【フェブラリーS】根岸S上位馬が7年連続で馬券圏内! レモンポップ、距離延長をこなせるか

勝木淳

フェブラリーSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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外国馬シャールズスパイト参戦

今年はレース史上初、外国馬が参戦する。カナダのシャールズスパイトは昨年のブリーダーズCマイル2着など北米芝路線で活躍中。ダートではなく、芝を主戦場にしている点はポイントだろう。日米のダートは競技が違いすぎるが、東京ダートは芝と感覚が近い。

シャールズスパイトと同じスパイツタウン産駒はこのコース【1-2-0-17】。日本で走るスパイツタウン産駒は芝をこなす傾向で東京芝は【1-2-1-9】。どちらかというと距離に壁があるタイプが多く、東京も芝ダートともに1400mがもっとも成績がいい。マイル実績があるシャールズスパイトは日本で走ったスパイツタウン産駒とはちょっとイメージが違うかもしれない。

フェブラリーSはデータ上、非常にわかりやすいレースだ。ダートは芝のような路線の多様性がなく、ここも好走候補はかなり絞られそうだ。はたしてシャールズスパイトの参戦で傾向に変化が出るだろうか。データは過去10年間のものを使用する。

過去10年フェブラリーS人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【4-2-2-2】勝率40.0%、複勝率80.0%で堅調。1番人気で馬券圏外だったのは13年カレンブラックヒル(初ダート)、22年レッドルゼル(1600m好走なし)と敗因も明確。今年の有力候補レモンポップは武蔵野S2着があり、コース実績はある。問題は陣営が出否に慎重だったことから状態面だろう。

勝ち馬はほぼ4番人気【1-0-1-8】(勝率10.0%、複勝率20.0%)以内で、例外は16番人気で勝った14年コパノリッキーのみ。複勝圏内であれば8、9番人気あたりも考えられるが、基本的に大波乱は期待できない。

過去10年フェブラリーS年齢別成績,ⒸSPAIA


スピード優先の東京ダートは若い馬が強く、4歳【4-1-1-19】勝率16.0%、複勝率24.0%、5歳【4-4-4-24】勝率11.1%、複勝率33.3%が主力で、6歳【2-1-2-25】勝率6.7%、複勝率16.7%、7歳以上【0-4-3-60】複勝率10.4%。かといって4、5歳だけで馬券を組み立てるのは危険だ。


優秀な根岸S組を素直に評価

レモンポップは距離にウィークポイントを抱えているが、それでも今年の主役だ。この点も含め前走成績に注目していこう。

過去10年フェブラリーS前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずは前走クラス別成績。前走地方【0-4-2-35】複勝率14.6%は東京大賞典【0-2-1-12】複勝率20.0%が有力だが、好走3頭はエスポワールシチー、インカンテーション、ゴールドドリームで、フェブラリーSか武蔵野Sを勝っており、メイショウハリオ、ショウナンナデシコは東京マイルの重賞実績がない点は気になる。またマイルCS南部杯とJBCスプリントはどちらも【0-0-0-2】。

次に前走GⅠ【3-3-3-12】勝率14.3%、複勝率42.9%はほぼチャンピオンズC組だが、今年はここが不在。さらにGⅡ【3-1-1-17】勝率13.6%、複勝率22.7%はすべて東海S。3着以内【3-1-1-10】、4着以下【0-0-0-7】で、8着だったオーヴェルニュは好走ゾーンに入らない。

過去10年フェブラリーS前走根岸S着順別成績,ⒸSPAIA


こうなると前走根岸S【3-2-3-49】勝率5.3%、複勝率14.0%だ。以前は距離延長の根岸S組は本番と相性がよくない時代が続いたが、暮れのチャンピオンズC好走馬がサウジやドバイに回るケースが増え、さらにダート全体がスピード志向になりつつある背景から根岸SとフェブラリーSは結びつきやすくなった。目下、16年から7年連続で3着以内馬を送っている。

その着順別成績は明確で、1着【3-1-1-3】勝率37.5%、複勝率62.5%、2着【0-1-2-4】複勝率42.9%、3着以下【0-0-0-41】。買えるのは根岸S1、2着であり、レモンポップ1頭だ。

今年の根岸Sの勝ち時計は1:22.5。良馬場の根岸Sで22秒台を記録したのは02年サウスヴィグラス、20年モズアスコットの2回。勝ち馬はどちらもGⅠ馬だ。ただし、サウスヴィグラスは次走フェブラリーS6着、GⅠは翌年のJBCスプリントで勝利した。一方、モズアスコットは次走フェブラリーSを制した。レモンポップは先行抜け出しで粘り切った根岸Sからもイメージ的にはサウスヴィグラスに近く、200mの距離延長は高い壁になりそうだ。

しかし同じようにマイル戦に不安があった05年メイショウボーラーは根岸S、フェブラリーSを逃げて連勝。スピードで圧倒した。この年のフェブラリーSは不良馬場で行われ、1:34.7は当時のレコードタイムだった。逃げたメイショウボーラーは前後半800m45.8-48.9を記録。マイルをこなそうと無理に抑えず、スピード任せの競馬を展開し、最後200mは12.7かかったが、それまでに稼いだリードを使い切る形でゴール板に飛び込んだ。レモンポップの武蔵野Sも最後200mは12.5。マイルを意識しすぎず強気に攻めれば、チャンスはある。差し脚鋭いギルデッドミラー不在なら、押し切る可能性はある。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『テイエムオペラオー伝説 世紀末覇王とライバルたち』『競馬 伝説の名勝負 GⅠベストレース』(星海社新書)に寄稿。

根岸Sインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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