟んで出走する。

二の脚をきかせて逃げたグリューネグリーンに1角でスマラグドスが競りかける形となったが、向正面に入って隊列は落ち着き、前半1000mは1:00.4で通過。先頭で直線に入ったグリューネグリーンはフラフラする場面もあり、ゴール前は内にモタれて最内からトップナイフに迫られたが、アタマ差しのぎきり2:00.5で勝利した。

1番人気に推されたグランヴィノスは6番手からレースを進めるも、直線に向いてからは伸びを欠いた。勝ち馬から0.5秒離される結果に終わったが、新馬戦の内容からも秘める素質はここでも上位だ。

2022年京都2歳Sに出走したグランヴィノス,ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)


ホープフルS【データ:B レースレベル:A】

過去10年の成績【1-1-5-4】勝率9.1%、連対率18.2%、複勝率63.6%

2021年にタイトルホルダーがホープフルS4着からで勝利しているが、3着が5回と勝ちきれないケースも目立つ。今年は3着キングズレインが熱発で回避となったが、2着トップナイフと11着グリューネグリーンが弥生賞へと挑む。

主導権を握ったのはトップナイフ、1馬身差の2番手にドゥラエレーデがマークする形で1000m通過は1:01.5。直線は粘るトップナイフにジワジワと差をつめたドゥラエレーデが並んで入線したが、ハナ差でドゥラエレーデに軍配が上がった。タイムは2:01.5で決着した。

トップナイフの鞍上・横山典弘騎手が上手くスローペースに持ち込むも、最後の一完歩で逆転される悔しい結果となった。京都2歳Sでは6番手から2着となったように、脚質を問わず安定して走れるタイプ。今回のメンバーなら当然勝ち負けになる存在だ。

2022年ホープフルSに出走したトップナイフとドゥラエレーデ,ⒸSPAIA(写真撮影:三木俊幸)


京都2歳Sでは逃げてトップナイフを破ったグリューネグリーンは、6番手に控える競馬で4角では4番手まで進出するも直線では失速してしまった。ただ力負けではなく、すんなり先行していれば結果も違っていたはず。巻き返しに期待したい。

共同通信杯【データ:C レースレベル:A】

過去10年の成績【0-0-0-4】勝率0.0%、連対率0.0%、複勝率0.0%

過去10年で4頭が出走するも、最高着順は8着と振るわない。今年は共同通信杯で4着だったタスティエーラが皐月賞への優先出走権獲得を狙って参戦予定。

レースはスタートで出遅れたタッチウッドが巻き返して途中から先頭に立ち、2番手にファントムシーフという隊列。前半600mまではペースが上がる場面もあったが、中盤は落ち着きレース全体としてはスローペースで流れた。直線に向いてもしぶとく粘っていたタッチウッドをゴール前で交わしたファントムシーフが1:47.0というタイムで勝利、今年もハイレベルなレースが繰り広げられた。

タスティエーラは、直線で一旦は閉じ込めたダノンザタイガーに交わされての4着に終わったが、勝ち馬とは0.2秒差で2着とはタイム差なし。クラシックを見据えるという意味では若干きついローテーションだが、今回のレースに限って考えると、相手関係が楽になるので巻き返しがあってもいい。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。

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