【クイーンC】ハーパー、レース史上2位の快時計V 「友道厩舎のマイル重賞馬」は大成する?

SPAIA編集部

2023年クイーンCのレース結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

積雪の影響を感じさせない馬場

2023年クイーンカップの勝ち時計は1.33.1。これは(現行距離の)当レース史上2番目の好タイムで、16年メジャーエンブレムがマークした1.32.5には及ばないものの、17年アドマイヤミヤビ1.33.2や21年アカイトリノムスメ1.33.3などを上回る。

金曜日は関東甲信越を中心に降雪があり、東京競馬は夜間の発売が中止になった。4cmの積雪があった東京競馬場だが、土曜は早朝から約460人が除雪作業にあたったことで、午前の発走時刻を多少遅らせた程度の影響で競馬を無事施行することができた。それだけでも敬意と感謝を示したいところなのだが、芝コースは前記のクイーンCだけでなく、10レースの3勝クラス1400m戦でも1.20.6という速めの決着。前日に雪が降ったとは到底思えない、良好な馬場コンディションに驚きを隠せない。JRAの馬場整備技術は世界一といっていいのではないか。

話をレースに戻す。勝ったのは川田将雅騎手騎乗のハーパー。昨年のJBCレディスクラシックを勝ったヴァレーデラルナの半妹という血統馬だった。

確たる逃げ馬のいないメンバー構成から、ダートでキャリアを積んできたニシノカシミヤが気風よく逃げ、オンザブロッサムがそれに続く。600m通過34.5秒という速めの流れのなかで、ハーパーは好位~中団馬群の一角で脚を溜める。3角では他馬と接触する場面もあったが、直線入り口で前にいたドゥアイズが内に行くのとは対照的に外を選択してスムーズに持ち出されると、最後は川田騎手のアクションに応えてクビ差先着、重賞制覇を飾った。

貴重な「友道厩舎のマイル重賞勝ち」

ハーパーの上がり3F34.5秒はメンバー中6位タイ。末脚というより先行力とレースセンスを生かすクチで、今回のようなよどみないペースでの多頭数戦はマッチしていた。桜花賞戦線は阪神JFを圧勝したリバティアイランド1強ムードで、それと阪神外回りの直線勝負をするには分が悪いように映るが、時計面からは世代上位の一角を担うだけの力がありそうだ。

また、管理する友道康夫厩舎は中長距離での活躍馬が多く、マイル以下でのJRA重賞はこれで13勝目、頭数で言えば8頭目というレアケース。このうち、3歳春まで(ダービー以前)にマイル重賞を勝った馬はヴィルシーナ、クラリティスカイ、アドマイヤミヤビ、アドマイヤマーズ、そしてドウデュース。5分の4がGⅠ馬というラインナップである。

以下は推測だが、マイル以下に最適化した調教を施されていない身でマイル重賞を勝つということ自体が、潜在能力と伸びしろがあることの証左になっているのではないだろうか。ハーパーが今後どういう成長曲線を描いていくのか、期待をもって注視していきたい。

レース巧者のドゥアイズ

2着ドゥアイズは前走と一転して先行策をとった。そもそも阪神JFは外枠かつ内有利の馬場傾向を踏まえ、下げてでも内を突く、という鞍上の作戦を遂行したレース内容。馬自身は先行にも差しにも対応できる。デビューから【1-3-1-0】という戦績には、展開に応じてベストの競馬を選択できる操縦性の高さと、反面ややパンチを欠く面があらわれている。脚力勝負になりやすい桜花賞というよりは、内回りの秋華賞あたりで大仕事の予感がある。

3着モリアーナはいつもより後ろの位置から。4角では前にいたウンブライルを利用しながら巧みに大外まで持ち出したが、最後は少し甘くなった。こちらは新馬戦で上がり33.0秒をマークしたように、スローからの瞬発力勝負に適したタイプのようだ。

1番人気に推されたウンブライルは6着。ズブい面があるのは初戦から変わっていないが、後手後手で競馬にならなかった阪神JFとは違い、今回はソツなく走り切ったようには見えた。圧勝だったデビュー戦、もみじSで下した相手のうち、その後1勝クラス以上で馬券になったのはアスクドリームモア(かささぎ賞3着)だけ。展開や気性がどうということよりも、重賞で戦うには現状まだ力が足りない、という評価が妥当とみる。

2023年クイーンCのレース展開,ⒸSPAIA



《関連記事》
【フェブラリーS】根岸S上位馬が7年連続で馬券圏内! レモンポップ、距離延長をこなせるか
【ダイヤモンドS】今年も大混戦で波乱の気配あり! リベンジなるかレクセランス
【京都牝馬S】ウォーターナビレラの反撃に黄信号? ターコイズS2着ウインシャーロットが最有力!

おすすめ記事