【函館2歳S】競馬と競輪の融合 母父サクラバクシンオー・アスクドリームモアの血統背景に注目だ

佐藤永記

過去10年、母父サラクバクシンオーの成績

ⒸSPAIA

安定度の高い母父サクラバクシンオー

函館2歳SでJRA2歳重賞が早くも始まる。この時期は潜在能力よりも仕上がりや成長の度合いのほうが重要、かつ1戦1勝の馬が多く比較が非常に難しいこともおなじみだろう。傾向といえば、新馬を逃げた馬が多く主導権争いになりがちで、逃げがそこまで有利ではないといった話。これはすでに多くの記事で出ているところだ。

そこに1つ加えるならば、今年は良馬場じゃないかもしれない。全国的に梅雨へ逆戻りしたような天気が週末まで続く見込み。函館も例外ではなく、2015年以来となる良馬場以外の開催になる可能性が高い。

ただでさえ函館開催の終盤となる函館2歳Sは、芝の状態がよい時期にスピード一本で勝ち上がった馬たちに、荒れ始めたコースへの対応力を迫るレースとなる。1戦しかしていない馬が大半のレースでその適性を見極めるには、馬体で見抜くか、血統で推し量るしかないだろう。

ところが、ここ10年の勝ち馬の父は全て違う馬。系統もバラバラで、傾向なんてあったものじゃない。ただし母父を見ると強い馬がいる。それがサクラバクシンオーだ。

直近10年、函館2歳ステークスの母父別成績


直近10年で母父サクラバクシンオーの成績は【2-2-1-7】と出走数も多く、2頭の勝ち馬が出ている。なにより唯一の良馬場以外(稍重)だった2015年の勝ち馬ブランボヌールも、母父サクラバクシンオー(父ディープインパクト)である。そして母父サクラバクシンオーのもう1頭の勝ち馬は、2019年のビアンフェ(父キズナ)。というか母馬がブランボヌールと同じルシュクルなので半弟である。母父サクラバクシンオーは勝ち馬以外にも好走があり、複勝率が41.7%。ここからピックアップする必要がありそうだ。

あと一歩だった「競馬競輪ダブル重賞制覇」の夢

今年の登録馬で母父サクラバクシンオーなのは、クリダーム、スプレモフレイバー、アスクドリームモアの3頭。全て人気どころだが、アスクドリームモアにはもう一つ、注目したい要素が含まれている。

それは母マリンフェスタだ。マリンフェスタの馬主は競輪界のトップ選手・山田裕仁氏で、KEIRINグランプリを最多タイの3度制するなど素晴らしい成績を収めた。その所有馬マリンフェスタは2006年の第6回アイビスサマーダッシュで2着。もし勝利していれば山田氏は、競輪を選手として、競馬を馬主としてダブル重賞制覇という偉業を成し遂げるところだったのだ。

マリンフェスタは、子に希望を繋げている。2015年の函館スプリントSで産駒のレンイングランドが3着に入っており、短距離重賞を制覇する可能性と、函館適性を見いだせる。なによりアスクドリームモアの父がビアンフェと同じキズナであるというのも心強い。

新馬戦では競輪の打鐘(ジャン)とほぼ同じタイミングである残り600mから前へ進出し、競輪の1周とほぼ同じ残り400mすぎに前を捉えるという、近年の函館2歳Sで王道となる好位抜け出し策で勝っている。走り方を変える必要がないところも魅力的だ。

一応誤解がないように記載しておくが、アスクドリームモアの馬主は山田裕仁氏ではなく廣崎利洋HDですのでお間違いなく。

<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。

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