【オークス】桜花賞からウォーターナビレラ、サークルオブライフが軸候補 別路線筆頭はアートハウス
勝木淳
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桜花賞組1頭、別路線組2頭
桜花賞とオークスの関係は近年変化しつつある。以前は3歳牝馬同士なら距離適性は問われず。なんだかんだと最大目標の桜花賞に出走できた馬の実力が上というスタンスでよかったが、最近は適材適所、“とにかく桜花賞”といった空気が薄まってきた。早くから中距離仕様に育ててきた馬がオークスで適性の差を見せる。過程が大切になる。
その証拠に桜花賞組が3着以内独占したのは18年アーモンドアイの年が最後。以後は桜花賞組と別路線組の決着が目立つ。それも桜花賞組1頭、残り2頭は別路線という組み合わせが3年続いている。ここではそういった傾向を踏まえ、過去10年間のデータを使用、好走パターンを探っていく。
桜花賞組が以前ほどではないとはいえ、人気別でみると、1番人気【5-2-1-2】勝率50%、複勝率80%、2番人気【1-3-3-3】勝率10%、複勝率70%、3番人気【3-0-1-6】勝率30%、複勝率40%と上位人気は堅実。4番人気以下は横一線で、人気薄が2、3着に滑り込むシーンは頭に入れておきたい。
昨年は3、2番人気でワンツー、3着は16番人気ハギノピリナ。同馬は芝2200mの矢車賞1着からの挑戦だった。また20年13番人気3着ウインマイティーは忘れな草賞1着。穴を狙うなら別路線に目をつけたい。
桜花賞組、軸に最適なのは
上位人気堅実も別路線組の人気薄に注意。これが近年のオークスにおけるパターン。ということで、ここからは桜花賞組、別路線組の狙いどころを掘り下げる。
前走レース別の内訳では桜花賞【7-5-4-63】勝率8.9%、複勝率20.3%、フローラS【1-4-3-37】勝率2.2%、複勝率17.8%、忘れな草賞【2-0-1-8】勝率18.2%、複勝率27.3%が目立つ。圧倒的な出走数の桜花賞はさすがの数字。別路線組の台頭が著しいものの、1頭は3着以内に来る桜花賞組の取捨は軸選びのポイントになる。
桜花賞は前後半46.8-46.1で後傾ラップ。基本的に先行勢優位の流れになり、中団より後ろにいるとチャンスがなかった。確かな決め手を発揮したスターズオンアース、流れに乗った2着ウォーターナビレラ、後方から外を追い込み、上がり最速を記録した4着サークルオブライフ、同じく後方から進んだ5着ピンハイが上位。流れに逆らう形になった4、5着を評価しつつ、スターズオンアースの決め手とウォーターナビレラの器用さも称えたい。
桜花賞組取捨のポイントひとつ目は人気。桜花賞で1番人気【1-2-1-2】勝率16.7%、複勝率66.7%、2番人気【4-0-1-3】勝率50%、複勝率62.5%と主役級だった馬がオークスでも相性がいい。4番人気【1-2-0-6】勝率11.1%、複勝率33.3%、5番人気【1-0-0-5】勝率、複勝率16.7%までが好成績、6番人気以下は【0-0-1-41】と苦戦。今年は桜花賞馬スターズオンアースが7番人気で引っかかる。人気ではナミュール、サークルオブライフ、ウォーターナビレラ、プレサージュリフトの巻き返しがありそうだ。
では桜花賞の着順別はどうだろう。1着【3-1-0-4】勝率37.5%、複勝率50%を筆頭に4着以内が好成績。やはり桜花賞好走はオークスにつながる。ということはスターズオンアースも悪くない。
ところが、5番人気以下での桜花賞勝ち馬は【0-0-0-3】。着外4頭のうち3頭がここから出ている。13年アユサン4着、15年レッツゴードンキ10着、17年レーヌミノル13着。スターズオンアースはこの3頭ほど適性がマイル寄りではなさそうだが、気になるデータではある。
つまりは上位人気で桜花賞をそこそこ走った馬が狙いどき。となるとウォーターナビレラ、サークルオブライフの2頭が軸候補か。
逆転候補はアートハウス
ではここからは別路線組。特にサンプルが比較的多いフローラS、忘れな草賞について考えてみたい。
一貫して中距離路線を歩んだ馬が多く出走するトライアル・フローラSは位置取り別成績がわかりやすい。逃げ【0-0-0-2】、先行【0-0-1-12】複勝率7.7%に対し、中団【1-4-1-14】勝率5%、複勝率30%、後方【0-0-1-9】複勝率10%と差してきた組が優勢だ。
今年は前後半1000m1.00.2-1.00.2の精緻なイーブンで、1~3着は先行。むしろ狙うなら5着ルージュエヴァイユ、7着ホウオウバニラ(除外対象)。ルージュエヴァイユは大穴候補に考えたい。
忘れな草賞組は勝ち馬が【2-0-1-7】勝率20%、複勝率30%。好走は勝ち馬のみなので、今年ならアートハウス。忘れな草賞も位置取り成績が重要で、逃げ【0-0-0-1】、先行【0-0-0-3】、中団【1-0-1-3】勝率20%、複勝率40%、まくり【1-0-0-0】。差す競馬で勝ち切ることが条件になる。
アートハウスは8頭立ての競馬を4コーナー4番手から差し切った。川田将雅騎手がスターズオンアースではなく、こちらに騎乗予定。この継続騎乗も加点すると、今年の別路線組はアートハウスではないか。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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