【京都新聞杯】今年もポイントは大寒桜賞 圧勝ブラックブロッサムと重賞組の力関係がカギ

勝木淳

京都新聞杯インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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キャリア5、6戦優勢

日本ダービーへの東上最終便である京都新聞杯は00年に5月に移され、秋の菊花賞トライアルから現在の立ち位置に変わった。移設元年にアグネスフライトがダービー馬に就き、以後、キズナ、ロジャーバローズ(京都新聞杯は2着)と合計3頭の日本ダービー馬を輩出した。2着馬はハーツクライ、インティライミ、サトノラーゼンの3頭。

この6頭のうち、皐月賞出走はハーツクライ1頭。キズナは毎日杯優勝後、皐月賞をスキップ、日本ダービーを目指し、ここから飛び立った。残り4頭は皐月賞トライアルで負けたロジャーバローズなど、皐月賞に間に合わなかった馬たちばかり。クラシック三冠のスタートラインに立てずとも、日本ダービー出走にこぎつけられる。みんな、東上最終便に一縷の望みを託す。今年は昨年に続き中京が舞台。ここではローテーションを中心に京都新聞杯過去10年分のデータを分析してみたい。


過去10年京都新聞杯人気別成績,ⒸSPAIA


皐月賞組が少ない組み合わせになるため、このレースは能力比較が難しい。1番人気【2-3-1-4】勝率20.0%、複勝率60.0%、2番人気【2-2-2-4】勝率20.0%、複勝率60.0%、3番人気【2-1-0-7】勝率20.0%、複勝率30.0%と上位人気の勝率は互角で実力拮抗。複勝率も9番人気で20.0%あり、全体的に力量接近のレースになりやすい。


過去10年京都新聞杯キャリア別成績,ⒸSPAIA


1戦1勝は【0-0-0-5】、2戦【0-0-1-8】複勝率11.1%、基本的には経験を積んだ馬が優勢。キャリア5戦【5-1-4-19】勝率17.2%、複勝率34.5%、6戦【1-3-1-14】勝率5.3%、複勝率26.3%が中心。中京だった昨年も勝ったレッドジェネシスはキャリア6戦だった。経験が問われるものの、キャリア9戦以上は【0-0-0-14】。無理な出走をせず、日本ダービー出走に向け、狙いすませたローテで挑む馬を中心にとりたい。


強調できるのは前走1勝クラス・芝2200m勝ち

上位拮抗、力量接近、キャリア5、6戦が理想的といった好走パターンをつかんだところで、ここからは前走成績を深掘りしたい。なお、ここからのデータは馬券に絡んだキャリア2~8戦に絞って使用する。


過去10年京都新聞杯前走クラス別成績(キャリア2~8戦),ⒸSPAIA


まずは前走クラス別成績。強行軍の前走皐月賞【1-1-0-5】勝率14.3%、複勝率28.6%も好走成績だが、今年は不在。目立つのは前走GⅡ【0-1-2-6】複勝率33.3%、GⅢ【3-1-3-6】勝率23.1%、複勝率53.8%の重賞組と1勝クラス【6-6-4-42】勝率10.3%、複勝率27.6%。このふたつについてさらに突き詰める。


過去10年京都新聞杯前走重賞組レース別成績(キャリア2~8戦),ⒸSPAIA


皐月賞を含め、前走重賞組のレース内訳をみる。注目は13年キズナと同じ毎日杯【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%。中京施行の昨年も毎日杯4着ルペルカーリアが1番人気2着だった。今年は5着リアドがいる。


過去10年京都新聞杯前走毎日杯組着順別成績(キャリア2~8戦),ⒸSPAIA


毎日杯の着順別成績は1着【2-0-0-0】、4着【0-1-1-0】に対し、5着【0-0-0-3】、6~9着【0-0-1-1】で巻き返しがないこともないが、強く推せるほどではない。

今年の毎日杯は雨中のやや重で行われ、1000m通過59.6という流れをピースオブエイトが逃げ切った。先行勢の流れになり、4コーナーで動いたリアドは見せ場を作れなかった。ただし中京の若駒S2着と左回り実績があることは付け加えておきたい。

またアスクワイルドモアの前走きさらぎ賞は【0-0-1-1】。16年4番人気3着ロイカバードがいる。同馬はきさらぎ賞0.6差3着。アスクワイルドモアは0.2差4着。上がり2位を記録。きさらぎ賞も同じ中京が舞台。巻き返す余地はある。


過去10年京都新聞杯前走1勝クラス組距離別成績(キャリア2~8戦),ⒸSPAIA


次に前走1勝クラスについて。その距離をみると、2200m未満【2-4-2-31】勝率5.1%、複勝率20.5%、2200m【1-1-2-3】勝率14.3%、複勝率57.1%、2200m超【3-1-0-8】勝率25.0%、複勝率33.3%と2200m以上を経験した馬が優勢。2000mの皐月賞照準ではなく、ダービーの2400mを意識したレース選択が重要になる。

今年はゆきやなぎ賞を勝ったボルドグフーシュ、大寒桜賞1.3差圧勝のブラックブロッサム、アザレア賞3着アップデートなどがいる。いずれも有力だろう。特にブラックブロッサムだ。重馬場の大寒桜賞快勝は馬場が味方した面もあるが、中京での圧勝劇は心強い。キャリアはまだ2戦。そこはデータ上、気になるところ。当然重賞組との力量比較は難しいが、開幕週、スローペースの公算が高く、先行できる点は評価に値する。

最後に前走オープン・リステッドについて。ヴェローナシチー、ショウナンアデイブの前走若葉Sは【0-1-0-8】、ポッドボレットのすみれS【0-0-1-2】。2、3着2頭は前走4、5着馬だった。好走したポッドボレット、ヴェローナシチーを評価したい。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。


京都新聞杯インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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