【阪神大賞典】好データもスタミナも満載 長距離で覚醒マカオンドール

門田光生

阪神大賞典のレース年齢別成績,ⒸSPAIA

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貴重な長距離競走

2022年3月20日に阪神競馬場で行われる第70回阪神大賞典。今では貴重となった長距離競走の一つである。

かつてメジロデュレンやメジロマックイーンも走った嵐山ステークスが1999年を最後に名前が消え、同じく京都の長距離戦として行われていたドンカスターSは、今ではダートの短距離戦(ドンカスターC)に条件が変更されている。

世界的に見てもステイヤーの立場は厳しくなる一方だが、競馬は長中短のバラエティがあってこそ。これ以上の削減は勘弁してほしいところ。ちなみに、1970年代まで「日本最長距離ステークス(4000m)」というレースも行われていたそうな。超スローは確実だろうから、さすがに見ていて飽きるかもしれない。また条件が準オープンだったようで、もし今行われたとしても、頭数が揃うのかは微妙なところだろう。

阪神大賞典の所属別成績,ⒸSPAIA

阪神大賞典の性別成績,ⒸSPAIA



☆所属と性別
では、いつも通り2012~2021年まで過去10回の成績を基にして検証してみる。まず所属だが、過去10年で美浦所属馬が連対したのは2016年のタンタアレグリア(2着)だけ。また、牝馬で連対したのも、2015年のデニムアンドルビーしかいない。それぞれ出走頭数が多くないとはいえ、基本的には栗東の牡馬・セン馬が中心と考えていいだろう(今年は牝馬の登録なし)。

阪神大賞典の年齢別成績,ⒸSPAIA


☆年齢
4歳馬の連対率42.9%という数字が目立つ。9連対(5勝)というのも最多だから、4歳馬優勢は間違いない。7歳以上になると苦戦の傾向で、31頭出走して3着が最高着順となっている。

阪神大賞典の前走クラス別成績,ⒸSPAIA

阪神大賞典の前走レース別成績,ⒸSPAIA


☆前走クラスと前走
勝ち馬が出ているのは前走で重賞を使っていた組だけ。中でもGⅠ組は【5-6-2-8】で連対率は52.4%。半分以上が馬券対象となっている。有馬記念組に限ると、連対率が62.5%とさらにハネ上がる。逆に相性が悪いのは京都記念と小倉大賞典組で、ここを経由した馬から連対馬は出ていない。


阪神大賞典の前走馬体重別成績,ⒸSPAIA

☆前走馬体重
個人的にステイヤーと言われれば、どちらかというと小柄なイメージがあるのだが、この阪神大賞典の傾向は逆のよう。前走馬体重480キロ以上あった馬が9勝、2着5回、3着8回。前走馬体重479キロ以下の馬と比べると、勝率が約4倍になっている。これが当日馬体重だと、500キロ以上の馬が7勝となる。直線の坂を2回超える阪神コースだけに、やはりパワーも必要なのかもしれない。


阪神大賞典のプラスデータ,ⒸSPAIA

阪神大賞典のマイナスデータ,ⒸSPAIA


☆その他
そのほかで気になったデータを挙げてみる。前走着順は3着以内だった馬が半分の10連対(6勝)。連対率も33%を超えれば悪くないだろう。前走人気は2番人気以内に支持されていた馬が11連対(7勝)。こちらは連対率が50%を超えている強いデータとなっている。また58キロ以上を背負った実績馬は3戦2勝(今年はなし)。逆に中2週以内で挑んできた馬、そして前走1800m以下を使っていた馬(今年はなし)は好走率が下がってしまう。

真のステイヤー

阪神大賞典のデータをまとめてみよう。まず好走確率が上がるのはA「栗東所属の牡馬・セン馬」B「4歳馬」C「前走GⅠ、特に有馬記念組」D「前走馬体重480キロ以上」E「前走3着以内」F「前走1、2番人気」。好走率が下がるのはG「7歳以上」H「中2週以内」。

昨年に続いて3週前に3200mで行われた「松籟S」(3勝クラス)を使った馬が何頭か登録している。たとえ松籟Sがスローペースだったとしても、長距離レースを中2週で使うのは、体力的に考えてさすがに厳しい。ここからの参戦を促すなら、どちらかを1週ずらした方がいいと思うのだが。その松籟S、そして湾岸Sの長距離2レースを使ってきた馬はマイナスデータの「中2週以内」に該当するので消しとなる。

今回、プラスデータを最も多く持つのはマカオンドール。万葉Sから阪神大賞典に向かって連対したのは2013年のデスペラード(2着)しかいないが、そのデスペラードも万葉Sを勝っての参戦だった。マカオンドールはゴールドシップ×Darshaanという、スピード不足で未勝利を勝てなくても不思議ないスタミナ寄りの配合。こういったステイヤーが現代競馬で活躍するのはうれしい限りだ。また、好走率が最もいい4歳馬は、今回の登録馬ではマカオンドールだけ。文句なしの本命だ。

連対率が60%を超える有馬記念組は、当然ながら軽視禁物。今回でいえばディープボンドとユーキャンスマイル。ユーキャンスマイルはマイナスデータの「7歳以上」に引っかかっているので、ここではディープボンドの方を上に取りたい。

あとは、有馬記念(4勝)に続いて多くの勝ち馬を出しているAJCC(2勝)を経由したダンビュライト、強データの「前走1、2番人気」に該当するシルヴァーソニックを押さえたい。

◎マカオンドール
◯ディープボンド
▲ユーキャンスマイル
△ダンビュライト
×シルヴァーソニック

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
日本で行われる主なマラソン大会のほとんどは11~3月に行われています。ステイヤーズS、ダイヤモンドS、そして阪神大賞典も同様。やはり暑い時期に長い距離を走ることが厳しいのは、人間も馬も同じですね。



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