【2歳馬ジャッジ】ラヴェルは次走重賞級でも楽しみな勝ちっぷり 半姉ナミュールを超えられるか

山崎エリカ

2022年7月9、10日の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

実力馬の半妹がデビュー勝ちした7月2週目の2歳戦

このコラムでは古馬のレースと比較しながら2歳戦の指数を算出し、出走馬を評価していく。オークス3着馬ナミュールの半妹ラヴェルや、有馬記念勝ち馬の全弟ブラストウェーブなどが勝利した7月9日、10日の2歳戦について、指数と評価を掲載する。

7月10日(日) 小倉5R 優勝馬 ラヴェル 指数-3 評価AA
10番枠からかなり出遅れ、後方からの競馬となったラヴェル。道中は外を回り、3角過ぎからスパート開始。4角大外から前に取りつくと、直線でも外から長く良い脚を使って勝利した。ラスト2Fは11秒7-11秒3。そこまでスピード感があったわけではないが、最後まで加速しながら勝利したことはとても高く評価できる。

この馬の半姉はナミュール。昨年の新馬戦でラスト2F10秒8-10秒7という驚異的な数字を記録し、その後チューリップ賞を勝利した。ラヴェルは姉ほどド派手な新馬戦だったわけではないが、スタートでロスがありながら長く良い脚を使って勝利した内容は姉にそう劣らない。

今回はスタートでロスがあり、全能力を発揮したものではないだろう。次走がいきなり重賞でもチャンス十分の馬だ。次でこの馬の能力と、姉と比べての優劣がおおよそ測れるかもしれない。

7月10日(日) 小倉6R 優勝馬 アロマデローサ 指数-2 評価A
9番枠から好発を切って序盤は好位にいたが、そのあと好位直後の中目に下げて、流れに乗ったアロマデローサ。最後の直線で外に出されると、しっかり伸びて2着馬に1馬身1/4差を付けての快勝だった。

ラスト2Fは11秒6-11秒4。走破タイムは1分09秒5と平凡だが、好位から伸びて最後まで加速する満点の競馬ぶり。地味ではあるが重賞戦線で上位争いできる能力の持ち主と見る。今後が楽しみだ。

7月9日(土) 福島2R 優勝馬 ゴッドファーザー 指数-5 評価A
前走は6月阪神最終日の芝1800m戦、カルロヴェローチェが勝利した新馬戦で3着だったゴッドファーザー。今回は8番枠から好発を決め、内の馬を制するように外から先頭に立ち、逃げる競馬。ゴッドファーザーにとってはマイペースの逃げだったようだが、3角過ぎからは後続馬たちがバテ始める。直線でゴーサインが出されると完全に独走、結果10馬身差の圧勝だった。

ただ走破タイム1分49秒1、ラスト2F12秒2-12秒4。上がり3Fタイム36秒5は、同日の同距離で行われた7レースの3歳未勝利戦と比較していくと、そこまで優秀だったわけではない。10馬身差の圧勝ではあったが、相手が弱かったというか、能力を出し切れなかった一戦だったという評価が適切と見る。

よってそこまで高い指数にはならなかった。それでもゴッドファーザーは余裕を感じさせながら圧勝したことは確か。今後は勝ったり負けたりしながら、スタミナを生かせる舞台で活躍できそうだ。

7月9日(土) 福島5R 優勝馬 マイネルズーメン 指数-2 評価B
5番枠から好発を決めて、道中は2番手で流れに乗ったマイネルズーメン。小柄ながらキビキビとした走りが印象的な馬だ。3角過ぎからゴーサインが出されると、前との差を詰めて4角では早くも先頭に立つ。直線では外からの激しい追撃があったが、最後までしっかりと伸びて勝利した。

ラスト2Fで11秒6-12秒2と大きく減速している点は評価できないが、4角先頭の強い内容の競馬。そして同日古馬のレースとラップ対比をしていくと、指数はそこまで悪くないという結果になった。例年、福島開催の芝中距離新馬戦で渋い活躍馬を出すことが多いマイネル軍団。この馬も叩かれながら、味を出す馬になりそうだ。

