【阪神大賞典】マカオンドールは万葉S組不振データを破れるか？　安定感ならディープボンド

2022/03/13 17:00

勝木淳

ⒸSPAIA

この記事のレース

阪神大賞典

GⅡ

3月20日(日)　阪神11R

上位人気堅実、4歳優勢

3200m天皇賞(春)の最重要ステップレースといえば、今も昔も阪神大賞典。伝統の3000m戦、レース名には響きの重さがある。フィエールマンやワールドプレミアといったチャンピオン級が去り、長距離戦線も新たな王者が待たれる。

その筆頭タイトルホルダーは関東のA級らしく日経賞から本番へ向かう予定。対抗格のディープボンドは今年もここから春の盾を目指す。4歳になり、格上挑戦で万葉Sを勝ったマカオンドールはようやく適距離重賞に出走する。3歳秋、菊花賞にたどり着ければと思わせる典型的なステイヤータイプ。ディープボンドにどこまで通用するか。3000mならば差はないと信じたい。ここでは過去10年間のデータから阪神大賞典好走パターンについて探っていく。

過去10年阪神大賞典人気別成績,ⒸSPAIA

3000m重賞、それも天皇賞(春)の前哨戦ともなると、適性と実績を兼務した馬はそうは崩れず、1番人気【6-1-1-2】勝率60%、複勝率80%、2番人気【1-2-1-6】勝率10%、複勝率40％、3番人気【3-1-2-4】勝率30%、複勝率60%で勝ち馬は3番人気以内のみ。2番人気がやや怪しいものの、複勝圏は5番人気【0-2-3-5】複勝率50%以内が大半。伏兵の食い込みは過去と比べると、ないこともないが、狙いにくい。

過去10年阪神大賞典年齢別成績,ⒸSPAIA

5歳ディープボンドと4歳マカオンドールという図式では年齢別成績もヒントになる。4歳【5-4-3-9】勝率23.8%、複勝率57.1%、5歳【3-3-3-19】勝率10.7%、複勝率32.1%で4歳が優勢。年齢別ではマカオンドールに分がある。また6歳は【2-3-2-19】勝率7.7%、複勝率26.9%、7歳【0-0-2-29】複勝率6.5%なので、4～6歳を基本線に考えたい。

有馬記念組絶対優勢

有馬記念2着以来のディープボンド、万葉S1着マカオンドール。2頭の臨戦過程も対照的。そこで前走データについて掘り下げてみていこう。

過去10年阪神大賞典前走クラス別成績,ⒸSPAIA

基本的には格上のレースを経由してきた馬が優勢で、前走GⅠは【5-6-2-8】勝率23.8%、複勝率61.9％と崩れにくい。上記ディープボンドのほかにユーキャンスマイルがこれに該当する。同馬は直近2年の阪神大賞典1、2着。7歳という年齢は気になるものの、コース巧者で侮れない。

2頭が当てはまる前走有馬記念は【4-6-1-5】勝率25%、複勝率68.8%。有馬記念はペースにもよるが、秋の中距離GⅠでもっともステイヤー寄りになるレースであり、その点が好相性につながる。

着順別成績をみると、有馬記念を勝った馬【2-1-0-0】、3着【1-0-0-0】とまず好走馬の成績がいい。ディープボンドの2着はこの10年出走がないものの、00年以降に範囲を広げると、【2-0-0-0】。04年リンカーン、06年ディープインパクトが勝利した。また有馬記念6～9着も【1-3-1-0】なので、有馬記念9着ユーキャンスマイルもやはり気になるところだ。

対してマカオンドールの前走OP・リステッドは【0-1-0-10】複勝率9.1%と寂しい。万葉Sに限ると【0-1-0-5】複勝率16.7%。例年、万葉Sは同じ3000mでも阪神大賞典とは格の差がありすぎ、つながらないと指摘される。こういった傾向をマカオンドールは覆せるか。ちなみに好走1頭は13年2着デスペラードで万葉S1着だった。3着以下だったシルヴァーソニック、マンオブスピリットは厳しそうだ。

マカオンドールの可能性は残しつつも、こうなると他路線組も検討が必要だ。まず前走GⅡ【3-0-4-21】勝率10.7%、複勝率25%に注目。そのレース内訳をみると、同じ長距離のステイヤーズSは【0-0-0-1】と意外にも参戦が少ない。昨年のステイヤーズS2着アイアンバローズは当時、逃げて2着。スローのマイペースではあったが、最後の1000m11.9-11.7-11.6-11.3-12.4。ディバインフォースに最後捕まったが、シルヴァーソニック以下は完封。自ら早めにスパート、スタミナ勝負に持ち込めれば、面白い。

GⅡ組は中距離のAJCC【2-0-0-5】勝率、複勝率ともに28.6%、日経新春杯【1-0-2-6】勝率11.1%、複勝率33.3%、京都記念【0-0-2-8】複勝率20%などが狙い目。ダイオライト記念と両にらみだが、AJCC12着ダンビュライトがいる。

最後に前走GⅢ【2-1-3-25】勝率6.5%、複勝率19.4%について。なかでもトーセンカンビーナ、ゴーストが該当するダイヤモンドSは【1-1-3-20】勝率4%、複勝率20%。4着以内に限定すると、【1-1-2-3】なので、トーセンカンビーナは買える。前走は20年阪神大賞典2着以来の馬券圏内突入。再浮上の可能性はある。

ライタープロフィール
勝木淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』（中央競馬ピーアール・センター）にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬伝説の名勝負』シリーズ全4作（星海社新書）。