【AJCC】仕切り直しの一番、横綱相撲で完勝だ 東大HCの本命はガイアフォース

東大ホースメンクラブ

アメリカジョッキークラブカップの脚質別成績,ⒸSPAIA

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伝統のGⅡ、春の大一番へ

今週日曜、中山競馬場を舞台にGⅡ・AJCC(アメリカジョッキークラブカップ)が行われる。昨年のセントライト記念覇者、菊花賞8着からの巻き返しを期すガイアフォース、4連勝で重賞戦線に殴り込みをかけるエピファニー、昨年のエプソムCを勝ったノースブリッジ、中山巧者の逃げ馬バビット、復活が期待されるオークス馬ユーバーレーベンなど14頭がエントリーしてきた。

大阪杯や宝塚記念といった春GⅠに向けての重要な前哨戦。過去の勝ち馬にはメジロブライト、スペシャルウィーク、マツリダゴッホ、ルーラーシップなどの名馬が並ぶ。伝統のGⅡ重賞を制するのはどの馬か、今週もデータを駆使して検討していく。

先行力が武器に

2023年AJCC脚質別成績,ⒸSPAIA


<AJCC・脚質別成績>
逃げ【1-0-1-9】勝率9.1%/連対率9.1%/複勝率18.2%
先行【7-5-1-24】勝率18.9%/連対率32.4%/複勝率35.1%
差し【2-4-7-46】勝率3.4%/連対率10.2%/複勝率22.0%
追込【0-0-0-34】勝率0.0%/連対率0.0%/複勝率0.0%
マクリ【0-1-1-0】勝率0.0%/連対率50.0%/複勝率100.0%
※過去10年

AJCCは中山コースらしく先行力が必要となるレースで、過去10年の勝ち馬のうち7頭が先行勢。特に近年はこの傾向が著しく、2016年から2021年まで先行馬が6連覇を決めている。まずはポジションを確保できる馬の評価を上げたい。

先行勢のうち、4、5歳馬が【5-2-1-7】複勝率53.3%と活躍しており、単勝回収率は200%を超えている。このうち父サンデーサイレンス系なら【2-2-1-2】複勝率71.4%で、人気でもガイアフォースから馬券を考えた方が良さそうだ。

反対に後方待機勢は苦戦。差しは当時屈指の中山マイスター・2014年のヴェルデグリーンと、昨年のキングオブコージの2勝にとどまっている。仕掛けを待った組のワンツースリーで決まった昨年のような結果は珍しく、連下までの印が妥当か。

最後にマクリ【0-1-1-0】について。2013年3着アドマイヤラクティ、2018年2着のミッキースワローが該当する。ユーバーレーベンは前走のジャパンCでこの形(通過順16-17-7-7)の競馬を敢行し、最後は力尽きたものの見せ場はあった。近走着順のみで見限るのは禁物、印を回しておきたい。

適距離の2200mで見直し

◎ガイアフォース
新馬戦(2着)ではドウデュースとクビ差の接戦を演じ、昨年7月の国東特別では1分56秒8のレコード勝ち、セントライト記念ではのちの菊花賞馬アスクビクターモアを差し切って勝利した。メンバーレベルの高い現4歳中距離路線でも五指に入る存在といえる。

菊花賞は適性距離を外れた舞台に苦しんだといったレース運びで、結果的に1枠1番もプラスには働かなかった印象。やはり2000m~2200mあたりで最もパフォーマンスを発揮できるとみる。脚力は出走メンバー中随一で、今年を真の飛躍の年にするためにも負けられないところだ。

◯エヒト
昨年の七夕賞が間違いなくキャリアハイの走りであり、明け6歳にしてまだまだ衰えを感じさせない。前走のチャレンジCはGⅠ級の素質馬ソーヴァリアントと同斤ながら0秒3差にまとめ、2着ルビーカサブランカに迫ったところがゴール。一定以上の上がりがかかる条件で浮上しており、冬の中山はまさにぴったりだ。

AJCCは父ルーラーシップが2012年に勝利、産駒のダンビュライトも2018年に重賞初制覇を決めたレース。おなじみとなった田中勝春騎手とのコンビで好走が期待できそうだ。

▲エピファニー
4連勝でもっとも濃い内容だったのが2走前の白井特別。持ったままでポジションを上げ、ラスト3F11.7-11.7-11.4の加速ラップを踏んで圧勝した。急坂をモノともしないレースぶりは力をつけてきた証だろう。

ただ直近3戦は全て10頭立て以下の少頭数戦、倒してきた相手も骨っぽいところではレッドランメルト(オープン馬、中山金杯6着)がいる程度。いきなりの重賞挑戦で壁にぶつかる可能性も十分ある。2200m以上のレースを経験せずにAJCCを勝った馬は2004年のダンツジャッジ以来皆無というデータもある。まさに試金石の一戦だ。

以下レインカルナティオ、ユーバーレーベン、ノースブリッジに印を回す。馬券は◎をアタマ固定、印に流す3連単とする。

▽AJCC予想▽
◎ガイアフォース
◯エヒト
▲エピファニー
△レインカルナティオ
×ユーバーレーベン
×ノースブリッジ

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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