【アイビスSD】津村明秀騎手が複勝率40%、単勝回収率150%超え 東大HCが新潟芝1000mを徹底検証

東大ホースメンクラブ

新潟芝1000mコースデータ,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は新潟芝1000mを舞台にアイビスSDが行われる。1年ぶりの復帰となるGⅡ・ニュージーランドT覇者・ジャングロ、C.ホー騎手と新コンビを組む一昨年の女王オールアットワンス、前哨戦の韋駄天Sを制したメディーヴァルなど、電撃の5ハロン戦にふさわしいメンバーが揃った。

当該コースが舞台の重賞はアイビスSDのみ。今週は夏の風物詩的存在であるこのレースのコース特徴をデータで分析していく(使用するデータは特記なき限り2018年7月28日〜2023年5月21日)。

まずはコース紹介。4コーナー奥のポケット地点をスタートし、最初の1ハロンはゆるやかに上る。そこから1ハロン程度下った後、細かな起伏を通過し、残り2ハロン弱は平坦なターフでの末脚比べとなる。

日本の夏、新潟千直桃帽の夏

新潟芝1000m・枠別成績,ⒸSPAIA


<新潟芝1000m・過去5年の枠別成績>
1枠【2-7-5-207】勝率0.9%/連対率4.1%/複勝率6.3%
2枠【6-8-8-205】勝率2.6%/連対率6.2%/複勝率9.7%
3枠【7-9-9-204】勝率3.1%/連対率7.0%/複勝率10.9%
4枠【6-15-4-206】勝率2.6%/連対率9.1%/複勝率10.8%
5枠【12-4-6-213】勝率5.1%/連対率6.8%/複勝率9.4%
6枠【19-12-18-185】勝率8.1%/連対率13.2%/複勝率20.9%
7枠【25-28-33-209】勝率8.5%/連対率18.0%/複勝率29.2%
8枠【41-36-34-191】勝率13.6%/連対率25.5%/複勝率36.8%

枠別成績は極めて単純、外であればあるほど好走率が高い。8枠は唯一勝率10%超えを果たし、単勝回収率は92%と高水準。複勝回収率に至っては102%とベタ買いするだけでプラス域だ。凡走が目立つのは、500m以上の短縮ローテで臨んだ馬【1-1-3-19】ぐらいであり、一定のスピード能力を証明している馬なら逆らいようがない。

アイビスSDの過去10年を見ても8枠は【4-2-1-17】勝率16.7%、単勝回収率260%と頭抜けており、迷ったら桃帽を買うレース。好走例がないのは1枠と3枠で(ともに連対率0%)、点数を絞りたいなら消し。特に1枠は変則開催で外が荒れていた21年のバカラクイーン3着を除くと掲示板に入った例すらない。経済コースという利点なしに、荒れた馬場を走るのはとてつもないハンデとなる。

新潟芝1000m・脚質別成績,ⒸSPAIA


<新潟芝1000m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【41-27-13-91】勝率23.8%/連対率39.5%/複勝率47.1%
先行【35-42-33-269】勝率9.2%/連対率20.3%/複勝率29.0%
差し【36-38-50-683】勝率4.5%/連対率9.2%/複勝率15.4%
追込【6-12-21-574】勝率1.0%/連対率2.9%/複勝率6.4%

極限のスピードコースらしく前が絶対的に有利。前走逃げた馬が8枠に入ると【12-5-5-23】で勝率26.7%、単勝回収率174%を記録。基本的には、外枠の前目で競馬できそうな馬を狙っていくスタンスで良さそうだ。

アイビスSDでは16年から7年連続で逃げた馬が連対しているが、差し・追込も過去10年で4勝とほぼ互角。ただし追込は【2-0-2-43】と苦戦が目立ち、馬券に絡んだのはラインミーティア(17年1着)、ビリーバー(22年1着、20年3着)、ロードベイリーフ(22年3着)と、10年でわずか3頭のみ。後方勢が人気を集めるようならバッサリ切ってしまった方が期待値は高い。

ロードカナロアが圧倒的

新潟芝1000m・種牡馬別成績,ⒸSPAIA


<新潟芝1000m・過去5年の種牡馬別成績>
ロードカナロア【12-8-9-75】勝率11.5%/連対率19.2%/複勝率27.9%
ダイワメジャー【8-5-8-66】勝率9.2%/連対率14.9%/複勝率24.1%
ジャスタウェイ【4-3-0-14】勝率19.0%/連対率33.3%/複勝率33.3%
アドマイヤムーン【3-6-4-30】勝率7.0%/連対率20.9%/複勝率30.2%

種牡馬別成績ではロードカナロアが2位のダイワメジャーに4勝差をつけて独走。単勝回収率230%と妙味も十分だ。20年にはジョーカナチャンがアイビスSDを制するなど、上級条件でも活躍しており、日本競馬史上最速クラスのスピードを産駒に伝えている。

2位は先述の通りダイワメジャー。1勝クラスで6勝を挙げるなど下級条件での活躍が目立つ一方、3勝クラスより上ではなんと0勝。上級条件では軽視が得策だろう。2番人気以内に推された場合は【6-2-4-5】で複勝率70.6%、単勝回収率も114%と安定感抜群。下級条件の人気馬は素直に信頼できる。

3位はジャスタウェイ。マイル〜中距離を主戦場とした父のイメージとは裏腹に意外な結果となった。計7回馬券に絡んでいるが、レオハイセンス(4回)、トモジャファイブ(2回)と同条件でのリピーターによるものだった。

今週のアイビスSDでの該当馬を確認すると、ロードカナロアはサトノファビュラス、スティクス、スワーヴシャルルの3頭が出走予定。ダイワメジャーとジャスタウェイの該当馬はいなかった。その他の注目としてはデータに挙げたアドマイヤムーン。トキメキとマウンテンムスメの2頭が該当する。

新潟芝1000m・騎手別成績,ⒸSPAIA


<新潟芝1000m・過去10年の騎手別成績>
津村明秀【7-9-6-33】勝率12.7%/連対率29.1%/複勝率40.0%
藤田菜七子【7-3-3-71】勝率8.3%/連対率11.9%/複勝率15.5%
杉原誠人【6-8-4-51】勝率8.7%/連対率20.3%/複勝率26.1%
鮫島克駿【6-7-4-14】勝率19.4%/連対率41.9%/複勝率54.8%

最後に騎手別成績を見ていく。

トップは津村明秀騎手。単勝回収率は162%とプラス域をマーク。6枠より外に入った場合の複勝回収率は全て100%超えだ。ただし、8枠では【1-4-2-3】で勝率10.0%と、他の騎手に比べて勝ち切れなさが目立っている。2、3着付けの馬券を狙ってみるのも面白いだろう。

同様に7勝を挙げ2番手につけているのは藤田菜七子騎手。ただし、3勝クラスより上で馬券に絡んだことはなく、下級条件で狙うのが吉だ。基本的に妙味度は低く、有利な8枠に入った場合でも単勝回収率は84%に留まっている。

22年にビリーバーでアイビスSDを制した杉原誠人騎手が3位。こちらは上級条件の方が単勝回収率が良いのが特徴。6勝のうち5勝をミルファームとのコンビで挙げており、昨年のビリーバーもこのコンビだ。

4位は鮫島克駿騎手。近年屈指の千直巧者・ライオンボスとのコンビでお馴染み。21年10月を最後に騎乗がないが、同コースで残した実績は複勝率54.8%、単勝回収率524%と他の騎手を圧倒。再び騎乗することがあれば必ず狙いたい千直の鬼だ。

新潟芝1000mコースデータ,ⒸSPAIA


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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