【札幌2歳S】カギは上がり3ハロンタイムにあり ダイヤモンドハンズ、ブラストウェーブなどが有力候補

勝木淳

札幌2歳Sインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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好走目安は前走上がり2位以内

一昨年ソダシとユーバーレーベン、昨年ジオグリフと2年連続でクラシックホースを輩出。札幌2歳Sはクラシックを展望する上で見逃せない重賞になりつつある。思えば00年1、3着馬のジャングルポケット、テイエムオーシャンもここを勝って翌年クラシックを制するなど、札幌芝1800mのこのレースはクラシックの登竜門だった。時代は巡り、再び札幌2歳チャンピオン決定戦は存在感を増している。ここでは13年函館開催含め、過去10年間のデータをもとに好走候補を考える。


過去10年札幌2歳S人気別成績,ⒸSPAIA


まずは人気から。1番人気は【2-2-2-4】勝率20.0%、複勝率60.0%とまずまず。以下2番人気から5番人気ぐらいに好走馬は集中しており、穴っぽいのは7番人気【0-0-3-7】複勝率30.0%ぐらい。そもそも出走頭数が全体的に少ない傾向にあり、そこは頭に入れておきたい。


過去10年札幌2歳S上がり3ハロン別成績,ⒸSPAIA


2歳重賞では決め手は非常に重要で、ここも上がり3ハロン1位は【4-3-2-1】勝率40.0%、複勝率90.0%と強力。以下2位【4-2-1-4】勝率36.4%、複勝率63.6%、3位【0-1-5-5】複勝率54.5%までがよく、4位以下は確率が一段下がる。


過去10年札幌2歳S前走上がり3ハロン別成績,ⒸSPAIA


では前走の上がり順位はどうだったのかというと、こちらも1位が【8-4-5-47】勝率12.5%、複勝率26.6%と好成績。ついで2位が【2-4-5-28】勝率5.1%、複勝率28.2%なので、3位以下は【0-2-0-27】。前走上がりに注目すると、候補は絞れそうだ。


前走札幌芝1800mは新馬、未勝利ともに不振

前走で決め手を発揮した馬を中心にというひとつの方針が見えてきたところで、ここから前走成績データをもとに具体的に好走候補を絞りたい。


過去10年札幌2歳S前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずは前走クラスから。前走オープン【1-4-3-21】勝率3.4%、複勝率27.6%の内訳は同距離のコスモス賞【0-3-2-13】複勝率27.8%、1500mで間隔が詰まるクローバー賞【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%。コスモス賞4着以内は【0-3-2-10】、このうち1着は【0-2-1-3】。勝ったモリアーナは不在、2着以下なら上がり最速だったウェイビーが浮上する。


過去10年札幌2歳S前走新馬組前走距離別成績,ⒸSPAIA


次はなんといっても前走新馬【7-4-7-55】勝率9.6%、複勝率24.7%。ここは前走距離に注目。前走1800m未満【2-0-0-15】勝率、複勝率11.8%は前走1600mが【2-0-0-4】勝率、複勝率33.3%。今年は中京芝1600mの新馬を勝ったダイヤモンドハンズがいる。その新馬戦は前後半800m48.5-46.9で走破タイムが1.35.4。中京マイルの6月新馬戦らしくスローの瞬発力勝負。ダイヤモンドハンズはレース上がり34.6を4コーナー3番手から上がり34.3。上がり1位タイなので、当然ながら有力候補。レースセンスが高く札幌芝1800mに合いそうだ。


過去10年札幌2歳S前走新馬組前走1800m組競馬場別成績,ⒸSPAIA


前走1800m【5-4-7-39】勝率9.1%、複勝率29.1%について競馬場別成績を見る。札幌【1-1-4-13】勝率5.3%、複勝率31.6%と勝ちきれず、函館【2-1-2-15】勝率10.0%、複勝率25.0%が好成績という点には注意したい。出走頭数は変わらず、勝率は倍近い。これは間隔を十分とれる利点もあるか。

そうなると函館芝1800mの新馬を勝ったブラストウェーブに注目だ。ブラストワンピースの全弟と血統の筋は通っている。兄は19年札幌記念Vと適性も感じる。その新馬戦は開催10日目に行われ、1.50.9。レース上がり35.6、自身は上がり2位の35.5。クビをリズムよく使った走りは兄より上手。レース最速区間の残り400~200m11.5で逃げ馬を捕まえ、先頭に立った。こちらも使った上積みが期待できる。

前走東京【1-1-0-1】に該当するシャンドゥレールは前走上がり1位、福島【0-1-1-7】フェアエールングも前走上がり1位タイと、他でいえばこのあたりか。


過去10年札幌2歳S前走新馬組前走1800m組上がり3ハロン別成績,ⒸSPAIA


では前走芝1800m新馬組に絞って、上がり3ハロン順位別成績を出すと、1位【5-2-4-20】勝率16.1%、複勝率35.5%、2位【0-1-3-14】複勝率22.2%、3位【0-1-0-3】複勝率25.0%。単勝狙いなら1位だろう。シャンドゥレール、フェアエールングと北海道以外で勝ちあがった組が浮上する。

なお前走未勝利【2-2-0-21】勝率8.0%、複勝率16.0%は函館芝1800m【2-1-0-2】勝率40.0%、複勝率60.0%、札幌芝1500m【0-1-0-3】複勝率25.0%、札幌芝1800m【0-0-0-9】といった感じ。前走札幌芝1800m未勝利戦を勝ったドゥーラ、トーセンウォルトには気になるデータだ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


札幌2歳Sインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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