【弥生賞】皐月賞の先まで占う登竜門 ホープフルS2着トップナイフ、再び展開が味方する

勝木淳

弥生賞ディープインパクト記念インフォグラフィック,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

皐月賞馬こそ出していないが

間隔をとってクラシックに突入するローテーションが主流になったが、それでも弥生賞ディープインパクト記念(以下、弥生賞)の存在感は変わらない。

昨年1、2着は菊花賞馬アスクビクターモアとダービー馬ドウデュース、2年前は菊花賞馬タイトルホルダーとNHKマイルCを勝つシュネルマイスターのワンツー。一方、不思議なことに同舞台の皐月賞は2010年ヴィクトワールピサ以来勝っていない。弥生賞は皐月賞トライアルというより、クラシック登竜門に近い。ここで好走した馬は皐月賞で裏切られても、日本ダービーと菊花賞まで追いかけたほうがいい。データは過去10年分を使用する。


過去10年弥生賞人気別成績,ⒸSPAIA


4番人気以内8勝で基本的には上位人気が強いレースだが、1番人気【3-3-1-3】勝率30.0%、複勝率70.0%、2番人気【3-2-2-3】勝率30.0%、複勝率70.0%、3番人気【1-0-2-7】勝率10.0%、複勝率30.0%、4番人気【1-2-2-5】勝率10.0%、複勝率50.0%で拮抗している。かつてのようなエース級が不在になる年が多い分、上位人気の順番づけがカギになる。


過去10年弥生賞キャリア別成績,ⒸSPAIA


キャリア別成績を見ると、新馬勝ちたてのキャリア0~1戦は【0-1-0-7】複勝率12.5%。さすがに弥生賞ともなるとキャリアを積んだ組が優勢で、2戦【2-2-1-9】勝率14.3%、複勝率35.7%、3戦【4-4-4-20】勝率12.5%、複勝率37.5%、4戦【3-1-3-15】勝率13.6%、複勝率31.8%が中心になる。トップナイフの7戦【0-0-0-5】は気になるデータだ。


ホープフルS組で抜け出すのは

基本的なデータから上位人気拮抗、キャリア2~4戦が主力という傾向をつかめたので、ここからは前走成績を中心にローテーション別で好走馬を探していく。


過去10年弥生賞キャリア2戦以上組前走クラス別成績,ⒸSPAIA


キャリア2戦以上の前走クラス別成績では前走GⅠ【2-4-8-5】勝率10.5%、複勝率73.7%が目立つ。やはり暮れのGⅠから弥生賞を挟んでクラシックへというゆとりあるローテーションが理想的だ。しかし、その内訳は朝日杯FS【1-3-3-1】勝率12.5%、複勝率87.5%、ホープフルS【1-1-5-4】勝率9.1%、複勝率63.6%である点は押さえておきたい。朝日杯組は18年ダノンプレミアム1着、昨年はドウデュース2着。その昨年のホープフルS組は9番人気ボーンディスウェイが3着だった。

マイルの朝日杯FS優勢ながら、今年は不在で、ホープフルS組が目立つ。ボーンディスウェイのようにホープフルS組も3着以内は確実で、18年から5年連続馬券圏内に入っている。


過去10年弥生賞キャリア2戦以上組前走クラス別成績,ⒸSPAIA


ホープフルS組の着順別成績は4着以内【1-1-2-3】、5着以下【0-0-3-1】なので、大きな差はない。昨年のホープフルSは序盤600m36.1、前半1000m通過1.01.5、最後600m35.0で後半1000mは1.00.0というラップ構成。1000mで1.5差後半が速く、600mだと1.1差と落差のあったレースで、ペースアップは残り600mからという上がりの競馬だった。逃げたトップナイフを2番手からドゥラエレーデが捕まえるというやや単調な流れになった。

だが、スローが定番のトライアルでトップナイフの先行力は武器になる。キャリア7戦は気になるが、相次ぐ有力馬の回避で相手は手薄。キャリアのデータに目を瞑ってもいいのではないか。4着だったファントムシーフは次走共同通信杯1着なので、レースレベルはそれなりだろう。

11着グリューネグリーンは1コーナーで外からミッキーカプチーノに押し込められ、折り合いを欠いた。母レディーダービーなので、ヴェルデグリーンの半弟になる。兄は遅咲きだったが、こちらは京都2歳Sを勝っており、早期から走る。母の父スペシャルウィークは98年弥生賞でセイウンスカイとキングヘイローを破り、皐月賞3着、武豊騎手初の日本ダービー制覇へつながった。母の母ウメノファイバーはオークス馬であり、ここで好走し、東京芝2400mへつなげられるか注目しよう。

共同通信杯4着タスティエーラもキャリア2戦で悪くないが、弥生賞で前走共同通信杯は【0-0-0-4】。やはり押せ押せ感が否めない。2着ワンダイレクト、3着セッションの若駒S【2-1-0-3】だが、ここは勝ち馬【2-0-0-1】で、残りは4着【0-1-0-2】。マイネルラウレアが登録を見送ったので、ややトーンダウンか。

2歳夏の福島未勝利戦で10馬身差ぶっちぎったゴッドファーザーは新馬戦がカルロヴェローチェ、チャンスザローゼス、ドゥラエレーデ、デルマソトガケと同じレースであり、大器の呼び声もあるが、前走未勝利は【0-0-0-8】と苦戦。ゴッドファーザーが勝った未勝利戦の2着以下は勝ち上がりなしで、レースレベルにも疑問がつく。こういった状況を打開できるだろうか。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。


弥生賞インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



《関連記事》
3連単の最高額は1460万40円 2022年中央競馬の高額配当ランキング
武豊騎手、JRA重賞350勝までの道のり 節目の重賞勝利を振り返る
2023年に産駒がデビューする新種牡馬まとめ 日本馬の筆頭・レイデオロは「ディープ牝馬」との配合で期待

おすすめ記事