【NHKマイルC】NZT逃げ切りジャングロ高評価 一発狙いならアーリントンC上位馬かアルーリングウェイ
勝木淳
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ジャングロに追い風、逃げ馬断然
昨年1着シュネルマイスターは01年クロフネ以来の外国産優勝馬。その前走は弥生賞ディープインパクト記念(以下、弥生賞)2着。外国産馬にもクラシックの門戸が開かれ、いまやNHKマイルCはクラシック路線経由が主流になった。過去10年間のデータもマイルCトライアル組よりクラシック路線組優位を示す。そのデータを示しつつ、前哨戦を振り返ってみたい。
1番人気【3-1-1-5】勝率30%、複勝率50%と半数は馬券圏外だったりする。2番人気【3-2-1-4】勝率30%、複勝率60%、1、2番人気はまずまずだが、クラシックからの転戦組と一貫したマイル路線組の優劣はつけにくく、3番人気【1-1-0-8】勝率10%、複勝率20%、4番人気【0-1-0-9】複勝率10%と事前の評価通りには決着しないことが多い。6番人気【1-1-2-6】勝率10%、複勝率40%や10番人気以下【1-3-3-83】勝率1.1%、複勝率7.8%を、1、2番人気とうまく組み合わせて買いたい。
前哨戦ニュージーランドTを逃げ切った外国産馬ジャングロは藤田晋オーナー、武豊騎手と話題が多く、注目を集めそうだ。本番で逃げるかどうかは別として、位置取り別成績を見てみる。逃げは【3-1-1-5】勝率30%、複勝率50%と好成績。昨年こそ厳しい流れになったが、最近のNHKマイルCは以前ほどハイペースになりにくい。ジャングロは当然マークされる立場。逃げない可能性も頭に入れつつ、先手を奪えれば好走する確率は高まる。
クラシック経由は適性次第で通用
展開のカギを握るジャングロに注目しつつも、ここからは前走成績を確認しつつ、各馬の臨戦過程を整理したい。
ニュージーランドT【3-0-2-49】勝率5.6%、複勝率9.3%、アーリントンC【1-0-3-18】勝率4.5%、複勝率18.2%。出走数が多いトライアルが着度数別では目立つものの、桜花賞【2-2-0-10】勝率14.3%、複勝率28.6%、皐月賞【2-1-1-11】勝率13.3%、複勝率26.7%、弥生賞【1-0-1-1】勝率33.3%、複勝率66.7%とクラシック路線も強力。適性さえ問題なければ、通用する。
ニュージーランドT ジャングロ 1.33.5
クラシック経由についてはのちほどデータを確認するとして、ひとまずトライアルを分析する。ニュージーランドTはジャングロが前後半800m46.8-46.7と均衡のとれたペースで逃げ切った。これはどの馬も力を出しやすく、紛れの少ない実力差を反映した結果ともいえる。勝ったジャングロ、2着マテンロウオリオンは互角とし、7着デルマグレムリンは一枚下げたい。
ただし着順別データをみると、1着【1-0-0-9】勝率、複勝率10%、2着【1-0-0-6】勝率、複勝率14.3%と必ずしも好成績とはいえない。頭数の割に好走が少ないという事情は頭に入れておこう。逃げデータ強力のジャングロ、前走は試走の面があったマテンロウオリオンの上積みに期待したい。
アーリントンC ダノンスコーピオン 1.32.7
昨年は途切れたが、4月移設後、3年連続本番3着馬を出したのがアーリントンC。3頭は9、7、6番人気。近年、マイル路線経由の穴馬はアーリントンCから出る。今年は前後半800m46.3-46.4で1.32.7。共同通信杯7着でマイル路線に転向したダノンスコーピオンが4コーナー10番手から差し切った。最後の600m11.3-11.1-11.8。最速地点で先に抜け出した2着タイセイディバイン、3着キングエルメスも価値ある走りだった。
1週前の桜花賞1.32.9、阪神牝馬S1.32.8なので、今年のアーリントンCは高く評価したいところ。その着順別成績はシビアで、3着以内【1-0-3-11】、4着以下【0-0-0-7】。ダノンスコーピオン、タイセイディバイン、キングエルメスの中に穴馬がいる可能性は高い。
ファルコンS プルパレイ 1.20.9
前走ファルコンSも【1-1-1-13】勝率6.3%、複勝率18.8%、確率でいえば前記2レースとそう変わらない。このレースは1400m戦のためハイペースになりやすく、今年も前後半600mは33.1-36.5と前傾ラップ。当日の馬場はやや重、ハイペース耐性が問われた。2着タイセイディバインはアーリントンCも2着。評価したいレースだ。他にも勝ったプルパレイ、3着オタルエバー、5着トウシンマカオがいる。
その着順別成績は2着以内【1-1-1-9】、3着以下【0-0-0-4】。なかでも2着【1-0-1-3】勝率20%、複勝率40%が好成績。タイセイディバインはアーリントンC経由のため、このデータに該当はしないが、補強材料にはなる。
では桜花賞、皐月賞経由について。データで狙いどころを探ってみよう。当然ながら上位着順馬の多くはNHKマイルCではなく、オークス、日本ダービーに向かう。そこで着順別ではなく、桜花賞、皐月賞での人気別成績を出す。クラシック主役級だった1、2番人気【2-1-0-1】は納得するも、今年は不在。
5番人気【0-1-0-3】複勝率25%、6~9番人気【1-1-0-7】勝率11.1%、複勝率22.2%、10番人気以下【1-0-1-10】勝率8.3%、複勝率16.7%と人気順に好走確率が下がる。桜花賞5番人気8着アルーリングウェイは臨戦過程も21年2着ソングラインに重なる。皐月賞からは15番人気10着ダンテスヴューが登録。桜花賞12番人気14着フォラブリューテとともにデータ上は狙いにくい。
上位人気が予想されるセリフォスは朝日杯FS2着から直行。このローテは【0-0-0-1】なので、判断できない。同レースを勝ったドウデュースは弥生賞と皐月賞2、3着。力上位は間違いなく、調教から仕上がりをよく吟味したい。また昨年シュネルマイスターと同じ前走弥生賞のインダストリアもジュニアC勝ちがあり、侮れない。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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