7月10日(日) 福島5R 優勝馬 ナチュラルハイ 指数-4 評価A
4番枠から好発を切って促し、逃げるかと思われたが、外からハナを主張してくる馬に行かせて、すっと2番手に控えるセンスの良さを見せたナチュラルハイ。しかし、逃げた馬とは能力が違うのか、3角過ぎには早々に立ってしまう競馬。直線に入ると再スパートし、外から迫る2着馬を封じて勝利、3着以下には7馬身以上の差をつけて快勝だった。

ラスト2Fは12秒0-11秒8。早め先頭に立たされる競馬になりながら、最後まで止まらなかった走りは高く評価できる。新馬戦としてはほぼケチをつけるところがない走りだった。

ただ今回は減量騎手が騎乗で斤量52Kg。瞬発力には大きくプラスに働いた点は無視できない。新馬戦を減量騎手騎乗で好指数勝ちした馬は、不思議とあまり成長しないことがあるからだ。ナチュラルハイは減量騎手が利いての好内容、好指数勝ちだったのか、それとも本物なのか。次走が楽しみだ。

7月10日(日) 福島6R 優勝馬 モンサンスヴニール 指数-2 評価B
5番枠から五分のスタートだったが押してダッシュを付け、マイペースの逃げに持ち込んだモンサンスヴニール。結局後続はついて来ず、最後まで止まらずに逃げ切ってしまった。

ラスト2Fは11秒5-11秒9。上がり3Fタイムの34秒9はこの日の福島としては悪くない。後続はバラけており、指数はそれなりのものとなった。自ら動いて勝利したレース内容は数字以上に価値がある。折り合い面も次走以降はもっと良くなりそう。意外と面白い馬に成長していきそうな気配を感じる。

7月9日(土) 函館1R 優勝馬 イコサン 指数-6 評価A
新馬戦ではオーバーペースで逃げて、ゴール目前に急失速するような形で2着だったイコサン。2着ではあったが新馬戦としてはかなり優秀な指数を記録していた。今回はデビュー2戦目。逃げたのは前走同様だったが、今回は直線を向いてからも最後までしっかりと伸び、前走以上の指数を記録して勝利した。

ラスト2Fは11秒6-11秒6。逃げながら最後まで減速しなかった走りは着差以上に高く評価できる。前走で厳しいペースを経験していたことが今回に繋がったのだろう。今後も楽しみなスピード馬だ。

7月10日(日) 函館5R 優勝馬 ブラストウェーブ 指数-2 評価A
有馬記念勝ち馬ブラストワンピースの全弟ということもあり、単勝オッズ1.3倍というかなりの人気を集めたブラストウェーブ。4番枠から五分のスタートを切って、2番手からレースを進める競馬ぶりは良し。そのまま4角では先頭に並びかけ、そこから一気に加速かと思われたが、最後はジリジリとした伸びになり、外から迫る2着馬を何とか封じる結果だった。

ラスト2Fは11秒5-12秒0。3着以下を引き離している点は悪くないが、やや期待外れの勝利だった。兄ブラストワンピースは新馬戦でラスト2F10秒8-11秒1とかなり光るものを見せ、デビュー2走目のゆりかもめ賞で重賞級の指数を記録した。ブラストウェーブの新馬戦は兄と比較すると現時点では劣るが、道中2番手から早め先頭で押し切った内容は高く評価できる。良血馬だけに次走以降の上昇力に期待したい。

2022年7月9日、10日の2歳馬ジャッジ,ⒸSPAIA



※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)ラヴェルの指数「-3」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも0.3秒速い

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる競馬研究家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。



《関連記事》
【2歳馬ジャッジ】函館芝1800mでラスト2F11秒3-11秒4 シーウィザードは大物の可能性十分
【2歳馬ジャッジ】シャンドゥレールとカルロヴェローチェが芝1800m戦を好内容で勝利 今後の成長に期待
【2歳馬ジャッジ】東京開幕週にクラシック主役級が登場 ノッキングポイントとモリアーナは大物感漂う

おすすめ記事