【安田記念】5歳馬レシステンシアに好データ! GⅠ牝馬が4年連続連対中

門田光生

安田記念の前走着順別成績(過去15年),ⒸSPAIA

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東京GⅠシリーズのファイナル

2022年6月5日に東京競馬場で行われる第72回安田記念。競馬法の制定や日本ダービー創設などに尽力し「日本競馬の父」とも称される安田伊左衛門氏の生誕150周年に当たることから、「安田伊左衛門生誕150周年記念」の記念競走として行われる。

日本人の名前がついたレース名といえばこの安田記念と有馬記念くらいしか思い浮かばないが、レース名とまではいかなくても、副題のような形でこれまで貢献してきた方々の功績を振り返るのもありだろう。

ところで、予備登録にゴールデンシックスティという香港馬の名前があったので楽しみにしていたのだが、結局来日しないことになったようだ。というわけで、今年も日本馬同士の争いとなるのだが、マイルのGⅠ馬シュネルマイスター、サリオスやレシステンシア、そしてダートで頂点を極めたカフェファラオなど、多士済々な顔ぶれ。5週間にわたって東京競馬場で行われた、GⅠシリーズのファイナルを飾るにふさわしい熱戦を期待したい。

ではさっそく、過去15年の成績を基にデータ検証していこう。

安田記念出走馬の所属,ⒸSPAIA
安田記念出走馬の性別,ⒸSPAIA
安田記念出走馬の年齢(牡・セン馬),ⒸSPAIA
安田記念出走馬の年齢(牝馬),ⒸSPAIA


☆所属、性別、年齢
美浦所属8勝(15連対)、栗東所属7勝(14連対)、そして海外所属0勝(1連対)。数字の上ではほぼ互角だが、出走頭数は栗東所属の方が2倍多い。率では美浦所属が有利となる。

性別では牡馬・セン馬が12勝(23連対)。牝馬は3勝(7連対)だが、これも所属と同じく出走頭数に大きな差があり、勝率、連対率ともに牝馬が上回る結果となっている。なお、2018年から4年連続で牝馬が連対中。2020年は牝馬のワンツーで、それ以外はすべて2着。2着にきた牝馬の前走はいずれもヴィクトリアマイルだった(2020年1着グランアレグリアは前走・高松宮記念)。

年齢も性別に分けてみる。まず牡馬・セン馬だが、連対数が多いのは5歳と6歳で7連対。連対率では4、5、6歳がほぼ同じだが、勝率では5歳が4%台に対し、4、6歳は7%を超えている。7歳から勝ち馬が出ておらず、8歳以上となるとすべて馬券対象外。一方の牝馬だが、連対しているのは4歳か5歳だけ。なお、今年登録している牝馬はすべて4歳か5歳だ。

安田記念出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA
安田記念出走馬の前走,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
前走で条件戦、もしくはオープンを走っていた馬で勝ったのは、2010年ショウワモダン(8番人気)、そして2018年モズアスコット(9番人気)の2頭。ともに人気薄で安田記念を勝ったが、2頭とも2走前の重賞で連対していた。

レース別では、ヴィクトリアマイル組が最多の6連対(2勝)。ただし、2020年アーモンドアイ、2021年グランアレグリアが単勝1倍台でともに2着に負けており、頭というより軸として信頼したい。逆に相性がよくないのはマイラーズC組。最多の58頭が出走して、勝ったのは2019年のインディチャンプだけ。勝率1%では厳しいと言わざるを得ない。

海外帰りの日本馬で連対したのは、2007年1着ダイワメジャー(前走ドバイデューティフリー)、2014年1着ジャスタウェイ(前走ドバイデューティフリー)、2016年2着モーリス(前走チャンピオンズマイル)の3例。香港よりドバイ帰りの方が成績はよく、前走ドバイターフのヴァンドギャルドとシュネルマイスターには心強いデータといえる。

安田記念におけるその他のデータ,ⒸSPAIA


☆その他のデータ
そのほかで気になったデータを挙げてみる。まず母の父にStorm Catを持つ馬。【3-1-1-5】と、50%の確率で馬券に絡んでいる。また、勝ち馬15頭中、13頭が前走4着以内だった。

マイナスデータの方では、前走で0.9秒以上負けた馬が【1-0-0-34】。例外は2021年のダノンキングリーで、前走が約5か月ぶりで挑んだ天皇賞(秋)で2.9秒差の大敗。そこからの巻き返しだった。

軸は牝馬で

安田記念のデータをまとめてみよう。まず好走確率が上がるのはA「美浦所属馬」B「牡馬・セン馬は4歳か6歳、牝馬なら4歳か5歳」C「ドバイ帰り」D「母の父がStorm Cat」E「前走4着以内」。

好走確率が下がるのは「7歳牡馬・セン馬」「マイラーズC組」「前走が0.9秒以上の負け」、連対例がないのは「8歳以上の牡馬・セン馬、6歳以上の牝馬」(今回はなし)。

正直、かなり難解。データ予想ということで、できるだけ中立を保ちたいのだが、今回に限っては何に重きを置くかによって本命馬が変わってきそうだ。悩むところだが、全体の出走頭数が牡馬より圧倒的に少ない牝馬が、4年連続で連対していることを重視して、牝馬の中から本命馬を選びたい。

今年はソングライン、ファインルージュ、レシステンシア、そしてロータスランドの4頭が登録。ここ4年で連対した5頭(といっても、グランアレグリアとアエロリットが2回連対しているので、実質3頭)はいずれもGⅠ勝ちの実績があった。

登録のある4頭の中で、GⅠを勝っているのはレシステンシア(2019年阪神JF)だけ。これまでの傾向からヴィクトリアマイルでの着順は関係ないので本命としたい。

2020年のように牝馬ワンツーも十分あり得るので、もう1頭選択するならロータスランドか。マイルGⅠで2着があるソングラインやファインルージュに比べると距離実績で見劣るが、登録馬で唯一、母の父に安田記念と相性のいいStorm Cat系の血を引いていることからも、注目していい存在だ。

牡馬では、相性のいいドバイ帰りのヴァンドギャルド、シュネルマイスターの2頭は外せない。

ダート王・カフェファラオの参戦でがぜん面白くなった今年の安田記念。前走がダート(地方、海外含む)だと【0-0-0-5】と結果が出ていないが、管理する堀宣行調教師はは安田記念で【3-2-1-7】と、勝利数、連対率ともに登録のある中でトップ。勝算があっての参戦とみれば、押さえておいた方が無難かもしれない。

◎レシステンシア
◯ヴァンドギャルド
▲シュネルマイスター
△ロータスランド
×カフェファラオ

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
子供にアルファベットを教えるため、紙に書いて説明しようとしたところ、S以降が全然出てこないという、超やばい事態が発生。バームクーヘンの食べ過ぎで、頭がドーナツ化しているのかも……(意味不明)。

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