サクセスブロッケンなど12頭が該当 平地で3.0秒差以上の「大差勝ち」した馬は大成するのか?

SPAIA編集部

平地競走で3.0秒以上の大差勝ち経験馬,ⒸSPAIA

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ヤマニンウルスがつけた4.3秒差は驚異的

メジロブライトの1997年ステイヤーズS、サイレンススズカの1998年金鯱賞。両馬が後続につけた「1.8秒」という差が、今でもグレード制導入以降のJRA平地重賞では最大着差レースとなっている。

重賞に限らないJRA平地競走の最大着差は、先日の8月20日に記録された「4.3秒」。小倉ダート1700mの2歳新馬戦で今村聖奈騎手騎乗のヤマニンウルスが勝利したレースだ。将来の大物誕生へ期待が膨らむところだが、果たしてデータ上はどうなのか。今回は、過去に3.0秒以上の差をつけた大差勝ちのレースと、圧勝馬たちのその後を振り返っていく。

平地競走で3.0秒以上の大差勝ちした馬一覧,ⒸSPAIA


1986年以降、サラ系の平地競走で3.0秒以上の大差勝ちが記録されたのは12回。

1986年2月1日 3.1秒 マルエリート(中京・ダート1600m・4歳新馬)
1986年3月1日 3.6秒 ツキノオージャ(阪神・ダート1800m・4歳新馬)
1987年1月31日 3.1秒 ダイゴアルファ(京都・ダート1400m・4歳新馬)
1990年3月24日 3.1秒 トーワルビー(阪神・ダート1800m・4歳未出走)
1990年11月3日 3.3秒 メイショウホムラ(京都・ダート1400m・3歳新馬)
1998年11月28日 3.1秒 エイシンサンルイス(京都・ダート1400m・3歳未勝利)
2001年8月26日 3.0秒 ロードプリヴェイル(札幌・ダート1700m・3歳未勝利)
2004年3月27日 3.5秒 グランドホイッスル(中山・ダート1800m・3歳未勝利)
2007年11月17日 3.1秒 サクセスブロッケン(福島・ダート1700m・2歳新馬)
2020年8月22日 3.1秒 プライムデイ(札幌・ダート1700m・2歳未勝利)
2021年12月18日 3.3秒 タヒチアンダンス(中山・ダート1800m・2歳新馬)
2022年8月20日 4.3秒 ヤマニンウルス(小倉・ダート1700m・2歳新馬)

衝撃的なレースぶりを見せたヤマニンウルスが1986年以降、唯一4.0秒以上の着差をつけている。注目すべきは、すべてのレースがダート戦の新馬戦か未勝利戦ということ。

比較的着差のつきにくい芝のレースでは、2013年の菊花賞3着馬バンデが積丹特別(1勝クラス)でつけた「2.8秒」(ほか1例)が最大となっている。ちなみに、今年のドバイターフを勝ったパンサラッサは芝の未勝利戦を勝った際に2.5秒の着差をつけていた。

激走馬たちの次走 連勝できたのはわずかに5頭のみ

平地競走で3.0秒以上の大差勝ち馬 次走成績,ⒸSPAIA


圧倒的な大差勝ちを記録した馬は、当然ながら次走で人気になりやすい。では、どのような成績になったのかを振り返ってみたい。

マルエリート 11着(12.7倍・8番人気)
ツキノオージャ 2着(1.7倍・1番人気)
ダイゴアルファ 1着(3.1倍・1番人気)
トーワルビー 1着(16.6倍・5番人気)
メイショウホムラ 3着(3.5倍・2番人気)
エイシンサンルイス 1着(1.8倍・1番人気)
ロードプリヴェイル 1着(1.0倍・1番人気)
グランドホイッスル 9着(2.0倍・1番人気)
サクセスブロッケン 1着(1.9倍・1番人気)
プライムデイ 9着(2.5倍・1番人気)
タヒチアンダンス 6着(1.6倍・1番人気)

意外にも次走で連勝を果たしたのは11走中5例だけ。エイシンサンルイスからタヒチアンダンスまでの6頭は、ダートの条件戦に挑んで3頭が勝ち、そして残りの3頭は着外に沈む結果となった。また、マルエリートからからメイショウホムラまでの5頭中、ツキノオージャを除く4頭は次走で芝のレースに挑戦している。中でもトーワルビーはオープンの忘れな草賞を快勝しオークスに挑戦した(10着)。

圧倒的なパフォーマンスを見せた馬は大成するのか?

平地競走で3.0秒以上の大差勝ち経験馬 JRA通算成績一覧,ⒸSPAIA


最後に、3.0秒以上の大差勝ちを経験した馬はその後、JRAのレースでどのような成績を残したのかを調べてみたい。

マルエリート【2-1-2-10】
ツキノオージャ【3-4-2-5】
ダイゴアルファ【3-0-0-4】1987年毎日杯
トーワルビー【2-1-1-6】1991年金鯱賞2着
メイショウホムラ【10-4-1-10】1993年フェブラリーHC
エイシンサンルイス【5-5-0-5】2000年GⅢ2着3回
ロードプリヴェイル【平地6-5-3-11/障害6-0-0-6】2004年京都ハイジャンプ
グランドホイッスル【平地3-0-4-24/障害0-0-0-1】
サクセスブロッケン【5-1-0-5】2009年フェブラリーS
プライムデイ【1-0-0-11】※現役
タヒチアンダンス【2-1-0-2】※現役

先日、新潟の1勝クラスを快勝したタヒチアンダンスと地方に移籍したプライムデイは現役なので、他の9頭を振り返ってみたい。

やはり代表格はサクセスブロッケン。中央では2009年のフェブラリーSを制覇。地方では交流GⅠのみを戦い続け【2-2-2-2】で2008年ジャパンダートダービーと2009年東京大賞典を制覇した。

他にも10勝馬で1993年のGⅢフェブラリーHCを制したメイショウホムラ、平地と障害それぞれで6勝ずつあげオープンクラスまで出世したロードプリヴェイル、ブロードアピールの追い込みで有名な根岸Sの2着をはじめ重賞2着3回のエイシンサンルイスなど、引退馬9頭全てが複数勝利を記録し、6頭が重賞戦線で3着以内に入る活躍をした。やはり、エンジンは本物という事だろう。先述の現役馬2頭とヤマニンウルスのこれからの走りから目が離せない。

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