【エルムS】「前有利」の舞台設定 ハイブリッド式消去法で残った注目馬はアメリカンシードとダノンファラオ

八木遊

過去10年のエルムS『前走札幌or函館』かつ『前走4着以下』の成績,ⒸSPAIA

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5つのデータから絞れた馬は?

先週の『アイビスSD』はマウンテンムスメを本命としたが直線半ばで脚色が悪くなり、8着に敗退。印を回した5頭の中には、1着ビリーバーと2着シンシティも入っていたが、8枠に入った時点で評価を上げておくべきだった。

気を取り直して、今週は日曜の札幌メイン『エルムS』を予想していきたい。2013年と21年は函館で開催されたが、その2回も含めた過去10年の当該レースを対象とする。いつも通り、複勝率10%未満の「凡走データ」を5つピックアップし、当てはまった馬を消去していく。フルゲート14頭に15頭が登録したが、今回は全頭を対象に進めていく。

『前走札幌 or 函館』×『前走4着以下』★3.0%★

まずは前走で札幌か函館を走っていた馬に注目。過去10年で【5-3-2-44】(複勝率18.5%)と成績はまずまずといったところだ。ただし、その前走が4着以下だった馬は【0-1-0-32】(同3.0%)で、エルムSではほぼ凡走していた。

今年この消去条件に当てはまったのは、以下の4頭。昨年の2着馬オメガレインボーは前走のマリーンSが惜しい4着だった。上位人気が予想されるが、今回は消しとしたい。

【今年の該当馬】
・オメガレインボー
・ダンツキャッスル
・バティスティーニ
・ブラックアーメット

『関東馬』×『前走人気>前走着順』★5.9%★

続いては東西別データをチェック。関東馬は【3-1-4-37】(複勝率17.8%)で、関西馬の【7-9-6-58】(同27.5%)に比べるとかなり見劣る。特に前走で人気を上回る好走をしていた馬が【0-0-1-16】(同5.9%)と苦戦していた。

今年この条件に当てはまったのはアイオライトとフルデプスリーダーの2頭。どちらも人気薄の前走で、それぞれ函館のリステッド競走とオープンを先行して押し切った。しかし、相手が強化される今回は評価を下げたほうが無難とみる。

【今年の該当馬】
・アイオライト
・フルデプスリーダー

『関西馬』×『母の父サンデーサイレンス系』★6.7%★

続いて複勝率27.5%の関西馬にも消去データが存在。それが母の父がサンデーサイレンス系の馬だ。過去10年でのべ15頭がこの条件を満たしたが、【0-1-0-14】(複勝率6.7%)という成績になっている。

今年は6頭がこの条件に当てはまった。うち3頭は消去済み。新たに消去リスト行きとなったのはウェルドーン、ヒストリーメイカー、ブラッティーキッドの3頭だった。

【今年の該当馬】
・ウェルドーン
・(オメガレインボー)
・(ダンツキャッスル)
・(バティスティーニ)
・ヒストリーメイカー
・ブラッティーキッド

『非社台系生産』×『前走10番人気以下』★6.7%★

続いては生産者別データから、非社台系の牧場で生産された馬を取り上げたい。過去10年の成績は【5-8-9-75】(複勝率22.7%)で、複勝率は社台系生産馬(同22.9%)と遜色ない。ただし、前走人気順が10番人気以下だった馬は【0-1-0-14】(同6.7%)。唯一馬券に絡んだのが、14年2着のクリノスターオーだった。

今年は3頭がこの条件に当てはまった。ロードレガリスと除外対象(*)のロジペルレストの2頭を新たに消去する。

【今年の該当馬】
・(ヒストリーメイカー)
・ロードレガリス
・ロジペルレスト*

『前走と同距離』×『今回6~7枠』★0.0%★

ここまで登録15頭のうち11頭の消去に成功したが、最後の条件でさらに絞り込むことはできるか。5つ目は、前走で同距離1700mを走っていた馬を取り上げたい。前走同距離組の過去10年の成績は【7-3-2-45】(複勝率21.1%)とほぼ平均値。これに掛け合わせるのは、エルムSでの枠順だ。結論から言うと、6~7枠に入った馬が【0-0-0-16】(同0.0%)で、馬券圏内がなかった。理想は真ん中よりも内目、もしくは外は外でも大外がいい。前走1700mかつ今回8枠なら【2-2-1-5】(複勝率50.0%)という好成績が残っている。

残っていた4頭のうち、前走も1700mを走っていたのはロードエクレールだけ。もし同馬が6枠か7枠に入ったときは消去対象となる。

【今年の該当候補】
・ロードエクレール

5つの条件を終えて、消去を免れたのはアメリカンシード、スワーヴアラミス、ダノンファラオの3頭。連覇を狙うスワーヴアラミスは7歳という年齢に加え、斤量58kgなど不安材料も少なくない。かといってアメリカンシードとダノンファラオも近走は大敗が続いており、狙いにくいのは確かだ。

ただし、このレースは逃げ、先行馬が断然有利。過去10年で初角2番手以内の馬は【1-6-4-11】(複勝率50.0%)で、「行った行った」のレースとなることも多い。先行力があるアメリカンシードとダノンファラオに加え、枠順次第では逃げ馬のロードエクレールをスワーヴアラミスよりも上に取りたい。いずれにしても、最終追い切り、枠順、当日の馬体重などを加味した上で最終判断を下すつもりだ。

【ライタープロフィール】
八木 遊
野球兼競馬ライター。スポーツデータ会社やテレビ局の校閲職などを経てフリーに。2021年には全重賞の予想、買い目、年間収支をTwitterに掲載したが、回収率は自己ワーストの46.4%に終わる。単複ワイドに絞った今年の回収率は65.4%(7月31日現在)。


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