【チューリップ賞】今年は波乱も視野に! エクローサ、コナコースト、ダルエスサラーム、アリスヴェリテなど候補多数

勝木淳

チューリップ賞インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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GⅡ昇格後は桜花賞馬が出ていない

チューリップ賞は2018年からGⅡに格上げされたが、GⅡのチューリップ賞は桜花賞【0-4-2-15】。GⅢ時代の13~17年は【4-4-4-16】と4年連続で勝ち馬を輩出したことを考えると、格上げと同時に桜花賞馬を出せていないという皮肉な結果になっている。牝馬クラシック戦線が阪神JFを軸に展開されるのは変わらないが、2021年にソダシ、サトノレイナスが直行で1、2着だったようにチューリップ賞をパスする年が増えた。

今年も1、2着は直行予定だ。GⅠからGⅠへというローテ改革の影響を受けるチューリップ賞は今年、阪神JF組がドゥーラ1頭、叩き台というニュアンスを感じる出走馬はいない。その分、激戦が予想され馬券妙味を感じる。データは過去10年分を使用する。

過去10年チューリップ賞人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気【6-1-1-2】勝率60.0%、複勝率80.0%のうち、前走阪神JF4着以内が【6-0-1-0】なので、今年はこの数字がアテにならない。残る好走馬1頭はシンザン記念2着だったジュエラーで、似たタイプが見当たらない。やはり波乱を視野に入れたい。とはいえ、1番人気を除いても勝ち馬はすべて5番人気以内。阪神外回り1600mは力勝負の舞台であり、単勝から大荒れという場面は考えにくい。ただし昨年はピンハイが13番人気2着。キャリアの浅い同士のレース、思わぬ伏兵の2、3着激走はありうる。

過去10年チューリップ賞キャリア別成績,ⒸSPAIA


新馬勝ちたてのキャリア1戦は【0-2-0-6】複勝率25.0%。昨年のピンハイはここ。あと1頭は17年7番人気だったミスパンテール。穴はここから出る。好走2頭の前走は芝1400mと芝1500m、1600m以上の新馬は【0-0-0-6】。エフフォーリアの妹ペリファーニアよりエクローサを買いたい。

前走1勝クラスまで要検討

残りはキャリア2戦以上で、なかでも2戦【2-2-1-15】勝率10.0%、複勝率25.0%、3戦【4-3-3-22】勝率12.5%、複勝率31.3%、4戦【4-1-5-32】勝率9.5%、複勝率23.8%が好走ゾーンになる。

過去10年チューリップ賞キャリア2戦以上組前走クラス別成績,ⒸSPAIA

過去10年チューリップ賞前走阪神JF組着順別成績,ⒸSPAIA


キャリア2戦以上の前走クラス別成績はやはり前走GⅠ【9-1-6-12】勝率32.1%、複勝率57.1%が断然だ。すべて前走阪神JFでその着順内訳は4着以内【9-1-5-6】、6~9着【0-0-1-6】。6着だったドゥーラはないとはいえないが、分が悪い。阪神JFはハイペースになり、ドゥーラは追走に苦労しながら最後に巻き返して6着。いかにもマイルは合わないようなレース振りだった。チューリップ賞はさほど速いペースにならないことが多く、阪神JFを経験してもう少し追走が楽になる分、前進はあるかもしれない。ライバルとの力関係をどう見るかだろう。

次にキタウイングが勝ったフェアリーS組は【0-0-1-7】複勝率12.5%。連勝を狙ったのは20年スマイルカナ7着のみ。キタウイングは桜花賞に向けた予行演習のニュアンスが強く、ここは割り切ってもいい。同じ臨戦過程のスマイルカナは桜花賞3着と激走。キタウイングもいい感じで負けてくれれば、桜花賞ではむしろプッシュしたいぐらいだ。

コナコーストの前走エルフィンSは【1-1-1-18】。コナコーストと同じエルフィンS2着だと【0-1-0-1】。13年ウインプリメーラ2着がある。今年のエルフィンSは前半600m35.6、800m47.7、後半800m46.5で最後600m34.4という絶妙なラップバランスでユリーシャに逃げ切られたが、コナコーストは好位から差して2着。マイナス10キロだった馬体重の回復も確認したい。

ダルエスサラームとバースクライの紅梅Sは【1-0-0-8】。16年シンハライトが連勝し、桜花賞2着、オークス1着だった。今年の紅梅Sはやや重で時計が標準より少しかかる馬場状態で行われ、前後半600m34.6-35.5の厳しい競馬だった。3番手から抜け出したダルエスサラームは評価できる。

過去10年チューリップ賞前走1勝クラス組着順別成績,ⒸSPAIA


今年は前走1勝クラス【0-1-2-35】複勝率7.9%まで検討しておこう。その着順別成績は1着【0-1-0-7】複勝率12.5%、3着【0-0-1-6】複勝率14.3%、5着【0-0-1-3】複勝率25.0%と掲示板以内であれば可能性は残る。抽選対象の菜の花賞4着アリスヴェリテまで候補に考えたい。ただし1勝クラスは距離が大事で、1600m【0-1-2-11】複勝率21.4%、1400m【0-0-0-14】。前出アリスヴェリテにモズメイメイを残し、ルミノメテオールは消しだろう。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。

チューリップ賞インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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