【ステイヤーズS】オセアグレイト連覇へ 阻止一番手はトーセンカンビーナ

勝木淳

ステイヤーズSインフォグラフィック,ⒸSPAIA

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1番人気は堅実、ベテランに注意

中山大障害、有馬記念、そしてホープフルSへ向かう中山暮れの開催。その開幕を告げるのは名物重賞ステイヤーズS。1周約1600mの内回りコースを2周と少し走る現存する国内平地競走最長距離のマラソンレースだ。

このレースの特徴はなんといってもリピーターだ。トウカイトリックは09年4着、11年3着、12年1着、13年3着。13、14年連覇のデスペラード、15から17年はアルバートが三連覇。ファタモルガーナやモンドインテロなど毎年、このレースを好走する個性派は多い。中距離では距離が足りないステイヤーたちにとっての目標のひとつと言ってもいい。今年も昨年覇者オセアグレイトが連覇に挑む。そんな名物レースについて過去10年間のデータから傾向を探ってみる。


過去10年ステイヤーズS人気別成績,ⒸSPAIA


まず人気別成績。すべて1番人気で三連覇を達成したアルバート(19年2着も1番人気)を含め、1番人気は【5-1-2-2】勝率50%、複勝率80%と断然。そのアルバートを除くと、1番人気は【2-0-2-2】勝率33.3%、複勝率66.7%とそれでも高水準。1番人気で馬券圏外だったのは11、12年の2回で、8年連続馬券圏内突入中だ。

一方、2番人気【0-2-2-6】複勝率40%、3番人気【1-1-1-7】勝率10%、複勝率30%と必ずしも上位堅実というわけではない。4番人気【1-3-2-4】勝率10%、複勝率60%、7番人気【1-1-1-7】勝率10%、複勝率30%など1番人気に軸足を置きながらも、ひとひねりしないと的中は遠のきそうだ。


過去10年ステイヤーズS年齢別成績,ⒸSPAIA


長距離レースらしく、若さと同様に経験もものを言うようで、4歳【2-2-3-14】勝率9.5%、複勝率33.3%に対し、5歳【3-2-3-32】勝率7.5%、複勝率20%、6歳【2-2-2-28】勝率5.9%、複勝率17.6%、7歳以上【3-3-2-33】勝率7.4%、複勝率19.5%とベテランも健闘。中距離までの重賞とはアプローチを変えて挑みたい。


オセアグレイト、連覇に向けて準備万端

それでは次に前走成績から具体的に好走傾向について考えていこう。


過去10年ステイヤーズS前走クラス別成績,ⒸSPAIA


まずは前走クラス別成績。ここはやや極端で、前走GⅠだと【0-0-0-5】で格上のレースから挑んだ馬は来ず。同格のGⅡだと【7-3-7-51】勝率10.3%、複勝率25%。格下のGⅢは【0-1-0-8】連対率11.1%だが、さらに格下のオープンは【2-2-0-16】勝率10%、複勝率20%、もっと下の3勝クラスだった馬は【1-4-2-23】勝率3.3%、複勝率23.3%。同格ないし、ちょっと格下のレースからここに挑む馬の成績がいい。これも3600mという特殊な距離だからこそのデータだろう。


過去10年ステイヤーズS前走アルゼンチン共和国杯組着順別成績,ⒸSPAIA


まずはGⅡ組をみていこう。その内訳をみると、前走アルゼンチン共和国杯だった馬が【6-0-5-36】勝率12.8%、複勝率23.4%と好成績。その着順別成績を出すと、掲示板以内【2-0-2-4】勝率25%、複勝率50%、6着以下【4-0-3-32】勝率10.3%、複勝率17.9%。今年も6着アイアンバローズをはじめ敗退組が多く出走予定で、ここはしっかり見極めたい。


過去10年ステイヤーズS前走アルゼンチン共和国杯6着以下組脚質別成績,ⒸSPAIA


そこで前走アルゼンチン共和国杯6着以下からここに出走してきた馬のデータを位置取り別成績でみる。

逃げ【1-0-0-4】(14年3番人気1着デスペラード)、先行【1-0-0-2】(20年7番人気1着オセアグレイト)と好位から競馬をして6着以下に敗れた組の巻き返しもある。ポイントは差しに回った組で、中団【0-0-1-14】複勝率6.7%に対して、後方が【2-0-2-12】勝率12.5%、複勝率25%。アルゼンチン共和国杯で流れに乗れず、6着以下に負けた馬のなかに好走馬が潜んでいる。おそらく2500mではついていくだけだった馬が、3600mでゆったりしたペースになり、スタミナを問われることで巻き返してくるものと推理できる。

今年なら6着アイアンバローズ、14着ゴースト、15着ボスジラら先行勢と後方だった7着トーセンカンビーナ、9着アドマイヤアルバなどの巻き返しに期待したい。特にトーセンカンビーナは20年阪神大賞典2着とステイヤー資質が高い。


過去10年ステイヤーズS前走京都大賞典組着順別成績,ⒸSPAIA


続いて連覇を狙うオセアグレイトの前走京都大賞典【1-3-1-8】勝率7.7%、複勝率38.5%を着順別成績からみる。今年は京都大賞典が阪神で行われ、最後の200m13.0を要するタフな流れだったことから、ここへの結びつきは強くなりそうだ。京都大賞典好走後にここに出走するケースはそもそも少なく、負けた組から好走馬が出ているが、特に6~9着だった馬が【1-1-1-0】とこの10年間、すべて馬券圏内にきた。オセアグレイトは京都大賞典6着。勝った昨年は残り600~200m11.4-11.4と中山としてはハイラップが刻まれ、それを好位から乗り切った。連覇の可能性は高い。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2000-2004 00年代前半戦』(星海社新書)。

ステイヤーズSインフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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